非人型魔族との闘いの難しさ
まずはラミアの全身をくまなく観察することにした。漫画などの愛らしい姿とは異なり、蛇のような目に割れた舌、腕や腹部まで覆われた鱗など人間部分が少ない見た目が嫌悪感を抱かせる。右手のミドルソードと左手の盾、牙としっぽが攻撃を警戒する部位と見える。
「そんなに見つめてどうしたの?好きになっちゃった?(笑)」
ラミアはいたずらっぽく声をかけてきた。
おれはそれをスルーして
「今日はよろしくお願います。浅田です」
と挨拶した。
「ララよ。手加減なしでお相手するわ。クセになるほど締め上げてあげるわ」
さて、どうしたものか。アイン戦ではヒーラーの世話にならなかったが世話になる前提で限界を把握するか。しっぽを警戒しつつ間合いに飛び込んでいった。
ララはしっぽで俺を薙ぎ払おうとしたのでそれを飛び越え、右肩めがけて深く切り込んだ。ララは剣で俺の攻撃を受けるとしっぽを戻し巻き付き俺を締め上げた。巻き付かれても腕は巻き付きから逃れたので何度も巻き付いたしっぽを攻撃したが巻き付きの圧力で体がきしみ苦しくなってきた。
バキッ
「ぐあっ」
ララの締め上げで肋骨が折れ俺は呻き声をあげた。
「クスクス、この程度で根を上げられたらラミアと愛し合えないわよ(笑)」
と言って顔を近づけてきた。
肋骨が折れ刀を振りにくくなっている俺は死力を尽くしてその顔めがけて一太刀浴びせるが盾で防がれ首筋をかまれてしまった。
「女の顔を攻撃するなんて最低ね。お仕置きの神経毒で反省しなさい」
そういいながらさらに締め上げた。
俺は締め上げの痛みで刀を落とし、泡を吹き意識を失いかけたていたが意識を失う手前で開放された。
「毒を楽しむ前に逝くのは失礼よ。ゆっくり味わってね(笑)」
そういうととぐろを巻きリラックスした様子で俺の苦しむ姿を見ていた。
頭痛、悪寒、手の震えと体の自由が利きにくくなってきた。これがラミアの神経毒か。
「これにどうやって戦えばいいのか?」
薄れゆく意識の中で非人型の魔族との闘いの難しさを痛感し、無策で飛び込んで瞬殺された愚かさを後悔した。