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大量召喚の理由

奴隷を選択した者の半数は沖合に停泊する中型船に引き上げていた。魔物の襲撃で海岸にいたくない者たちだ。残り半分は戦奴試験を待つ間、海で泳いだりバーベキューを楽しみ奴隷になる前の最後の時間を過ごしていた。


「戦奴を選んだ奴ら様々だな」


「ああ、奴らのおかげで2日は自由に過ごせる。帝都に戻ったら奴隷だから嫌でも働かなくちゃいけない。仕事を選べないしな」


「どんな仕事させられるのかなあ。道路工事か炭鉱か、はたまた国王の墓つくりか」


「ピラミッドでも作らされるのか?おまえはエジプト人か。道路工事なら元の世界とかわらないじゃん」


「ちがいねえや、ワッハハハハッ」

二人は発泡酒を飲み交わし馬鹿話をし続けた。


船の甲板から海岸を眺める所長に副所長が話かける。

「所長、今回は残念でしたな」


「グラント君、こんな時もあるさ。使えそうな者はいたかね」


「はい。浅田という若い男と白井という若い女は元の世界でケンジュツとケンドーをやっていたそうです」


「そうか、彼らの世界の格闘術は非常に興味深い。だが対人間しか想定していないのが気がかりだな」


「はい。人型の魔物には通じてもそれ以外はなかなか厳しいかと」


「文献によればかの世界では昔はサムライという戦士が多く召喚者もサムライが多かったらしいじゃないか」


「そのようですな。しかし、今はサムライが混じることは0です。ニッポンジンだからサムライではないのは事実です」


「そうだな。我々がニッポンジンを召喚するのは物分かりがよく奴隷として御しやすいからだからな。見てみろ、あの様を。これから奴隷になるのというのに一時の享楽に身をゆだねる浅ましさを」

そう言うと海岸で飲んだくれて大騒ぎしている異世界人を指さした。


グラント副所長は咳払いをし、

「ところで所長。魔族との戦争も小康状態ですし、ここまで多くの召喚を続ける必要はあるのでしょうか?」


所長は真剣な表情で

「我々はただ労働力と兵力増強のために召喚しているのではない。皇帝陛下には別のお考えがあるようだ。君は知っているかね?99%の召喚者は我々に回ってくるが1%はどこか別の機関に回されていることを」


「なんと!それは一体・・・」


「私も知らされていないが噂では異世界の究極兵器「核」を作ろうとしているそうだ」


「「核」・・ですか。それはどのような兵器なのですか?」


「それは私もよくはわからないが国をひとつ一瞬で消滅させるものらしい。かの世界と我々の世界では科学技術に数千年の開きがるらしい。だから核を手に入れ魔族との闘いに勝利するためには核が作れる技術者を召喚する必要があるのかもな。そのために100万人でも200万人でも「当たりをひくまで」召喚し続けるのかもな」


「・・・。では我々はその「はずれ」を教育しているわけですか。やるせないですな」

副所長は落ち込んだ表情を見せた。


「そうしょげるな、グラント君!我々が教育し、帝国の隅々まで送り出した異世界奴隷たちによって帝国臣民の生活が向上したろう。もっと誇りをもちたまえ!」


「さて、私は少し休むとするよ。君も休むといい。戦奴試験はまだ始まったばかりだ」

そいういとアーノルド所長は船室に降りて行った。


「核兵器か・・・」

グラント副所長は海岸の異世界人達を見つめながらつぶやいた。

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