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異世界の戦い2

俺は正直この世界を甘く見ていたようだった。呆然としている俺に兵士が声をかけてきた。


「あんた、大丈夫か?」


「・・・。ああ、すまない」


「これは、特任殿!失礼いたした」

俺の階級章を見るや兵士が敬礼してきた。


「あ、いや、俺は特任だが飛び級でね。まだ戦奴なりたてなんだ。だからそんなにかしこまらないでくれ」


「いえ、それでは組織の規律が保たれません」


「わかった。それでいいから色々と教えてもらえたらありがたい。俺は浅田。君の名は?」


「は、フレデリック3級戦奴になります。」


「あれ?奴隷や戦奴は異世界人ばかりだと思っていたけど君は異世界人ではない?」


「はい。私はこの世界の人間です。が、なんというか、横暴な貴族の息子を少々懲らしめてやったら仕返しで戦奴に落とされました。おっとこれは失礼」

奴隷が格下という差別意識がうっかり出れしまったことに気を使ったようだ。


「そうか。で、戦況は?」

俺はあえて彼の差別意識には触れなかった。


「正直かんばしくありません。このダーウィン伯爵領は魔族領との国境にあり最前線となっており、慢性的に兵力不足となっております」


フレデリックが話していると先ほどの魔導士が近づいてきた。


「あなたち、何話し込んでるの!行くわよ!」


「おおこわっ。了解です。マリー殿。では浅田特任殿いきましょう」

俺たちはマリーの後を追った。


短い移動中にフレデリックから最低限の話が聞けた。


・正規兵である魔導士はいかなる階級であっても戦奴よりも階級が上となる。

・戦奴はあくまでも魔導士を守る役割で魔導士中心の部隊編成となる。

・人間よりも大きい魔物は剣ではほとんど倒せないので無理に戦わず魔導士の詠唱時間を

 稼ぐために気をそらすことに徹するほうが長生きする。

・奴隷・戦奴は異世界人を懐柔するために一見平等を装っているが不要となれば簡単に切り捨てられる。


「マリー殿、いったいどこに向かっているんですか?そっちには敵はいませんが」


マリーはむっとした表情で

「お前たちはもうボロボロじゃないか。そんなんで私を守れないだろ?だから戦い方を変えるのさ」

と俺たちが悪いような言い方で説明を続けた。


「魔族と言えども頭のいい種族もいれば悪い種族もいる。軍を統率しているのは当然頭のいいやつだ。そいつを叩けば指揮命令系統が乱れスキができる。指揮官は大抵後方にいるものさ」


「ですがこのまま無策で近づけば気が付かれるのでは?」


「そろそろ認識疎外をかけるか。お前たちそこに並べ」


認識疎外魔法をかけられるとちょっと視界が霞んだように感じた。


「あれか?」

マリーは前方の2体のゴーレムに守らたローブを被った者を指さした。


「いかにもな感じだな」

俺がつぶやくと


「そう言えばお前は駐屯地では見かけない顔だな。援軍の者か?」

と問いかけてきた。


「はい。浅田特任戦奴です。本来は数日後に配属の予定でしたが緊急招集で援軍に加わっています」


「そうか、で、援軍の数は?」


「100人くらいですかね。敵後方に70名ほど、残りは私を含め前面に降直接下しています」


「100人?たったそれだけ!?」


「ビッグス大尉率いる部隊が100名でそれ以外は私は把握しておりません」


「はあーっ。ビッグスの奴め。もっとかき集められないかったのかね?。

駐屯部隊の残存が200、合計300.敵部隊は襲撃時500あまり。いかにも戦力不足だね」


「ふーっ仕方ない、やるか。お前たち、これから出し惜しみなしででかいのぶっぱなすから頼んだよ!」


「了解、マリー殿」

「了解した」

俺たちは詠唱に入ったマリーを前後で挟み警戒した。


詠唱時間が長ければ長いほどより大きな魔法がだせる。途中で集中力が切れたり、呪文を間違いえた場合はやり直しか威力が落ちてしまうとのことだ。


10分ほどだっただろうか。マリーの詠唱はまだ続いている。額にものすごい汗をかいている。

どれだけ魔力を溜めるつもりだろう?


すると、1体の人影が見えてきた。人に近いが魔族のようだ。指揮官に報告に来たのだろうか?


認識疎外魔法がかかっているとは言え、そいつは10mほどの距離を横切っていく。


「そのまま通り過ぎてくれ!」


俺の願いも虚しく、そいつは足を止め周囲を見渡し始めた。


「まずぞ、感づかれたか?」


こちらを見据えて近づいてくる。気づかれた!


「フレデリック、やるぞ」

俺は小声で話し身構えた。


だが俺は重要なことに今頃気が付いてしまった。

武器が先ほど調達したシュートソードしかないことだ。


「両手持ちの大刀と片手持ちの小刀とでは射程距離にほとんど違いはない。もちろん小刀で両断するのは容易ではない。だが小刀のほうが扱いやすいので使い方次第だな」

剣術の先生の言葉をふと思い出し片手で半身に構える。


今まさに斬りかからんとすると後ろから抑え込まれそのままバランスを崩し地面に組み伏せられてしまった。


するといきなり巨大な光が頭上に広がり巨大な光球が頭上をかすめ近寄る正体不明の魔族と敵指揮官と思しきローブの魔物に放たれた。


着弾点は巨大な光に包まれ、地面が削り取られた。まるで爆心地のような有様だった。



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