10 神降臨?
ついつい変な声を出してしまったが、それは仕方がない事だろう。
振り返ればそこは真っ白ってどこの歌だって感じだ。
また後ろを見たが真っ白のままの空間。
辺りに気配は無い。
何かの罠か?
「初めましてミクト様」
様だと? 不思議に思いながらも振り返ると、そこにはストレートで蒼く光った長い髪に整った西洋風の綺麗な女性が居た。
服装はトーガのような布を纏って、足は見えないが、スタイルも整っているのが良く分かる。
まず気になっている事を聞かなければ。
「俺を敬称で呼ぶのは何だ? お前に様付けで呼ばれる覚えは無いんだが?」
「フフフッ、失礼しました。 では、ミクトさん……此処へは世界に認められた者しか来る事はできません、そしてミクトさんは認められ、此処へやって来たと言う訳です」
「うん、全く意味が分からんぞ? 世界に認められたって、世界は生きてるのか?」
社会は人が集まって生きてるだけだろ。
「世界は生きてます。 勿論、ミクトさんの思う社会とは別です」
ほう……。
「つまり、俺達が認識しているこの世界その物……星って事か?」
「ん~、それも少し違います。 この世界……宇宙も含めての世界です」
「…………何となく理解した」
それは……この宇宙を創った者って事じゃね?
「まず私は、この『世界』の管理神をしております、アイです、よろしくお願いします」
うむ……。
「アイ、だったか」
「はい」
「何故俺に遜る? ましてや管理神をしてるなら、お前の方が偉いんだろ?」
俺がそう言うと首を横に振る。
「私は作られて日が浅い神ですが、ミクトさんは人の身でありながら、自分の力で神に至った方ですので、ミクトさんの方が格は上です」
「ん? そこの格付けの基準んがよく分からんが、俺は神になったのか?」
「いえ、今はまだ人の身です。 これからミクトさんは神の資格を与えられます」
「与えられる? 誰にだ? そんな他から貰う力なんて要らんぞ」
そんな物、自分で手にした力とは思えない。
「それは世界から与えられる力……とは少し違いますが、与えられれば理解できると思います」
そう言うとアイは、後方へ滑る様に移動し俺から離れる。
俺は辺りを探るが特に何もない。
何かが迫って来る感じもない。
俺が首を傾げた所で、ドンッ! と、俺に光が降りて来た。
「何だこれ?」
全く気配を感じなかった。
ゲームの強制イベント的な物か?
自分の手や身体を見るが特に変化は無い。
眩しくないのが不思議だなぁ。
上を見てそんな事を考えていると、光が全て俺に入り消えた。
その瞬間、視界がドクンと1度だけ揺れる。
「これは、アライブワールドでも……」
あったバグと言おうとした時に、自然と理解が出来た。
自分の中にある力。
何が出来て何に使えるのか。
そして……。
「あれはあいつの仕業か」
アライブワールドで起こった視界がブレるバグ。
それと、この世界に来た原因。
「お前が言った意味が完全に分かった、世界が生きているって意味が」
アイは笑っているだけで答えない。
あのアライブワールドで起こったバグは、世界を創った者? の仕業。
この世界に連れて来たのも同じ。
今なら分かる。
『大いなる意志』
こいつの事を全部は分からないが、こいつは俺でもありこの世界でもある。
そして少し感覚で分かったのは、こいつは『暇』なんだ。
生物が嫌う『暇』。
何かをしていたり、何かを考えたりしていないと生きられない。
そう創ったんだ。
自分が暇だから。
こいつは何でもできて、何でも創れる。
願う事は何でも起こせる。
それは逆に究極の『暇』と変わらない。
小説を書きたいと思えば、次の瞬間には出来上がっている。
こういう場所に行きたいと思えば、次の瞬間にはその場に居る。
何でもできるってのは、面白くないよな。
しかし、できない事を創ればいいんじゃね?
何でも創れるなら、できない事を創れば楽しめると思うが……いや、自分で創って苦労するって、究極につまらんな。
「だから対局になる様に創ったのかな?」
「それは私にも分かりません」
光と闇、火と水、善と悪、生と死等の対局する物を創ったのは『暇』にならない為?
光だけの世界。
闇だけの世界。
善だけの世界。
悪だけの世界。
「……ハッ、確かにつまらんな」
俺達を通じて、自分も楽しんでるのかねぇ?
それなら俺は自分が思う、もっと面白くもっと楽しく生きてやろう。
それと…………あいつを起こしてやらないとな。




