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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
1章 VRMMO
3/109

3 出世したな。

街を出て、エルと雑談をしながら北の街道を歩いていた。



「そう言えばミクトさんのおかげでこの前、暴漢を取り押さえる事が出来ましたよ、ありがとうございます」

「油断するなよ?」

「大丈夫です! ミクトさんに教わった事はちゃんと現実でも復習して感覚を調整してますから」

俺が前のゲームで磨いた戦闘技術はゲームのステータスがある状態と、現実でも使える技を技術を理をも作った。それらをエルとエンは現実でも生かしているようだ。

「体の使い方であんなに変わるのは最初ビックリしましたよ、しかも……痩せて身体が締まりましたし♪」

確かに俺も現実で磨いた技や技術を慣らしてたら身体が締まったな。



「ミクトさん……いえ、師匠! 道場とかやらないんですか? 多分人が押し寄せると思いますよ?」

この子は何を言ってんだいきなり。

「道場? 俺が? いやいや、他の道場をやってる人に失礼だろ」

「いえいえ、ミクトさんの流派は最強ですよ、習いたい人は多いと思います」

エルが真剣な顔をして言って来る。



道場か……俺が創った技や技術をね~……。

そんな事に金を出すか? 俺なら自分で考える? そういう技術はもっと欲しいし磨きたいな。

頭の中でそんな事を考えていると林の奥から気配がした。

「これは動物の気配だな」

そうだ、この気配を感じ取る事も現実でも出来るようになった……つまりこれは技術、自分の感覚の使い方によるものだ。

これを加速時間のゲーム内で教えて、現実でも使えるようにする。



「もう探知系のスキル熟練度上がったんですか?」

「スキルじゃないよ、自分の感覚を使って感じ取ってるんだ」

「あっ、なる程です、私もある程度はできるようになりましたけど、範囲が狭いですね」

「そこは更に磨いて行けばいいんじゃないか? 良い場所があれば道場を建てるから、また鍛えてやるよ」

俺がそう言うとエルはパッと表情を明るくさせた。

「道場開いてくれるんですか!? ありがとございます! 楽しみだな~♪」

そんな話をしながら歩いていると複数の気配を察知した。



これは魔物だな……。

俺が立ち止まるとエルも立ち止まり槍を構え辺りを警戒する。

「20だ」

俺の言葉にエルは黙って頷いた。

囲まれたか……さてどんな魔物かね~。

「見えました、ゴブリンです」

ほう、今回のゲームはゴブリンが居るんだ。

林の中に子供サイズの緑の肌をし、目が大きく牙を生やした魔物が居た。



「まずいですよ師匠、この世界のゴブリンは小説や漫画、他のゲームのように弱い魔物じゃありません」

「へ~、それは面白そうだな」

「全然面白くありません! 言うなれば他のゲームだと中盤に出て来るような魔物ですよ?」

なるほど、それより……。

「何でそんな事知ってんの?」

「ハンターギルドで聞きました」

この世界のギルドは、言わばチェーン店の大きな会社のようなものらしい。



ハンターギルド:狩った獲物の肉を買い取り販売、魔物や動物の討伐依頼を出したりしている。

調薬ギルド:薬の素材の買い取りと、各種薬を売っている。

錬金ギルド:魔石の買い取りと、魔道具を売っている。

鍛冶ギルド:鉱石類の買い取りと、武具を売っている。

料理ギルド:加工食材や料理の素材買い取りと、加工品を売っていたり、食堂をやっている。

商業ギルド:馬車や大きな物の買い取り、行商もしている。



大きなギルドはこれぐらいで、それぞれ個人経営の店も同じ感じだな。


「こいつらは他の魔物より知能があります、集落を作って群れていたり連携をしてくる事もありますよ」

そらは確かに面倒だな。

「ゴブリン=雑魚と思って挑んだプレイヤーが結構やられています、何より数が多いです」

「それはいいな、技を磨くには持って来いの相手だ」

俺はそう言って腰の刀を抜いた。


『ギャギャギャッギェ!』

林の中からゴブリン共の声が響くと、囲っていたゴブリンが一斉に飛び出して来た。

「その場でやれ!」

俺はそう言って地面を蹴るとドンッと地面が陥没し土埃を巻き上げ、1秒程で正面に居るゴブリンに到達すると刀を振り抜き首を斬り落とす、その勢いのまま右側に居たゴブリンの胴体を両断すると、地面を蹴って左側に居たゴブリンへ飛び足刀で首を蹴り折るとそのまま後ろに居たゴブリンへ向かい、刀を振り下ろし袈裟切りにする。


