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吸血鬼がいく。  作者: あれです。
1章 VRMMO
13/109

13 死神。

テントの中で目が覚めると日の出前だったので、いつもの鍛錬をしているとエル達が起きて来て一緒に鍛錬をしてから朝食を食べる。



ログアウトして3時間程だからゲーム内は6日経っている。

現場を見ると黒金の外壁が出来ていて、主要となる道場の外側が出来ていた。


「早いな」

俺の呟きにエルが答える。

「私達は昨日から入って、作業してましたから」

ああなるほど、だからこんなに進んでたのか。

「あっそうだ、えーっと、この世界で2日後に友達が来るから迎えに行って来るわ」

「えっ? ミクトさん現実で友達居たんですか? ギャッ!」

変わらずの手刀を喰らわす。

「失礼な奴だな、居るわ!」

みんなと会う前にスズ達は引退したからな。



それから作業をして昼休憩の時、ダインに進捗を聞いた。

「道場の方は今中をやって、今日中に終わるから夜には使えるぞ」

「おっ、マジか早いな」

「家具とかは手配しろよ?」

「ああ分かってる」

「道場自体は床が石だからすぐ終わった、後は他の建物も弟子達が建てていくだろ」

「ん? ダインはやらないのか?」

俺の言葉にダインは少し難しい顔をした。


「あぁ……ちょっとした仕事を頼まれてな、そっちに行かねぇとやばいんだよ」

ほう、何か訳アリか。

「何か手伝える事があれば言えよ」

「おう、そん時は頼む」

休憩が終わり作業を再開したが15時頃になってオークションの金と賞金首の金を取りに行くのを思い出し、ついでに買わないといけない日用品や家具を買いに行く事になった。



エルと2人でサキドへ行き詰所で賞金を受け取り、オークション施設へと向かう。

受付嬢に言うとギザントを連れて来た。

「ようミクト、えらい遅かったな」

「ああ、自分達の世界に帰ってたんだよ」

「なるほどな、ほれ良い値で売れたぞ」

この世界のNPC、住人にはそう認識されているのでこの説明で納得する。


ギザントが大きな袋を受付台に置く、受け取りインベントリに入れると5千5百万G増えた。

「あれ? 1本1千万程じゃなかったのか?」

「それは前の時で今回は状態も良く、しかも2本だ、帝国とリターナ王国に売れたぞ」

リターナ王国? 東の王国は確かタイロト王国だったから西か。

少し話をしてから施設を後にし俺とエルは街で日用品や食材、ベッド等を購入して道場へ戻った。




東門から出て暫く進むと街道が雑木林に入る手前で、前方に気配を察知した。

「前方左右に2づつ、後方に2」

歩きながらエルに伝えると驚いていた。

「えっ? 後方って……」

「ずっと街の中から尾行されてたぞ」

「マジですか?」

「マジだ……俺達が金持ってるのを見て、仲間に連絡して挟み撃ちって所か……馬鹿な奴らだなぁ」

「うわぁ~悪い顔してますね」

ニヤッと笑った俺を見てエルが失礼な事言う。


「どの世界にもこういう馬鹿がいるんだ、そいつらを殺すのは楽しいだろ?」

「何当たり前だろ? みたいな顔して言ってるんですか……PKだとしたらヤバいんじゃないですか?」

「PKだろうが住人の野盗だろうが変わらん、クズは殺すに限る、そうすりゃ他の被害者が出ないからな……まあPKはまた戻って来るだろうが、それはそれで楽しい」

「PKに恨まれて狙われたら面倒ですよ~」

「あんな人から奪う事しか考えて無い頭空っぽの奴に狙われて何が怖いんだ? それに狙われたら良い鍛錬になるぞ、中にはただ人を殺したがるPKも居るからな」

「やっぱミクトさんは異常ですね」

「以前は途中から向かって来なくなってつまらなかったが……」

このゲームではどうかな?



