11 戦争終結。
アイとの話は終わり、お別れを言った後。
俺は地上へと戻っていた。
丁度振り返った所だ。
「師匠? どうしました?」
アルが聞いてくる。
どうやら呆けていたようだな。
まさかあんな体験をするとは思ってもみなかったよ。
ふぅっと一つ息を吐いて地面に横たわるエルへと近づいた。
エルに向けて手を翳すと手に入れた力を使う。
『現世から離れた魂よ、ミクトの名において命ずる、我が眷属として今ここに戻って来い』
これは高次元に存在する言葉。
神と呼ばれる者と世界にしか理解できない言語なのだ。
「魂の帰還」
「えっ……師匠? 今のは……」
エンが聞いてくるが、結果を見れば早いだろう。
すると、空中から光がエルの遺体に降り注ぎ、最後にバスケットボール程サイズの光の球が降りて来ると、エルの身体へと入って行った。
黙ってエンもアルも成り行きを見守っている。
少し経った所で、エルの指が動き、瞼が動いて目を開いた。
「姉ちゃん!?」
「エルさん!!」
エルは良く分からないといった顔をしながら身体を起こし、辺りを見回すと口を開いた。
「私って……死んだよね?」
「ほう、自覚があるのか」
俺の言葉に振り返る。
「ミクトさん!? あれ? さっきまで居なかった…あれ?」
「あんな雑魚に殺されるとはな、これからはお前をきっちりしごいてやるから覚悟しておけ」
「げっ……(ミクトさんなんであんなに怒ってるの?)」
横に居るエンに何か聞いている。
はぁ、神か……まあ、やる事は変わらないかな。
まさか十剣の魔王を倒したら神になるとはねぇ。
どちらかと言うと俺は、神より魔王だと思うんだが。
そんな事より、ふざけた事をした奴らに制裁をしないとなぁ。
きっちり落とし前をつけてもらわないと……身内を戦争に巻き込むとは、滅んでも文句は言わせんぞ。
「ミクトさーん」
声の方を見ると、シェリアが手を振りながら走って来た。
「ふぅ、流石ミクトさんですね、先ほどの戦い見てましたよ」
どうやら他の所で、兵を避難させていたらしい。
「あれ? みなさんどうしたんですか? アル?」
エンもアルも泣いている事に気が付き、シェリアがアルに聞く。
「実はエルさんが……」
と、シェリアに説明を始めた時。
帝国側で魔力が膨れ上がり、空に向けて光の柱が昇って行った。
まだ何かあるのか?
帝国は滅ぼしたほうが良いかな。
そんな事を思いながら視線を向けると、4メートル程サイズのミニ十剣の魔王モドキが見えた。
「何だあれ?」
「魔王?」
とエンが言う。
なんと、ミニ魔王は自分の陣営で暴れ始めてしまったのだ。
何がしたいのか良く分からん。
とりあえず殺しておくか。
次の瞬間には魔王モドキの後ろへ転移し、首を斬り落とした。
周りはシーンと静まり返る。
俺は周りを威圧し言葉を発した。
「お前ら、そこでジッとしてろ、逃げれば斬るからな」
俺の言葉に返事も出来ず、じっとしている。
周りをよそに、斬った魔王モドキを調べる。
「こいつは、元人間か? ……おいそこの、お前、こいつは誰だ?」
近くに居た兵士に問いかけとビシッと敬礼をして答える。
「この方は、グランシェルト陛下です!!」
「誰だそれ?」
「えっ……と、三王の一人です」
あぁ、エンが何か言ってたな。
後で何かに使うかもしれないし、死体はインベントリにしまうと、周囲に宣言する。
「戦争は終わりだ……続けたいなら俺が相手になるぞ?」
言葉に殺気と魔力を載せながら言うと、数人が気を失い他の者は武器を捨て、その場に膝を突いた。
これで戦争は終わったな。
本当に面倒くさい。
その後は、生き残った王の側近達を集め、カーラン王国の将軍とエル達も一緒に話し合う。
と言うか命令だな。
何か反論しようものなら、その場で首を斬り落とすつもりだったのだ。
戦争を仕掛ける奴らなぞ今後必要無い。
とりあえず、兵士を引かせて王都へと戻らせる。
カーラン王国への賠償は確実で、今後の事は追って伝えると言う事でこの日は解散になった。
詳しい事情は後日、ケルミナ帝国にあるガリデール王国王都ソリアスに建つ城へ行き、側近や第一王子のカルシウスとの話で大体分かった。
グランシェルトが遺跡から出た遺物で、十剣の魔王を召喚した事、本人が魔王モドキになったのも遺物の力。
性格が変わったのも遺物の影響。
そして、その遺物を献上したのが商人であると言う事。
おそらくその商人も、遺跡から出て来た遺物をただ献上しただけだろう。
遺跡って物騒な物があるんだな。
話し合いの後、俺達は城に泊めて貰っていた。
今は俺の部屋に集まって今後の事を話し合っている所だ。
「じゃあ、師匠は旅に出るんですか?」
とはエンの言葉。
他のレイドボスが居るかもしれないしな。
それを見つけて戦いたいと思っているのは俺だけのようだ。
しかし、これまでの事を考えて、それは無駄になるかもしれないのだ。
「まだこの世界に来ていない可能性もあるから、旅は一旦延期にしようかと思っている」
そうなのだ、まだ来てない可能性があるし、大昔に来て既に滅んでいる可能性もある。
そんな中、探すのは阿保らしい。
なので、俺は別の事をしようと決めていた。
「国を作るぞ」
皆はポカーンとしていた。