ちなみにこれは魔力制御で身体を強化している状態だ。



「うわぁ、早すぎ……」

エルがそんな事を呟いていると6匹のゴブリンが迫って来た。

槍の持ち手を下の方にし間合いを伸ばすと、その場で回転しゴブリン共を切り刻むが4匹は生き残る。

すぐさま槍を両手で持ち突撃しながら2匹の胸を突き刺し絶命させる。

「ほう、結構早くなったな。 あの調子なら大丈夫だな」

俺は刀を鞘に納め刀をインベントリに入れた。



初期装備の刀は使いにくいのでここからは無手で行く。

棍棒を持ったゴブリンが俺に向かって走って来ると、少しタイミングを外してもう1匹木の槍を持ったゴブリンが向かって来た。

俺が自分から前へ出ると棍棒を持ったゴブリンが驚いて、棍棒を振るのが遅れた隙を突き顔面へ拳を突き刺すと後ろから来ていたゴブリンが、俺の頭目掛けて槍を突き刺して来た。



首を傾けギリギリで避けながらそのまま踏み込みゴブリンの胸を貫手で突き刺し絶命させると、左から飛んで来た矢を左に回転しながら左手で掴むと、槍持ちゴブリンの後ろから来ていたゴブリンの首に回転の勢いで矢を突き刺す。



周りを見ると弓を持ったゴブリンをエルが倒して残り6匹になっていた。



ダメだ、久しぶりの戦闘でテンションが上がって力が入りすぎる。

俺はその場で身体を解す為に軽く跳ねリラックスする。

ゴブリンへ向かって走って行くと振り下ろして来た棍棒に左手を添えて受け流しながら、肘を突き出し胸へと体当たりした。

所謂八極拳の頂心肘だ。

ゴブリンは5メートル程吹っ飛び絶命し、残りの5匹の内1匹をエルが始末すると、4匹は逃げ出した。



「逃がす訳無いだろ」

インベントリから刀を左手に出しながら走り出し、抜くと1番後ろを走っているゴブリンに刀を投擲すると胸を貫通しその場に倒れる。

走りながら刀を抜き一気に距離を詰め間を通りながら首を跳ねていくと、全てのゴブリンを討伐完了。



刀を振って血を落とし鞘に納めていると、エルが近づいて来た。

「流石死神ですね♪」

「はは、死神か……久しぶりに言われたな」

以前のゲーム、ネオワールドでそう呼ばれるようになったのは、PK狩りをしていたからだ。

逃げるPK達を何処までも追いかけて殺していると、掲示板や動画でそう呼ばれるようになった。

まあ、言い出したのは明らかにPK達だけどな。



「こいつらの肉は売れる?」

俺がそう聞くとエルは首を横に振って答えた。

「そこは他のゲームと一緒で売れるのは魔石だけですね、右耳をハンターギルドに持って行くと討伐報酬は貰えます」

と言う事なので、ナイフで胸から魔石を取り出し右耳を剥ぎ取って行く。



「やっぱ死体は放っといたらアンデッドになるのか?」

「そうですね、残りは燃やします」

「よしちょっと待ってろ」

俺はそう言うと魔力を地面に流していき穴を開ける。

「えっ!? もう魔法使えるんですか?」

「この世界に入った時から、魔力制御はやってたからな、これぐらいできる」

前のゲームからやってた効率のいい訓練方法が役に立った。



穴にゴブリンの死体を放り込んでいく。

「では燃やします」

そう言ってエルは火魔法を穴に放った。

「流石エルフ、魔法の威力が違うな」

「これでも魔力制御は毎日やってますから」

エルがニッコリ笑って答える。



辺りに魔物や動物の気配は無いので俺達はその場を後にして、街道を北へと向かった。

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