放課後の公園
帰れって言われたけどこんな気持ちのまま帰れないよ。
ナオは家の近くの公園のベンチに座り、かばんの中から竜の鱗をとりだす。
ナオはじくっりと竜の鱗をみる。
聞けなかったなぁ。
走馬灯の様にぶつかった時のように思いだす。
あぁぁぁ。
何をやってるんだ私はこの変な気持ちをかき消してしまいたい。
背中に石をのっけた様にナオは自分の膝に額をつける。
サァっと大きな雲が通りすぎる。風が渡り公園の木々がゆれる。木々が下からの舞い上がり下がると落ちついた。
え、何が起こったの?
ナオは周りを見渡す。
軍服を着崩したルーファスの姿がいた。呼吸を整え、服をきっちりと着直してナオに近づいてくる。そしてナオの前に立つ。
ナオは顔だけルーファスに向ける。
「ルー?」
あれ、前にもこんな事があったような。
ナオの頭にかすかによみがえる。
お父さん、ルーがきたよ。
嵐でもないのに家が揺れの窓がカタカタなる。幼いナオは扉を開けるとルーファスとルーファスの父親がたっていた。
その記憶がすっとナオの頭の中に入っていく。その記憶を忘れてた事さえナオ忘れてしまう。
ナオが持っている竜の鱗に文字が浮かびあがる。
ナオにルーと呼ばれている事に抵抗なくルーファスは自然に受け入れいた。
「ああ。無性にお前に会わなきゃいけいと思った」
番とはなんて不便なんだ。悲しい思いをしていると俺自身が気になって仕事にならないじゃないか。
ルーファスはナオが持っている竜の鱗をみる。
「父親のか」
ルーファスは自分の父親の物のつもりでいったがナオは自分の父親のだと思ってしまった。
「そっか、お父さんのか」
ナオは鱗を持ち上げてみる。
あれ、こんな模様?文字あったけなぁ。
「あ、え 」
書かれていた内容にルーファスは冷や汗を書く。
うわ、なんだこれ俺の文字だ。なんでこんな物があるんだよ。
ナオへ
お前の見た目はなかなか悪くない。だが美人とはほど遠い好きだと言う人もなかなかいないだろう。だからお前をもらってやる。万が一お前を好きだと言う人が表れたらそれはそいつの勘違いだお前の笑顔に騙されているだけだお前のどんくさい中身を知れば逃げて行くだろう。その中身から受け入れる事ができるのは俺だけだ。
そうだお前には俺だけだ。
古代文字勉強して書けるようになったから嬉しくて、ほとんど読める人いないからって、な、なんて上から目線で恥ずかしい事を書いているんだ。ナオはなんでこんな物を持っているんだ。捨ててくれ。
ルーファスは表情に表れいないが心の中で頭を抱える。
「そっか、私のお父さんのか、そうだよね。お父さんはルーシェ出身だもんね。黒い鱗持っててもおかしいくない」
やっぱりお父さんは不正するはずない。ナオの心の小さな石がぽろりと落ちた。
調べておくからあずかっておこうかとルーファスはナオに言いたかったが、ナオは黒い鱗を大切そうに抱きしめ鞄にしまってしまいルーファスは言いそびれてしまった。
うんうんと悪い事など父親はしていないとナオは自分を納得させた。
「ルー、私のお父さんどんな人だった」
さっきまでほとんどルーファスの事さえ覚えてなかったナオがあたりまえの様にルーファスと自分の父ジョエルと知り合いだと疑問に思わず言葉にしていた。
「そうだな。ジョエルは私の世話が係で堅いのなんのって規則だからあれ駄目、これ駄目ておやつの量までがちがちだったよ」
なんだかルシオン先生みたい。ルーファスから聞く自分の父親像はそんな風に感じとれた。
「本当に?私のしっているお父さんと全然違う。お母さんに内緒で私にはお菓子とかくれたのに」
母さんには内緒だぞ。っとジョエルがポケットの中から甘いクッキーを出しナオに渡す。
ナオは優しい時間を思い出した。
その顔見てルーファスも優しい顔になる。
ルーファスと話をしていたらナオのモヤモヤしていた気持ちがどこかに流れていた。
よしっとナオは立ち上がる。
メグさんの手伝いしなきゃ。
「ルー。ありがとう。スッキリした。」
ナオはルーファスに手をふり、鞄を抱えて急いで公園をあとにする。
ルーファスはナオを見送った後、再び思い出した。
手紙ーーーー!




