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第七章 すべてが許される自由なる世界フリーダム・それがこの無秩序(デス・アライザ) 1

 カルナ達を破った夜。

 ソファーに深く腰を沈め、天井を見つめていた。この日もプロペラはゆっくり回っている。

 だが俺の視界には何も映ってこなかった。頭の中では、何度も同じことばかりが駆け巡っていた。俺は人を(あや)めた。これが初めてではない。最初に殺ったのはザパンだ。あの時はとにかく必死だった。マークを見捨てることができず、我を忘れて飛びかかった。それ以降は、無我夢中でただただもがいていた。マークの無念を晴らせたときはマジで嬉しかった。

 でも今回は違う。殺さない未来もあったのかもしれない。

「何を悩んでいるんだい?」

「ユーチェン?」

 ラナの返り血を全身に浴びたユーチェンは、さっきまでシャワーを浴びていた。

 髪にタオルをまき、パジャマに着替えている。俺の隣に座ると、

「もしかして、人を殺すのは初めて?」

 ユーチェンは、俺がザパンを殺したことを知らない。他の者同様に、奴隷調教中の事故と思っているに違いない。

「私はもう何人も殺したよ。殺さないと、こっちがやられちゃうからね。サード・デス・ステージの時は、毎日のように殺し合いを続けた。だんだん感覚がおかしくなるんだ。殺した相手がちゃんと死んでいるかまで確かめてさ。横たわって死んでいる相手を何度も突いた。まるで旅行なんかで長期に家を空けるときに、鍵を閉めたかどうか気になって何度も確かめるように。倒した敵が、また起き上がってくるんじゃないかって心配で……」

 まったく想像もできない。壮絶な殺し合いがあったとだけは、何とか理解できるくらい。

「あれだけ殺しているのに、まだ心臓がバクバク叫んでいる」

 ユーチェンは、俺の手を取り、自分の胸に添えた。鼓動がトクン、トクンと脈打っている。

「……熱いの」

「お、おい……」

「キスして」

 思わず手をはねのけてしまった。

「君の方からできないよね。……綾乃に怒られちゃうもんね。大丈夫。言わないから。これは事故――」

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