第二章 サバイバルスタート3
そんなことがあった――。
時にしてほんの数分程度。
だけど、かなりの時間を走った気がする……。
俺の視界に入ったのは……。
「よ、洋介……!!」
洋介は横たわっている。そして二匹のゴブリンが洋介を挟んで座り込んでいる。洋介の腹に手を入れて、そして口に持っていく……。
てめぇら! 汚ねぇ手で、俺のダチに触るんじゃねぇ!
怒りを押し殺し、ゆっくり近づいていった。怒りに身を任せてはだめだ。洋介の仇をとるのなら……彼の想いを形にするなら……必殺しかない。
夢中で貪るゴブリンの背後に立った。
息を殺し、全体重を乗せてロングソードを叩き落とす。狙うはゴブリンの首筋。俺の一撃はゴブリンの首へ命中し、胴と頭を分断させた。ゴブリンは、重力に従うようにそのまま前方へと倒れる。残る一匹は「ウギィ」と咆哮を上げて身構えようとするが、間髪入れず奴の顔面に重たい剣先をぶちこんでやった。
黒瀬先輩の鋭い突きをもかわす猛獣を、俺は仕留めることができた。洋介がゴブリンの横腹に、鉄の爪で深い一撃を叩き込んでくれていたからだ。
洋介は無残な姿で、赤焼け空をじっと見つめている。
俺は洋介のまぶたを閉じ、声を殺して泣いた。
ゴブリンの躯は、しばらくすると跡形もなく消滅し、金塊が散らばった。それをかき集めて袋に詰めると、再び街へ急いだ。