12 帝国の歴史。
国を作るとは言ったが、その前にやる事はある。
皇帝に会い戦争の責任を取らせる。
その為に俺達は、皇帝が居る帝都ガルダインへと来ていた。
帝都で宿を取り、エル、エン、アル、シェリア達と俺の部屋で話し合っていた。
「明日、皇帝に会う事になっているから、準備しておけよ」
「私達も会うんですか?」
「当たり前だ、と言いたいが、別に俺だけでも良いな」
「いえ、私も行きます、ミクトさんだけだと絶対戦闘になりますから」
「僕は母と一緒に冒険者ギルドで依頼でも受けようかと思ってます」
「じゃあ俺も、依頼でも受けようかな」
うむ、エルと2人で行く事になってしまった。
翌日、俺とエルは城へ行き応接室で待っていると、サイファスが訪れた。
「ミクト殿、久しぶりじゃのう」
「元気そうだな」
お互いソファの対面に座り、茶を飲みながら話始めた。
そこでチラっとサイファスは横に座るエルに視線を向けると、また俺に戻した。
「次はエルフの弟子か?」
「こいつはアル達を弟子にする前からの弟子で、まだまだだが一応師範代だな」
「ほう……師範代とは結構な腕前と見たが、どうじゃ? 摸擬戦など」
この爺さんも相変わらずだな。
「剣聖と呼ばれる貴方の実力は気になりますが、今日は皇帝と話に来ましたので、またの機会に……」
と、笑顔で断るエル。
「うむ、そうじゃな、楽しみにしていよう」
サイファスはグランシェルトの兵に敗走してから、数日前まで治療をしていたらしい。
サイファスに勝つ兵士とは中々面白い。
数人の部下を失い、今は静養中との事。
ジッとしてろよ爺さん。
暫くして騎士が呼びに来た。
「準備が整いました」
「よい、ワシが案内する」
サイファスがそう言って騎士を下がらせると、綺麗な廊下をサイファスが先導し謁見の間に着いた。
豪華な扉が開くと豪華で広い空間が目に入る。
流石皇帝だなぁ。
他の王達より威厳を示さないといけないからこんなもんか。
左右には豪華な服を着たおっさんや若い男が立ち並び、その後ろの壁際には騎士が並んでいる。
サイファスが歩き出したので後を付いて行くと、玉座に上る階段の手前で跪いた。
勿論俺とエルは立ったままだが。
「武神、ミクト殿をお連れしました」
その紹介はどうかと思うが。
「皇帝陛下の前で跪かんとは、礼儀も知らぬ田舎者か?」
とは、貴族達の中から聞こえた言葉。
「騎士よ、こやつらを斬れ! 不敬罪で斬れ!」
とは、別の貴族の言葉。
自分で斬れよ。
「黙れぇ!!!」
とは、跪いていたサイファスの言葉。
デカい声だな。
「待てサイファス、俺に任せろ」
「お主に任せたら殺すじゃろ」
爺さんにジト目で言われた。
「俺を何だと思ってるんだ」
まあ、最初は殺そうかと思ったけどね!
チャンスをやろう。
『黙ってろ、次に喋ったら首を落とす』
神の言語で言うと貴族達は顔を青くし、視線を下に向けて黙った。
言語は理解できなくとも、本能が理解する。
便利だな。
「何じゃ今のは?」
「有難い神の御言葉だ」
そう言って笑う。
「さて……皇帝」
さっきからずっと黙っている皇帝。
入った時からジッと俺を見ていた。
「今回の戦争の、後始末をしようか」
そう言うと目を瞑り、少しして目を開ける。
「そうだな、お主にガリデールの領土を譲る……で、どうだろう?」
ほう、俺が言う前に提示するとは話が早くて助かる、やるな皇帝。
「それで良い、それで身内に戦争を仕掛けた事は勘弁してやろうそれより……」
ここで話す事でもないか。
「これにて賠償の話は終わりだ……ミクト殿、別の部屋で少し話さぬか?」
こいつは人の気持ちを汲み取るのが上手いな。
「ああ、それでいい」
「では付いてまえれ」
皇帝が玉座を立ち、マントを翻し歩いて行く。
護衛の騎士に囲まれ隣の部屋へと向かった。
ソファに座るや否や。
「ぶはぁー、疲れたわい」
何だこの皇帝。
さっきと全然雰囲気が違うぞ。
「陛下、ちゃんとして下され」
付いて来たサイファスに窘められている。
「良いではないか、あのような堅っ苦しいのは昔から苦手じゃ」
俺とエルも対面に座る。
すると皇帝は真剣な表情になり口を開いた。
「ワシに皇帝の資格が無いと言いたいんじゃろ?」
流石皇帝だな。
「ああ……三王を纏められてないからこうなったんだろ? まあ、今回は遺物も関係してるが」
俺がそう言うと頷いてから話始める。
「初代皇帝様が作り上げたこのケルミナ帝国は、1500年の歴史がある」
長い事続いている国なんだな。
「しかし、ワシら皇族は初代様の血が入っている訳ではないのじゃ」
ん?
「謀反でも起こしたか?」
「違うわい……初代様は妻を持たなかったと、書物には書かれていた」
「じゃあ……養子?」
皇帝は頷いた。
「書物によれば、初代様は魔人なのじゃ、それ故、初代様は妻を娶る事をしなかったと伝わっている」
魔人が居るのか。
「で? 養子だから、纏める力が無いとか言うつもりか?」
それなら今直ぐ滅ぼしてやるが。
「違う、ワシら皇族は正当な後継者ではない……ワシら皇族はずっと待っておるのじゃ」
何を?
「初代様の血を受け継ぐ者をな」
「じゃあ猶更ちゃんと纏めろよ、不甲斐ない事してたら初代に笑われるぞ?」
「そうじゃな……」
「ミクト殿、陛下はちゃんと実力でも三王を上回っておるぞ」
「強いだけで上に立てる訳じゃ無いだろって、俺にはよく分からんけど」
人の上に立つなんて誰にも分からんと思うが。
正しく導く者って、どんな奴だろうな。
その後、雑談を少ししてから俺とエルは城を出た。
宿への帰り道。
「国ってどうやって運営するんだろうか」
「道場都市のようにやればいいんじゃないですか?」
「なるほど……国民全部を門下生にすればいいのか」
「馬鹿ですか?」
「冗談に決まってるだろう?」
俺の国の運営は決めている。
面白く、楽しくだ。




