昼休み+3限目
草木が生い茂る。
初夏
いつもの学食でナオとエリーそしていつから一緒に食べているカイル昼食をとっていた。
毎日メニューは代わるが生徒全員同じメニューで今日はサラダと魚のフライとパンだ。
「ねぇ。最近、ロッシーが元気ないと思わない?」
ナオとカイルは顔を合わせてきょとんとする。
「どうな」
カイルは乾いた返事をする。
どうみてもいつもと変わらないと思う。
出された物をロッシーはペロリと食べていた。
「違うのよ。いつもはおかわり2回はするのに今日もおかわりしないのよ。風邪の時だっておかわりするのに」
全然わからないし、あまり興味がない。
午後の授業始まりにルシオン先生はロッシーに声をかける。
「ロッシー。どうした最近、元気ないな」
ぇ、ルシオン先生も気がついてるの?
ルシオン先生とエリーの観察力には感心する。
「先生ええええぇぇぇ。俺のエリザベスが俺のエリザベスがぁ」
ロッシーも恋をして失恋するんだなぁ。私より大人だな。
ナオは同情するより感心してしまった。
ルシオン先生はロッシーの肩をぽんぽんとたたく。ロッシーは更に泣き始めた。
「俺のエリザベスが出てしまった」
「まぁ、いい事じゃないか」
「何がいい事なんですか」
「エリザベスは年頃のメスだろ?恋の季節だ」
エリザベスはメス?
ナオはメスと言う言葉に疑問をもった。
ルシオン先生はぽんとロッシーの肩を叩き教壇に立った。
「ちょっと飛ばすが今日は竜の繁殖について学んでいこう」
キャーと言う女子生徒の声が聞こえた。ルシオン先生の眼鏡が光った。
「こんな事でざわついてると彼氏がほー」
ナオはなぜか消しゴムを投げなけれはいけない気になった。
生徒からの消しゴム攻撃はよけるのに今日はスコーンとルシオン先生の頭に入った。
「先生~。手が滑りました」
「手を滑らせない様に」
ルシオン先生は消しゴムを拾いナオの前に消しゴムをおく。
竜は群れを作って家族の様に住む。人と一緒に暮らす竜は住む場所と餌を提供してもらい。人の依頼を受ける。そこに檻はつけておらず竜は自由に出入りできる事になっている。主に人間の依頼を受けるのはオスの竜でメスは巣、人と一緒にいる竜なら竜舎にいる。
「ここまでは今まで勉強してきた事だと思う」
竜は群事に繁殖期は違う。繁殖期なったメスが一匹いたとする。そうすると群全体的にメス、オス合わせて繁殖期になる。そして巣、竜舎から飛び立つ。
竜達は一緒に空を飛び波長のあった竜同士で番になる。
「時々、聖山近くで飛竜達が飛び回ってるあれは竜達のデートだ」
「フラれる事もあるんですか?」
いつも隅にいる小柄なベティが質問する。
「フラれるって言うか、まぁ。飛んでみて会わなければお互いさよならだな」
「飛んで気があいお互いに甘い香りがし始めると番成立になる。竜は番を見つけると浮気などは絶対せずに一生添い遂げる。お互い番の事が何より大切になる。番を守る為ならなんでもする」
「素敵な設定ですね。人に変えて竜と番になる。いいです。なかなかいい設定です。創作意欲がわきます」
ナオは入学したての頃の自己紹介を思いだす。ベティは小説を書いているって言ってな。どんな話になるんだろう。
読みたい!
「そうか。ベティ頑張れよ」
ルシオン先生は気が抜けた返事をする。
「先生、番ってなんですか?」
泣きはらした目でロッシーはルシオン先生に質問する。
「番はパートナーだ」
ロッシーはわからない顔をしている。
「結婚相手だ」
「俺のエリザベスに男ができるのか」
ふんふんとロッシーは怒りだす。
「メスの竜はオスの番を連れて自分の竜舎に戻ってくる。メスの竜がいるところは竜の頭数が増えるからとても喜ぶ」
「それでも何か嫌だ」
ロッシーの怒りはおさまらない。
「お前のエリザベスに子供が産まれるぞ。かわいいぞ」
ロッシーは赤ちゃん竜を想像した。
「うん。いい!」
明るい笑顔なる。
「ほっとしたらお腹すいちゃた」
ロッシーはお腹をおさえる。
「おい。ご飯食べたばかりだろ。落ち込んでた方がよかった」
ルシオン先生は後悔するのだった。