15 達磨1
Side:達磨
俺はネオワールドでは結構有名なプレイヤーだった。
戦闘はいつも前に出て戦う。
俺が槍を使うのは間合いが広いからだ。
そして俺はPKをしていた。
ただ嫌がらせをしたい訳じゃ無く、現実では決してできない事をやりたかった。
最初は普通にゲームをやっていたがPKされた時に『あっ、俺もやっていいんだ』って単純に思ったんだ。
それからは相手が初心者だとかベテランだとか気にせず、やりたくなった時に襲ってPKをやっていた。
そんなある日、女の子プレイヤーが1人で森にいたからこれはPKしようと思い、先に回って待ち伏せして、女の子が来たら飛び出し槍で突き刺した。
「キャアッ!!」
クソッ!
胸を突いたつもりが狙いがハズレて肩に刺さった事で、女の子は死ななかった。
「チッ、狙いが外れちまったな、じゃあさようなら」
俺がそう言って近づいて行くと女の子は目に涙を溜めながら喋り出した。
「どうしてこんな酷い事するんですか? 私が何かしましたか?」
「はっ? 現実じゃできない事をやるのがゲームだろ?」
お前に恨み何て無いよ。
近づいてとどめを刺そうとした時、俺の後ろから声が聞こえた。
「PKで正面から行けない奴が、何言ってんだ?」
その声に俺は振り返り見ると、黒髪赤目の男が立っていた。
「はっ? 正面から行ったらやられる可能性があるだろ、馬鹿か?」
俺がそう言うと男は笑った後喋り出した。
「クククッ……PKを探してたけどお前はただの臆病者か、だったらPKなんかやってんじゃねぇよボケ」
その言葉にキレた。
走って行き槍を突き出すと男は簡単に避ける。
突いても払っても当たらない。
「このっ……!」
前へ出ようとしたら、刀を首に突き付けられていた。
何だこいつ……動きが分からなかった。
すると男は刀を鞘に納めた。
「はっ? なんだ、PKもできないビビリかよ」
男は刀をインベントリに入れると、手を前にしてクイッとやる。
こいつは舐めてんのか? 槍に対して素手だと?
俺が渾身の突きを放つと奴の姿が消える。
気が付けば奴は俺の懐に居て笑いながら俺を見ていた。
その瞬間、背中にゾッと寒気が走るのを感じた事は忘れない。
男は俺の胸に手を当て一言呟いた。
「何回でも殺してやるよ」
そこで俺の意識が途切れ、気が付けば現実に戻っていた。
PKで3回討伐されると1月ログインできないペナルティがある。
ヘッドギアを外しタバコに火を点けて気持ちを落ち着かせる。
俺は最後の言葉を思い出し寒気を感じていた。
あいつは何なんだ?
それから1月は普段通り、別のゲームをやったりして過ごした。
明日からネオワールドにログインできるので、久しぶりに掲示板を見て最近の情報を確認した。
するとPK用の掲示板では、死神と呼ばれるプレイヤーが話題になっていた。
「死神? 大層な二つ名だね~」
他の掲示板を覗いて死神が何処に居てどんな奴か確かめ、ログインしたら俺がPKしてやろうと思っていた……この時までは。
入って早速死神を見つけた時俺は自分を馬鹿だと本気で思った。
「ん? よう槍男、せっかく会ったんだ、また殺してやるよ」
そう言って死神は俺の首を撥ねていた。
意識が一瞬途切れ、戻ると街のポータルに立ったまま色々考えていた。
マジかよ……あれが死神? あの時の男が……。
あいつは異常だろ、会っていきなり首チョンパとかどうなってんの!?
ポータルの前でずっと考えていたら声を掛けられた。
「あれ? また会ったな、約束だから殺してやる」
「……へっ?」
振り返って俺が見たのは笑いながら首を斬っている死神だった。
意識が戻ると死神は消えていた。
気が付いたら身体が震え、抑えようとしても収まらない。
暫く拠点に引きこもり、どうしようか考えて1つ思いついた。
俺はそれを実行するために死神を探し、見つけた瞬間にジャンピング土下座をした。
「すみませんでしたぁあああ!!」
「はっ? 何が? ……あれ? お前PKの槍男か」
自然と身体がビクッと反応した。
「何だまた殺されに来たのか?」
俺は頭が千切れそうな程横に振って否定した。
「もうPKはしません!! どうか弟子にして下さい!」
すると死神は、他にも戦い方を教える奴がいるから一緒に教えてやるという事で、その日から俺の得意な槍を教えてくれた。
死神は……いや師匠はやっぱおかしい、どんな武器も使いこなすって何者なんだ?




