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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
1章 VRMMO
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4 久しぶりの技。

今日最後の投稿です。

ゴブリンとの戦闘後、街道を暫く歩いていると周りの木が大きくなってきていた。



「デカい木だな~」

「ですね~……」

2人して見上げてそんな言葉を吐く。

木の幹の太さが直径2メートル程あり、高さが100メートル以上はある。

枝も太いし……何かのゲームで枝を歩いて進んでいくステージがあったな。



「これ1本あれば結構な量の木材になるんじゃないか?」

そう言いながらパシパシと叩く。

「その前にこんな太い木、切れます?」

「あぁ~……どうだろう、初期装備の刀じゃ無理があるか」

いや、初期装備なら不壊が付いてるから壊れる事は無いよな……やってみるか。



インベントリから刀を取り出し抜いて構える。

初期装備の鈍らだが、壊れないなら……。

「初期装備で挑みますか……」

そう言って呆れているエルを無視して俺は刀に魔力を纏わせていく。

10秒ほどで納得のいく量の魔力を纏わせる事ができた。

まだまだだな……。



刀を右手で持ち肩に置く。

体制を低くし目を瞑り精神を落ち着かせる。



数秒して目を開き動く。


「弐之型・峰斬」


ドンッ! という音と共にピッと横に線が走ると俺が立っていた地面が陥没していた。

俺は刀を鞘に納めてインベントリに仕舞い、木に近づきそっと触れると大きな木をインベントリに入れた。



エルの所まで行くと、目と口を大きく開けたまま固まっている。

「おい、お前にも教えただろ」

俺が声を掛けてから10秒程してやっと答えた。

「いやいやいや、初期装備で出来るとは決して誰も思わないですよ!」

首を高速で横に振り叫ばれた。

「峰斬ができるなんて……」



峰斬ほうざんとは字の如く山を斬る事が出来る、俺が編み出した技だ。

他のプレイヤーがマネして武器に魔力を纏わせていたが、それだけじゃできない。

魔力の性質を変え斬る事に特化させるんだがそれだけでもできる訳じゃない、体勢と身体の使い方も必要になって来る。



「久しぶりにやったけど、魔力制御がやっぱまだまだだったわ」

「えぇ~、斬れただけで納得しましょうよそこは」

「以前なら一瞬で斬れたのに、今回は15秒も掛かってしまったからな、もっと鍛錬が必要だ」

エルは何か呆れているがやっぱ俺としては納得できない。



陥没させた地面を土魔法で戻し出発する。

「これだけ木材があれば生産もいろいろできるし、街に着いたら何か作るか」

「いいですね、その木材でミクトさんが木刀作ったら、結構いい武器になりそうですよね」

「おお、それはいいな作ってみよう」

歩きながらそんな話をしていると、林? いや森だな。 森の中から気配がした。

これは人の気配だ。



歩きながらエルに伝える。

「前方100メートル程に人の気配8、木の上に2、左右に3づつ」

「盗賊ですよね」

「まあ山賊でも盗賊でも一緒、野盗だ……左任せて大丈夫か?」

エルは頷き口を開いた。

「先に上を殺った方がいいですよね?」

「あぁ~……じゃあ、ついでに俺が上2人を殺るから左側の地上を片付けてくれ、1人生かせるなら生かしとけよ」

「勿論です」

まあ情報用だな。



歩いて行くと左右から男達が出て来た。

10メートル程離れている。

格好からして野盗だなと確定した。

少し良い鎧を着ている男が指示を出す。

「おい! そこで止まれ!」

俺達は足を止め次の言葉を待つ。

「よし素直だな、ってお前……その格好、もしかして異界者か?」



この世界アライブワールドでは、俺達プレイヤーの事を住人からは異界者として認識されている。

「ああ、お前達は野盗でいいよな?」

俺がそう言って男達に向かって歩き出す。

すると何人か少し焦り出した。



「おい異界者ってめちゃ強いって聞いたぞ、大丈夫なのか?」

下っ端がリーダーに聞く。

リーダーは俺を見てニヤっと笑った。

「大丈夫だ、あの格好をしてる異界者は此処に来たばかりで弱いはず、男をさっさと殺して全員で女を襲えばじっくり楽しめるだろ?」

アライブワールドでは、プレイヤーと住人でもやる事はできてしまうのだ。

結婚して家庭を持つこともできる。

しかし女性プレイヤーはガード設定でそういう事はできないようにする事はできるけどね。



エルの方を見ると表情が消え冷たい目をしていた。

まあエルならそうなるよな……はぁ。

1つ溜息を吐きエルに声を掛ける。

「冷静に行けよ?」

「勿論です、冷静に切り刻んで殺ります」

やりますが殺りますになってるぞ。



俺がインベントリから道中で拾っていた石を両手に出し投擲する、木の上に居る2人を落とすと、エルと俺は走り出した。

「っ!? バレてたのか!?」

リーダーが驚いているともう3メートル程の距離まで来ていた。

1人の下っ端が剣を振り下ろして来る。

タイミングはいいな。

そう思いながらギリギリで剣を躱しながらそいつの横を通り、後ろに居たもう1人の下っ端に向かうと剣を振り下ろそうとしていたが、途中で動きが止まり下っ端2人は倒れた。



「なっ、何しやがった!?」

リーダーは何をされたのか分からず怯えていた。

「お前に教える訳ないだろ」

そんな話をしているとエルも左側の3人を斬り刻んでいた。

やっぱりそうなるよな……エルだし。

「ほら、後はお前だけだぞ?」

俺がそう言うとリーダーはエルの方を見て更に怯えていた。

木の上の奴は落ちた時に死んでいる。

今はリーダー以外の奴らは光になり消えて、金と持っていたアイテムをバラ撒いてる状態だ。



最初の下っ端は胸を殴り浸透勁で心臓を破壊し、2人目は指先で喉を潰して動きが止まった所を寸勁で心臓を破壊した。


ちなみにここで言う浸透勁と寸勁の違いは、殴って内部を破壊するのが浸透勁で、相手の身体に触れた状態から内部を破壊するのを寸勁としてる。

どちらも発勁の部類に入るが、俺はそうやって分けているだけだ。

仮想現実で人や魔物を相手に磨いた技、実戦に優るものはない。



この世界では住人もプレイヤーも死ねば光になって消え、持っている物をその場に落とすようになっている。

なので基本お金は銀行に預ける人が多い。



「さてお話しをしようか」

そう言ってリーダーの前に立つ。

エルは槍を向けていた。

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