授業見学前の密談
授業が始まる前にナオは大きなあくびをひとつした。
眠いよ~。仕事で疲れててるのにいろいろ考えてなかなか寝つけなかった。番って何よ。あいつは竜かって。ルーファスの顔を思い出す。ルシオン先生に相談したいな~。机にナオは顔をつける。
「ナオ、大丈夫?今日はイルス国から王女様が見学にくるんだから寝ないようにね」
エリーは心配そうにナオの顔をみる。
「大丈夫。緊張するからきっと眠らないよ」
自信なさげにナオは答える。
教室のドアが開き教室がピンっと空気が張りつめる。入ってきたのがルシオンで教室内で一斉にため息をつく。
「そんなに残念がらなくてもなぁ」
冗談めいてルシオン先生はいう。
そして一度、教室を見渡す。
「なぁ。カイル」
「はぁーい」
席をたたなくてもいいのにカイルは直立不動でたつ。自国の王女がこられるという事でカイルはガチガチに緊張していた。
悠然としているいつものカイルとのあまりの態度の違いにルシオン先生は苦笑いする。
「ロッシー、おまえはもうちょっと緊張感持った方が良いぞ。」
ルシオン先生はロッシーの肩をたたく。
教室は自由席でなぜか生徒が嫌煙する一番前の席で机にへばり付き爆睡している。
先生~と情けない声をだしロッシーはルシオン先生の服をつかむ。
「先生、遊んでたわけじゃないんだ。家の商売で忙し過ぎて大変なんだ。イルスからの急な国の訪問だろ?人を使って物を運ぶより飛竜を使った方が早い。家はそれで大忙し」
ロッシーは再び机に顔つけて眠始める。
ルシオン先生は「お疲れ様」と胸元から眼鏡を取り出し軽くロッシーの頭をたたく。
「先生、なんだよ。まだぎりぎりまで寝てたいだよ」
「これ、かけておけ」
ロッシーに眼鏡を渡す。
「これって、今先生がつけてる眼鏡と同じだよね」
貸してもらった眼鏡をじくっりとみる。レンズ部分をさわってみる。柔らかい、ガラスじゃない。
ロッシーは眼鏡をかけてみる。視力がいいロッシーだが微妙に調節できてきてみやすい。
まじかぁー
「竜の鱗からできてる眼鏡、しかも透明」
鱗竜の表面を覆ってる透明な鱗だ。竜が姿を見せないように周りに同化してみえる。これかければ寝てても確かにばれないけどなぁ。
今度はルシオン先生をロッシーはじっくりみる。
「先生、いったい何者だよ。来ている物もシンプルで質素にみえるがめったに手に入らない素材でできてる」
「鋭いな。これを一目で鑑定できるお前も何者だって感じだかな」
「俺は家の商売がら叩き込まれっていうか~。まぁ いいっか。先生ありがたくかりておくよ」
今度は机に肘を付きいかにも授業聞いてますって感じでロッシーは眠りついた。




