帰り道
カイルも一緒に帰ろうとエリーが引き留める。
「ごめん。父上に急いで報告しないといけない事があるんだ。これで失礼するよ」
断る為に苦しまぎれに出した言葉に聞こえる。
「え~。残業」
「ごめんね。今度、一緒に帰ろう。ナオちゃんもね」
手をふりそそくさとその場を離れる。
「ほんとですよ~」
カイルが見えなくなるまで手をふる。
「ふぅ。」
エリーはため息をつく。
「ナオもルシオン先生にフラれたんだね」
「私もってことはエリーも先生に告白したの?」
私は告白してないけどね。ナオは心の中でいいわけをする。
「うん」
隠す様子もなくエリーは返事する。
エリーもフラれた事にナオはなぜか安心してしまう。
授業をエリーが授業を何回か受けた。
生徒に教えてる姿、先生が生徒(主にロッシー)を怒ってる姿。
ルシオン先生いいかもと思い、いてもたってもおれずエリーはルシオン先生に告白をした。
「先生、卒業したら私と結婚してください」
「は!断る」
「こんな若くて顔もいいのに?」
「感心するぐら自信だな。私にだって好みはある。しかし、私のどこがよかったんだ?」
ルシオン先生は腕組みをする。
「先生の包容力的なところ」
エリーはキラキラした目でみる。
「まぁ、先生するには必要だよな。表面的な物だ。相手の事を知って中身をみなさい」
「先生の中身を知ればいいんですか?」
「先生はエリーに中身を見せる気はまったくない。それしお前本気じゃないだろ?」
「バレました?」
「貴重な放課後時間を無駄にした。こんな無駄な事して宿題忘れたなんて言ったら許さないからな」
「てな感じでフラれた訳よ」
帰り道すがらエリーは話す。
「あ~あ。ナオが男だったらいいのに」
突然、な...何をいいだすんだ。
ナオはびっくりする。
「私は竜騎士になりたいんだ」
エリーは照れくさそうに話す。
「きっと私、竜騎士になったら恋愛とかどうでもよくなっちゃう。だから今のうちに結婚相手見つけなきゃなぁって思う」
照れてる顔見せたくないのか少し先に行く。
「エリーは極端すぎ」
「私は貪欲だから竜騎士にもなりたいし、恋愛したいし、結婚もしたい」
エリーが立ち止まっててナオを見つめる。日が沈みかけていてエリーの顔が照らされる。
今まで見たなかでエリーが可愛かった。
「入学してナオと一緒にいると楽しくて本当の自分をだせて、竜舎に勤めるって言った時本気で嬉しかった。私が竜に乗って帰った来たらでナオが迎えてくれるのそんな夢みちゃった。あぁ~。ナオが男だったら本当にいいのになぁ」
「エリーが男じゃないの?」
「だって私は女竜騎士になりたいんだもん。だってカッコいいじゃない」
「厳しい道のりだね」
女性が竜騎士になるには狭き門である。例え竜に認められて騎乗できたとしても男性より体力的に女性の方が難しい。武器を持って空を飛ぶ事は男性でもかなり大変な事だからだ。
「うん。でも絶対になる」
エリーは空をみる。自分が竜騎士になり大空を飛んでる姿を想像した。
うんと強くうなずき意思を固める。
絶対なってやるぅ。
エリーは全力で走りはじめる。ナオは後を追いかけるも追い付けずにいた。
ナオの住んでいる紫花亭にエリーは先に付き大きく手をふる。
「ナオ、また明日ね」
「うん。また明日」
ナオも大きく手をふる。
ナオは紫花亭の扉をあける。
チリンと扉につけてある鈴がなる。
店は混みあっていて、その中に見慣れた後ろ姿があった。
「遅かったな」
何事もなかった様にルシオン先生が店を手伝っていた。
イライラして無性に蹴りたくなった。ルシオン先生に蹴りを入れるもひょいと避けられた。
いつか絶対に仕返ししてやる。