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戦斧vs新陰流③

甲冑がダメージに反応しているだけなので実質的なダメージはないが利き腕が動かないのはかなり致命傷だ。バノンの剣術の実力もわからない。お互い片手ではあるがまだ奥の手を隠している可能性もある。


そんな俺の思索をよそに

「さあ、かかってこいよ異世界人!」

と挑発してきた。


だが俺は安易な挑発には乗らず片手左構えでで対峙した。正直左片手は小刀でもそんなに練習をしていない。ましてや大刀は言わずもがなだ。


バノンが一気に踏み込み俺の左拳を狙って斬りかかってきた。すぐさま軽く手首を上げ剣をやり過ごしそのままバノンの喉元に突き差しにいった。しかしバノンは首を倒し俺の突きをやり過ごし、組み付いてきた。


「このまま投げ飛ばしてやる」

そう言うと剣を捨て俺を持ち上げようとしたので俺は柄で頭を滅多打ちした。しばらく続けるとバノンの頭部が黒く染まり全身の力が抜けたように崩れ倒れた。


「勝負あり!勝者浅野教官!」


俺はなんとか勝利した。弟子の2人の喜んでいる様子が見えた。そう言えばマリーの姿が見えない。


だがこれで終わりではなかった。


「この勝負は無効だ!大体その技で兵士どもが魔族を倒せるようになるのか?」

介抱され甲冑を外したバノンがこちらを見ながら叫んだ。


「やめんか見苦しいぞ!」


そんなやり取りの中、いかにも歴戦の戦士という風貌の眼帯をした隻眼の軍人が割ってはいってきた。


「おもしろいものが見れる聞いてきたのだが、話にならんな」


その男を見るや否や教官、訓練生全員が瞬時に敬礼した。

男が手を下すしぐさをすると皆敬礼を解いた。

階級章から将軍クラスであることはわかるのだが名前がわからない。


この男は俺を見るなり

「異世界には魔族はいないと聞くが貴様の剣は人間用だな。我々は魔族と戦っている。人間用の技で魔族を殺せるのか?」

と語りかけてきた。


「私は選択の島で魔族20匹以上倒しました。これは私の技が魔族に通じるなによりの証明かと思います」


「どうせ人型人並の大きさの魔族なのだろう?獣型や巨人系はいたか?」


「・・・。いえ、倒せたのは2メートルくらいの魔物までです。5メートルクラスのGトロールは足を止めたところまででとどめは魔術師に任せました」


「そうだろう。貴様の剣術は軽い。我々の剣術は重い。どんな魔物、人間であっても厚い皮膚ごと、甲冑ごと叩き潰し斬ることができる」


この言い分はよくわかる。この世界の剣は肉厚で重い。そして術というよりも力で振り回す印象が強い。これは最小の力最小の動きで斬る剣術ではなく、彼が言うように叩き潰し斬る方が致命傷を与えるということなのだろう。


「では私にどうしろと言うのでしょうか?」


「貴様がここで教鞭を取ることは軍務大臣から聞いてる。訳ありのこともな。だが魔族に通用しないものを教えられては意味がない。貴様が教えるものが魔族に通用するすることを証明してもらう必要がある。」


バノンがこちらを見てにやついている。


「ちょうど2週間後に闘技大会がある。ここで5匹の魔族と戦ってもらう。生き残ったら貴様の剣技を認めよう」


バノンはこちらを侮蔑を込めた笑みで見ながら親指で首をかっ斬るジェスチャーをした。あとから聞いた話ではあの将軍は同じく異世界人を良く思っていないエマーソン少将だったようだ。俺は試合に勝って勝負に負けたらしい。再び命のやり取りをする羽目になってしまった。

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