異世界の戦い1
降下中の俺の眼下にはGトロール1体と戦う魔導士と魔導士を守る兵士1名が動いているのが見える。その周りには生死不明の兵士が多数転がっている。
今トロールの頭上に落下して剣を突き立てれば倒せるかもしれない。・・・だが少しでもずれたらそのまま地面にたたきつけられてしまう。・・・。一瞬の躊躇がタイミングを逃し俺はメリーポピンズのようにゆるゆると着地した。手を放すと飛龍の子供はそのまま飛び去っていった。
俺はすぐさま剣を抜き、魔導士の護衛の兵士にこえをかけた。
「加勢に来た!どうすればいい?」
傷ついた兵士は
「詠唱の時間を稼いでくれ!俺はザコを退けるから君はあいつを頼む。詠唱には3分は必要だ」
そう言いGトロールを指さすと魔導士の元に向かった。
俺一人でこの身の丈4~5mはあろうかというGトロールを相手にするのか・・・。
甲冑こそ身に着けていないが見た目で皮膚が厚いことがわかる。手には太く巨大なこん棒を持っている。「トロールの狩人」という映画を見たことがあるが俺はキリスト教徒じゃないから見逃してくれないかなと馬鹿な考えが浮かんでくる。正直考えがまとまらない。どうすれば深手を負わせることができるのか?
「下手な考え休むに似たりか」
俺は自分を鼓舞するためにこうつぶやきGトールに攻撃をしかけた。
Gトロールはこん棒を大きく振るかぶり俺を叩き潰す勢いで振り下ろした。俺は横に左に交わし、こん棒を握る右手首を斬りつけた。右手首を斬り落とす勢いで斬りつけたつもりだか皮膚を切り裂いただけで骨まで届かなかった。Gトロールは悲鳴を上げたがその斬られた腕で俺をはじきとばした。
「ぐはっ」
味わったことのない衝撃を受けた。
衝撃で一瞬意識が飛んだがすぐに我にかえると手に握られた剣がなかった。
剣はGトロールの右手首に食い込んだままだった。
Gトロールが左手で刺さった剣をつまみ放り投げた。
グロロー
雄たけびを上げこちらに1歩1歩近づいていきている。
武器を探して回りを見渡すがあるのは人間と魔族の死体ばかりだ。
詠唱はまだ終わらないのか?ほかの奴は降りてこないのか?思わず他人を頼る考えが頭をよぎった。
他人を頼ってどうなる?とにく動け!俺は起き上がり階級の高そうな身なりの良い兵士の死体に走り寄り装備を拝借することにした。ショートソードが2本あったのでそれを頂戴し、それを両手に持ち構えた。
俺は2刀持ちの状態で構えた。だがその構えは剣術ではなく打撃系の構えだった。
こうなれば致命傷は与えられなくとも皮膚の薄いところを狙い削るしかない。狙いは膝裏関節、や股間、脇、喉だ。喉は届かないから除外だ。
Gトロールはこん棒を左手に持ち替え横に振り回した。俺は身を低くして前に走り進んた。こん棒が頭上をかすめたがギリギリあたらなかった。相手が巨大なためこん棒の先端にをかわせるほど懐に入ればこん棒の柄やそれを持つ腕は人間よりも高い位置にあるため当たらない。俺はそのまま走り抜け、Gトロールの膝裏に剣を突き立てた。刺客が短刀を体に密着させて体ごと相手に当たり深く突き刺す様に捨て身の一撃を突き立てた。
Gトロールは断末魔の悲鳴を上げ、片膝に崩れた。
「そこから離れろー!」
先ほどの兵士が叫び声が聞こえてきたのでそちらを見ると魔導士の詠唱が終盤なのか炎の渦が魔導士の頭上に集まっており、巨大な火球を作り始めていた。
あんなものに巻き込まれたらひとたまりもない!
俺は兵士のもとに必死で走り出した。すれ違いざまに火球が放たれ、爆発とともにGゴーレムは消し炭と化していた。
「・・・これで1体。まじかよ・・」
俺もは救うはずの現地部隊もすでにボロボロだった。
俺たち救援部隊の戦いはまだこれからだった。




