29 妹!?
ファースに来た俺達4人は、ダインの師匠であるオージスさんに会いに向かった。
リュシャさんに教えて貰った道を進み、大きな作業場がある建物に着いた。
「すみませーん」
すると若い男が出て来た。
「はーい……えっと、なんの用ですか?」
「オージスさんって人、ここに居ますか?」
「……居ますけど、誰ですか?」
怪訝な顔をされた。
「仕事の依頼なんですが、これを渡せば受けてくれるかもと」
そう言ってリュシャさんに貰った封筒を渡した。
男は封筒を確認すると目を見開いた。
「リュシャさんの知り合いの方でしたか! どうぞ中へ!」
俺達は中へ通され、客間のような部屋に入りソファに座った。
「直ぐ親方を呼んできますね!」
男が部屋を出て行き俺達は顔を見合わせる。
「これ、絶対リュシャさんってオージスさんの……娘かな?」
「だね」
「だよな」
「それしかないだろ」
そんな話をしながら待っているとドアが開いて、大きな男と先ほどの若い男が入って来た。
赤い髪の横を刈り上げ、上が長く後ろで縛っていてるバーバースタイル、瞳が薄い赤で身長は2メートル以上、筋骨隆々の肩から腕に傷が入っている。
今は袖なし作業服って感じの格好をしているが何かの作業中だったのだろう、タオルを首にかけている。
切れ長の目で、目の上に大きな傷がある。
「あんたらか、リュシャに紹介されて来たのは」
そう言いながら座った。
「はい、俺は異界者のミクトです、こちらがベルとカイ、こっちがグレンです」
「おうよろしくな、俺はオージスだ、ファースで大工をやってる……で? 仕事の依頼か?」
「そうです、道場都市に建てて欲しいのがありまして」
そこから別館とか街に人が入って来るからいろいろお願いしてみた。
話を聞いたオージスさんは腕を組んで考えてるようだ。
「難しいですか? 期限は余裕を持ってますが」
目を開いてこちらに視線を向けて答えた。
「その画像のをダインの奴が作ったのか?」
「はい、弟子の人達と」
そういうと口端を上げてニヤッとしながら答えた。
「俺達が最高の物を建ててやろうじゃねぇか、しかもダインより早くだ!」
そこ競うのかよ。
まあちゃんと建てばいいか。
「じゃあお願いします」
「おう、皆に伝えろ、大きな仕事だとな!」
「へいっ!」
そう言うと横に立っていた若い男が部屋を出て行った。
話が終わり落ち着くと、オージスが聞いて来る。
「そういやリュシャは元気にしてたか?」
「元気でしたよ、ダインが今仕事で居ないんで、1人みたいですが」
「ほう……あの野郎、可愛い妹を置いて行ったのか」
兄妹かよ!!
ベル、カイ、グレンも横で驚いている。
幾つ離れてるんだ? 親子にも見えるぞ。
とりあえず1千万G払って、残りは完成した時に払う事になった。
明日から作業を始めると言い準備に入ったのでオージスの所を後にし俺達は街をブラつきながら、いろんな職人の店を見て回っていた。
本当に職人の街だな、鍛冶師だけでもどんだけいるんだ?
グレンは刀を見ながら回り、ベルはアクセサリーを見ていた。
俺は材料になる鉄等を見ながら回る。
大きな通りに出て歩いていると、何やら子供の声が聞こえて来た。
『何でじゃ!? ワシを連れて行ってくれてもいいじゃろぉ!!!』
『だからガキは足手まといだって言ってるだろ!! あっ、コラ! 足にしがみつくなよ!!』
『こんなかわいい子が頼んでるのじゃ! 連れてけ!!』
俺達はお互いに顔を見て首を傾げた。
自分でかわいいとか言う奴にロクなのは居ない。
声のする方へ行くと、少し青の混じった銀髪の長い髪の……幼女が男の足にしがみ付いていた。
身長1メートルも無い程小さく、初期装備の白のワンピースを着ている。
男に頭を掴まれ引きはがされると男達は走り去っていった。
幼女はすぐ周りをキョロキョロ見て次の獲物を探してるようだった。
するとベルが近づいて行き……抱きしめた!?
「えっ? 何してんのベル?」
「おーいベル、通報されるぞ」
「もしかして幼女好きか?」
後ろから抱きしめられた幼女は顔を上げてベルを見ると、目を輝かせ言葉を発した。
「おねえちゃん! 私を一緒に連れて行って?」
するとベルが前を向いた幼女を更に抱きしめ抱擁する。
新手の詐欺か? と思いながら近づいて行くと引いた。
「おい、あの顔……」
「ああ、あれはヤバいな」
「中身おっさんだろ」
幼女はベルの胸を堪能しながら顔が緩みまくっていた。
このゲーム、ネカマはできないが……あれは間違いなくおっさんだ。
何かのバグか? 通報するか?
そんな話をしていると、幼女が胸に揉まれながら叫ぶ。
「ワシは女じゃ!!」
「いやおっさんだろ」
「絶対おっさんだね」
「おっさん以外無いな」
するとベルも離して幼女を見る。
その視線に耐えかねたのか、画像を出して来た。
「これがワシじゃ! ……どうじゃ女じゃろ?」
その画像を見て俺は世界が回った。
違う眩暈だ……えっ? 幻覚でもかかったか?
もう一度見ると確かに女が映っている。
料理人の服を着た若い女が。
俺は幼女の顔を鷲掴みし身体を浮かせながら聞いた。
「おい……何してんだ千尋?」
「へっ!? もにかにて、おにいにゃん!?」
千尋はただダラ~ンと俺に持たれたまま、微動だにしない。
「お前、このまま顔を潰してやろうか?」
そんなやり取りをしている後ろではグレンとカイが……。
「えっ、あれ妹?」
「ああ、実の妹の千尋ちゃん」
「うわぁ……俺でも妹がああなら斬ってるな」
「ハハハ、千尋ちゃんは昔から面白い子で良い子だね」
その後、ベルが止めに来て一旦落ち着いてから話そうと近くのカフェに入った。