そんな話をしながら雑木林に入ると左右から金属鎧と革鎧を着た男達2人が出て来た。

武器を最初から出して構えながら距離を詰めてきている。

剣と短剣か……我流っぽいな。

それにこいつらはPKする事に慣れている。

襲う時はターゲットの倍の数で行くと言うのが……初めてじゃないな。



男達は一言も喋らずジリジリと詰めて来るだけで襲い掛かって来ない。

後方の奴らを待ってるな。

エルは槍を構えて様子を見ている。

「後ろの奴らを待ってんのか? そろそろ到着するだろ……楽しもうか」

俺が最後、ニヤッと笑うと男達は警戒した。

そうしてると後方の奴が到着する。



「待たせたな、さあ金とアイテムを貰おうか」

「殺されて取られる方が良いのか?」

「そっちの女は見逃してやるぞ?」

「それとも俺達と後で楽しむか?」

あっ、馬鹿……やっぱりエルの奴、冷めた表情と目をして殺気が駄々洩れだ。

最後に言った奴は前に居た短剣使いなので。

「前をやれ、後ろは俺がやるから」

「……はい、ありがとうございます」

お礼を言うくらいには冷静なんだな。



後ろの奴らは1人が革の胸当てを着た大剣使い、もう1人は軽装で槍使いだ。

「このままやるか? ちょっと下がって離れた方が巻き添えにならないと思うが」

「はっ? 勝てるつもりか? 馬鹿だな」

俺の言葉に大剣男が答えた。

すると黙って聞いていた槍男が口を開く。

「おい、少し下がるぞ」

「えっ? マジ?」

大剣男の言葉に槍男は頷いて答える。

2人は構えたまま後ずさりエル達から距離を取ると大剣男が剣を振り上げ突っ込んで来た。



いい突進力だ迷いが無い。

振り下ろされた大剣を横に飛び避ける。

地面を強く叩き少し土埃を巻き上げる中、大剣男が聞いて来た。

「おい、武器は構えないのか?」

「あっ、武器の性能を試すか」

そう言って俺は木刀を取り出すと右手で持ち、構えずに力を抜いて立つ。

「……黒い木刀?」

槍男が呟く。



「へー、剣士か? 剣道?」

大剣男の問いに俺は答える。

「いや、オールラウンダーかな」

すると俺の言葉に槍男が固まった。

「なんだおーるらうんだーって?」

大剣男の言葉に槍男が説明を始める。



「ネオワールドに職業やクラスは無いが、戦い方で格闘家や剣士と呼ばれていた者は居た」

「ああ前のゲームな、それは知ってる、動画見てたから」

「その中で1人だけオールラウンダーって呼ばれるプレイヤーが居たんだ」

「だからそのオールラウンダーって何だよ?」

「前衛、中衛、後衛、生産、全て出来る者はそう呼ばれる」

「はっ? 何だそのチート」

俺は2人の話を聞きながら槍男を観察していた。

こいつは俺の事を知ってるみたいだし、実力もそれなりにある。

構えから素人じゃないのは分かるからな。

現実で槍術を習ってるんだろう。



そんな中、槍男が説明を続けていた。

「まあリアルチートだな」

「リアルチート?」

「プレイヤースキルで、全て出来るって事だ」

「はぁ!? そんな奴居ないだろ~」

大剣男の言葉に槍男は俺を指さした。

「死神」

「死神?」

「ネオワールドで有名なPK狩りの死神、いつも1人でPKを追いかけ回し殺しまくっていたプレイヤーだ」

「マジで? それが本当なら俺達ヤバいんじゃね?」

「本当だ、100人のPKと1人でやり合って勝ったのは1番有名な話だろ、動画見てないのか?」

「あぁー、何か1人で大人数とやり合って勝ってる動画あったな、やらせだと思って見てないわ……えっ、あれやらせじゃ無いなら俺達終わりじゃん」

その言葉に槍男は真剣な表情で頷いた。



2人して俺に視線を向けたのでやっと始まるのかと思い声を掛ける。

「さて、やろうか」

「まあ、本当かどうか何てやれば分かる、勝ったら俺が有名になれるしな」

その言葉に槍男は溜息を1つ吐いて口を開く。

「俺も試してみたいな、どんなもんか」

「じゃあ俺が先にやらせて貰うぞ」

「どうぞ」

こいつら面白いな。



大剣男が地面を蹴り俺に突進してくる。

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