闇夜に光る目
城は祭典が終わり使用人達が後片付けをはじめている頃、暗い城の中庭の東屋におかれたテーブルに夜目を光らせた1人と一匹がいた。
「ニールか、いつの間に名をつけてもらったんだ」
テーブルに置かれた報酬のチーズとフルーツを食べながらニールは目だけルーファスにむける。
「なんだ、うらやましいのか」
「そんな事は思っていない。」
ルーファスはふんと顔を横に向ける。
すぼしかとニールはあえて突っ込まずそのままチーズを食べはじめる。そしてぼそりと呟く。
「とっと巣に持ち帰ればいいのに」
「巣、持ち帰る」
ルーファスは額をおさえるチリチリと頭の奥が痛む。
「母上、嫌だ。ナオと離れたくない」
今より幼いナオを抱きしめる。
「この子はまだ子供です。人間の世界で生きなければなりません」
「嫌です。母上嫌です。ナオは僕の番なんです」
パンっと手をたたく音が頭の中に響く頭の中にあった記憶と痛みがとともに消え去る。
「あんな子供を連れ帰っても何の楽しみもない」
「そうですか」
ニールは面倒くさそうな顔した。
庭の木々が揺れる。
「猊下」
姿は見えないが聞き慣れ声が聞こえる。
「ルシオンか」
「1人つけられていましたが何もせずに帰りました。そして、ナオ様は無事に家に帰られました」
「そうか、ありがとう」
「じゅ、俺いくわ。交代だな。ナオのベッドにもぐりこも~」
「おい」
ルーファスの怒気のこもった声にも振り返らずニールは飛んでいった。




