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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
1章 VRMMO
23/109

20 初門下生。

ソファに戻るとソウエンが小刻みに震えて青い顔をしていた。

それを見たベルが声を掛ける。


「あなたは大丈夫よ……ミクトが怒った理由は分かってるでしょ?」

ソウエンは何度も頭を縦に振っていた。



ダルはソファの横に正座する。

「子供が居るから『今は』これで終わりだ、続きを話せ」

チラチラと俺やベル、カイを見てから話し始めた。



「騎士団には教えて頂いた基礎だけを教えて、偶に摸擬戦をするくらいでした」

「だから大丈夫ですってか? 馬鹿か、今日から毎日殺してやる、お前が分かるまでな…………お前、ネオワールドで起きた戦争は知ってるよな?」

静かに頷いた。

「知っていながら、お前は騎士団に教えてたって事だな? あのクズ共のように戦争を起こして、めちゃくちゃにしたかったんだろ」

ダルは無言で首を横に高速で振る。

「同じ事をやってんだよ……お前はそこまで馬鹿なのか」

ダルは俯き涙を零していた。




ネオワールドで1度、大国同士の戦争があった。

その発端はとあるプレイヤーギルドだ。

その2つの大国は普通に条約を結んで数百年争ってない国だっが、その1つの国にプレイヤーが技術を教えた。

その技術で国は強くなっていき最終的に隣の大国に戦争をふっかけ勝利したが、負けた国が悲惨な状況だった。

自分達が強くなったと増長し、兵達が住人を殺して犯して蹂躙していたが。

その状況を知った俺達がその大国と戦争をして勝利し、その混乱を収めて終戦したのだ。

ちなみにそのプレイヤーギルドも俺達が潰したぞ。



「この世界で同じ事が起きれば、馬鹿なプレイヤーも同じ事をするだろうな、なんせできるんだからよ」

ダルはビクッと震える。

すると隣から凄い殺気が漏れ出してきた。

「落ち着けエル」

想像しただけでこれって、実際に起こったらどうなんのこいつ。



「まあ分かった、とりあえず騎士団にこれ以上教えるなよ、教えたら俺がそいつらも殺すからな」

「はい、分かりました!!」

「で? 世話をしてるって女だろ? ずっと面倒見るなら連れてこい、ここで世話をすればいい」

「……いいんですか? 連れて来て」

「ああ、街に家を建てるか、本堂にでも住めばいいだろ」

と言う事になったのでダルは直ぐ帝国に向かい、連れて来る為に本堂を飛び出して行った。



「さて次はソウエン、もうダルに許しを貰ってるなら、今日からここの門下生になるという事だがどうするかは聞いてから考えろ……『この世界で強くなれる技術』か『現実でも強くなれる技術』か、どっちを選ぶ?」

少しキョトンとした後答えた。

「それは勿論現実でも強くなれる技術です!」

「そうか……あぁ、じゃあ必要になるんだが……」

今まで対価を貰った事が無いから何て言えばいいか分からん!



言葉に詰まっているとエルが口を開いた。

「えーっと、現実でも使える技術と言う事なんで、ちゃんと料金が必要になるよ? 現実の1月いくらかで、この世界の約4年? くらいは教えて貰えるけど……料金はもう決めてます?」

おお、エルが言った……ネオワールドで店はやった事あるが、現物と金を交換だから違和感が無かった。

しかし技術という目に見えない物を売ると言うのは、何か不安になるな……今まで以上に責任もって覚えてもらうまで教えないと。



「料金は……確かネオワールドでやってた山さんの道場で……あっ、うちは保険とか無いしそうだな、3千円でいいか……月謝3千円だ」

「だそうです、なので月3千円お支払いできますか? 入会金とかは無いんですか?」

「そんなもんはいらん、デカい道場……流派じゃないしな、現実で試合とかやるなら自分で払って試合に出てくれ、昇級審査……は無いな」

エルとあれやこれや話してるとベルが口を開いた。



「じゃあ、ついでにその辺りも話し合いましょうか、その方が税金の方も纏めやすいし」

「そうか? 悪いなソウエン付き合ってくれ」

「はい!!」

その後、昼飯を挟み条件や費用等の話を詰めていった。



15時頃になってようやく纏まった。

結果はこうだ。



月謝3千円。

年会費は無。

昇級審査費用は無。

現実の試合は自己負担。

基本教えるのはゲーム内なので、保険は無。

現実で何かをするなら自己責任と自己負担。



となった。

つまり費用は3千円だけ、これは技術料だな。

ソウエンもそれで問題無いと言った。

「だがソウエン、現実に戻った時はちゃんと感覚の調整はしろよ? 身体能力が違うからな」

「分かりました……あの、格闘技も教えて欲しいんですが」

「ああいいぞ、見につけたい技術があれば教えてやる……あっ、契約書にサインしてくれ」

俺はメニューを開きちゃちゃっと弄って契約書の画面を出し、ソウエンの方へスナップして渡した。

するとベルが注意をしてくる。


「契約書はゲームの中だけじゃなくて、デバイスに保存しといてよ?」

「分かってる、現実で紙にコピーして保存もするから」

するとベルが頷いた。



ソウエンがサインしてるとエルが声を掛けて来た。

「ミクトさん、私格闘技をメインにしようかと思ってるんです」

「ん? まあ、いいんじゃないか? 槍はサブにする?」

すると首を横に振ってから答えた。

「槍は止めて棒術にしようかと、基本は格闘技で行こうかと」

「ほう、何でまた?」

少し間を開けて。


「暴漢を制圧したって話しましたよね?」

頷きで返した。

「あの後、変わった自分が嬉しくなったんです」

ん?

「ミクトさんに教わった格闘技のおかげで、以前のように恐怖で震えてるだけの私じゃないんだって……なので現実でも役に立つ格闘技をメインにしようかなと」

なるほどね~……そんな風に思うんだな。



するとベルが声を上げる。

「凄いねエルちゃん! 暴漢を制圧するなんて中々できる事じゃないよ!?」

「えへへ、ミクトさんの方が怖かったので、全然平気でした!」

なんだそれ……。

エルとベルだけが笑いながら話、俺とソウエンとカイは苦笑いを浮かべた。



「ソウエンは何でPKなんてやってたんだ?」

「えっ? 強くなる為です」

「強くなりたいなら、PKをするんじゃなくてPKを襲えよ」

「……なるほど、確かに!」



俺の周りの槍使いは馬鹿が多いな。

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