奴隷居住区
1日後、俺たちは帝都に到着した。船を降りた50名の異世界人は48人の奴隷と2人の戦奴に分類された。俺たちは馬車に乗せられ奴隷居住区に戻った。2日後にそれぞれの役割に応じた任地い移動するため、荷物をまとめ、必要な準備をする時間が与えられた。招待所の部屋は男女建物が別のため俺は白井に挨拶をした。
「では2日後に。吉川さんによろしくお伝えください。彼女は心が弱そうに見えたから元気づけてあげてほしい」
「はい。彼女は同部屋なので伝えます。彼女との付き合いは長いからちょっとカツ入れてやりますはわ。渡辺さんに会ったらよろしくお伝えください」
「わかった。ではまた」
部屋に戻ると同部屋の平野がすでに帰ってきていた。
「お疲れー。いやー戦奴合格おめでとう!」
「ありがとう。お前少し酔ってるな?」
平野はほのかに酒臭かった。
「で、試験で何匹殺ったの?」
俺は試験の状況を説明した。ドラゴンと戦ったこと、階級のこと、弟子を取ったことなど。
「へえー、やっぱ俺は奴隷で正解だな。死にたくないもん」
「ところでお前はなんの仕事が割り当てられたんだ?」
平野はにんまりすると
「それがさあ、なんと、郊外の農場だってさ。農家だよ。俺実家が農家だからよかったよ」
「そ、そうか、それはなによりだな」
「元の世界で飲食業だったけどいずれは実家を継ぐからさ。これも運命だよね」
「親御さんは?」
「元気だよ。でも俺がいなくなったから探してるんだろうなあ」
そう言うと故郷を思い出しているのかおとなしくなった。
「俺はさ、奴隷だから時間かかると思うんだ。だからお前が出世したら俺も元の世界に連れて帰ってよ。頼むよ」
平野は涙目でそう言って頭を下げた。
「生きて出世できたら声をかけるよ」
彼をなだめるためにあてのない約束をするしかなった。
この世界は1日2食が習慣だ。元の世界の3食や香港の5食ではない。香港に1週間蔡李佛拳の修行で師父の元を訪ねた時に1日5食は衝撃的だったな。移動する度に「何か食べる?」と言われて常におなかいっぱいだった。訓練所や奴隷・戦奴の仕事場では朝晩の食事は出るが昼食は出ない。俺は昼食を求めて町を散策した。この奴隷居住区は俺たち異世界人がストレスを感じないように元の世界の食事や文化をできるだけ再現している。寿司屋もあれば牛丼屋もある。居酒屋もあるしバッティングセンターもボーリング場だってある。電気や機械を使うものは再現できないがそれ以外は大体見つけることができる。漫画や小説だって本屋で買うことができる。もっとも元の世界のオリジナルは貴重品だが元の世界の作品の内容を再現したコピーが主流だ。みんなが先の展開が気になる「ワンピンズ」や「進撃の巨鯨」は特に人気だ。だから招待所のに来る「新人」は元の世界の情報に飢えている先輩たちに大人気だ。絵のうまい漫画が趣味のやつほど実は稼げるのでむしろ自由市民に一番近いのかもしれない。
俺は特任戦奴として結構な額の支度準備金が支給されたので豪華にステーキを食べることにした。