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異世界人への偏見

晴れてかどうかはわからないが結局戦奴に戻されることなくしかもかなりの飛び級で少尉として格闘・剣術指導教官として兵士たちの訓練をつけることとなった。幸か不幸か結果としてとんとん拍子に地位が向上している。あの2人は上等兵の階級こそ与えられているが俺の秘書官としてついてきている。そして、マリーが中尉として監視役兼上官として同行している。はたから見れば美女と普通にかわいい2人にかこまれているのだからあらぬ誤解を招きそうだ。そもそも何の思惑もなくいきなり飛び級で昇進することはありえない。新規事業の子会社の営業トップを任され、2年後に梯子を外され降格させられた俺のサラリーマン経験から猛烈に嫌な予感がしてならなかった。


俺たちは訓練所に赴いた。まずは着任の挨拶のため先任の指導教官たちの元に向かった。だがここで異世界人差別を受けるとは思いもよらなかった。

先任指導教官はそれぞれ剣、弓、斧・槌、槍、徒手の6ジャンル5名が在籍していた。


「失礼します!格闘・剣術指導教官を明示られた浅田少尉であります」

「部下の白井上等兵です」

「同じ木村上等兵です」


剣、弓、槍、徒手先任教官たちはそれぞれ自己紹介をしつつ挨拶を返してくれたが斧・槌の教官バノン少尉はこちらに敵意を向けていた。


「おい異世界人ども!お前らは本当に戦えるのか?日本国ってのは戦のない平和な国なんだろう?そんな平和ボケの連中に戦い方を教えてもらうほど帝国軍兵士たちはもうろくしちゃいないぜ」


「おい、よさないか!異世界人でも同じ帝国軍だぞ!」

剣の指導教官アレックス少尉がバノン少尉をたしなめた。


「だいたいなんの役に立つのか知らんがうじゃうじゃと召喚されやがって。この世界に異世界人は必要ないからさっさと帰っちまえ!」


なんか面倒臭いことになってきたな。偏見からくる差別をどう返すか?そもそも日本に住む日本人として差別を受けたことがない。差別の現場としてみたのはアラブ系の少年が警察の職務質問を何度も受けていたことだ。2008年のG8洞爺湖サミットの特別警戒中に中国武術の練習で戸山公園に向かう途中でアラブ系の自転車に乗った少年が警察官に職務質問を受けているのを見た。そのときはなにも感じなかったが練習の帰りにも同じ少年と思われるアラブ系の自転車に乗った少年がまた職務質問を受けていた。この日戸山公園でカナダ人とフランス人と一緒に練習していたのだが巡回中の2人組の警察官が見えたので俺が「警官が来た。青龍刀を隠したほうがいいかな?職務質問されるのはやだなあ」と言うと「日本の警察は俺たち白人には声かけてこないから大丈夫だよ」とカナダ人。実際光ものを振り回していても声をかけられることはなかった。日本語が母国語ではないという点では同じなのに欧米人はスルーしてアラブ人は呼び止める、正に偏見と差別のなにものでもない。


今までは異世界人ばかりの招待所と異世界人とガント人が共に戦う戦場だったから特に偏見や差別を受けなかったがバノンのような奴が多数派なのかそれとも少数派なのか?


「大体異世界の女を2人もはべらせて、こいつらはお前のイロか?」


「な!」

「てめーふざけんな!」


「いい加減にしろバノン!度が過ぎるぞ!」

槍の教官エルドアン中尉が声を荒げて机を叩いた。


「中尉、おれはこいつが兵士どもが学ぶ価値のあるだけの実力があることを証明してもらわないと納得できないですね」

バノンがこちらをチラ見して挑発している。


斧と槌か・・・。練習でも対峙したことがない武器だ。バノンは武器相応にがっしりした体格だ。ここまで挑発しているからにはただの筋肉バカではなないだろう。できれば穏便に済ませたいところだが彼女たちを侮辱された以上こちらも引き下がれない。

「俺をただの平和ボケのボンクラだとういうならそれは構わない。だが弟子たちへの侮辱は見逃すことができない」


「だったらどうするよ?」


「俺の実力が学ぶに値するかどうか知りたいのだろう?模擬戦で決着をつけようじゃないか!」


バノンはニヤリとして

「いいぜ、やろうや。中尉!そういうことだいいだろう?」


「まったく、血の気の多いやつらだ。これでは先が思いやられるよ。では浅田が勝ったらバノンは2人に謝罪だ。バノンが勝ったら浅田は減俸1か月。これでいいか?」


「解任はできないのですかい中尉?」


「私には権限がない。それに浅田は訳ありの曰く付なんだよ。私も知らせれていないから詮索するなよ?」


「ちっ仕方ねえなあ」


「こちらは了解だ」

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