三十 恋人に還る日
五日間の日程の四日目。王都滞在では最後の夜になるということで、夕方には食事会があるらしい。
主催はキジョー公爵のそっくりさんで、他の参加者は不明。国王に似た誰かや、大臣のような顔の人も来るそうだ。全く、悪趣味な仮装をするものだな。
あ、今のは当然、棒読みで頼む。
「お、おねーさま、今日はどこに行くのですかっ」
「お姉様って誰? お前って呼ばれたいなー」
などと意味不明なことを申しており…と、今回は俺が先だった。しばらくぶりに軽装なのでほっとしてバカな真似をしてしまった。
イズミの真似は厳しいな。そもそも、美由紀を姉のように思ったことなど、これっぽっちもない。
夕方までは、あ、夕方からも…だな、ともかく貴人要人に会う予定はない。
そこで馬車にも乗らずに殿下の屋敷を出た俺たちは、商業エリアに向かっている…らしい。いちいち曖昧なのは、行き先を知らないからである。
土地勘もない町で、毎日何も教えられないまま連れ回されている。衛兵の職業病で、自分の現在位置が分からないと安心できないのに、酷い仕打ちが続いていると思う。
もっとも…、昨日までは、馬車で移動中もいろいろ忙しくて、景色を見ることもロクにできなかった。おじぎの姿勢やら敬称の付け方やらを、車内で教えられたのだ。なぜ事前に教えてくれないのか聞いたら、直前でなければ忘れるだろうと言い切られてしまったぜ。全く言い返せないのが悲しい。
今日の美由紀は上下とも地味な服装。まぁ俺もそうだ。殿下の使用人たちにあつらえてもらったから、地味で普通に見えるだけで、決して安いものではないらしいが。
髪型も少し乱れ気味。これも、要するにお忍び用の身だしなみだという。あの殿下がお忍びで何をしているのかは、あまり考えたくない。
なお、地味な服装だから目立たないわけではないぞ。どことは言わないが、今日もゆさゆさ絶好調。まぁそれ以前に、化粧をしてもしなくても、美由紀が世間の注目を集めることに変わりはないわけで。
「バカと新婚さんは高い所に上がるっていうから」
「煙じゃなかったか?」
「さすが弘一、博識ね」
「冗談きついな」
王都で一番高所にあるのは王宮だ。しかしそれは、元々が高台にあるという話であって、個々の建物が高いわけではない。商業エリアに最近完成した建物が、イデワ王国で最も高いという。
だんだん間近に迫ってくる高層建築。そこに行く理由が、美由紀の主張するようなことなのかは知る由もない。いや、バカの方だっていうならありだな。
「本当に高いな」
「十二階まであるそうよ。今はまだ、上るのが大変だけど」
いかにも田舎者という感じで見上げた後は、ガラスで造られた正面玄関に向かう。太い柱の間に、大きなガラスが張られていて、王都らしい金のかかった建物だ。こういう感想が、田舎者まる出しだと自覚はしている。別にいいだろ? 混じりっ気なしの田舎者なんだから。
十二階まではひたすら階段を上がることになる。将来は上り下りを楽にする装置を付けるらしい。井戸の滑車の大きな感じのやつを作るとか言うが、どんなものになるのか想像つかないな。
「装置の完成に何が足りないのかは、まだよく分かっていないそうよ」
「そこが分からないのに、なぜ先に形だけ作ったんだ?」
「この星の特徴だとは思わない?」
「どんな特徴だよ。だいたい、この星の話なんてできないからな。俺は二十三にして町三つしか知らない男だぞ」
そう、俺の知る世界は狭い。
キノーワと王都が遠く離れているように説明しているが、実際にはイデワ国内でも近接した都市だ。馬車で一ヶ月かかるような町なんて、神話の世界も同然だと思わないか? え? 思わない? 君とは仲良くなれない気がする。
そんなことはさておき、人に溢れた建物内を見渡す。何だか高そうな服を売っている店が並んでいる。俺には縁のなさそうな世界だが、さすがに王都となれば、こんな服を買える人たちが溢れているらしい。
「作業着みたいなのは…」
「この国で一番の高層建築で、買う必要はあるの?」
売り場に貴賤の区別はないだろう…とは言えないか。これ以上争っても不毛なので、最上階を目指して階段を上がることにする。
三階ぐらいまでは大賑わいだったが、その先はだんだん静かになっていく。八階辺りで、すっかり無人の景色になった。ガランとした空間が広がっている。
「後はずっとこんな感じなのか?」
「そうでもないのよ」
買い物のためだけに階段を登り続けるのは、さすがの王都人でも嫌らしい。せっかく建てたのに勿体ないが、これがキノーワだったら三階にだって上がらないだろう。王都の人口は百万だと聞いたから、それだけ土地がないわけだ。
バカで新婚なので、俺たちは無人の階を眺めながら上がっていく。ああでも、この表現では美由紀もバカになってしまうな。いや…、俺と一緒にいる時点でバカはバカ、か。
十二階はほぼ屋上なので、実質的な最上階は十一階。そこまで上がると、再び店が営業している。そして屋上の扉を開けたら、意外にも客が大勢いる。屋台もでている。
「こんな苦行してまで食べたいのか」
「あの景色を見たら分かるでしょ、弘一」
「ん…、お、おお…」
美由紀に指差された方向を見て、思わず声が漏れた。
屋上からは、グローハの街並みが一望できる。東の高台の王宮や邸宅地、眼下には大きな通りが縦横に走り、雑然とひしめく建物の間には小人がうごめいている。ああ、小人だぜ。
「これは凄いな」
「串焼きの一つや二つ、食べたくなるでしょ?」
「まぁ…、肉によるけど」
「貴方の大好きな恐竜肉……………じゃないから」
「溜めが長すぎるだろ」
鳥肉の串焼きに、王都で流行りの謎の飲み物。タカピと言う名を聞いて、美由紀は何か店の人と話していたが、まさか家で作るつもりだろうか。
ともかく二人は、金網越しに外を眺めるように置かれたベンチに座り、食べて飲んでいる。のんびりした時間だ。王都に遊びに来た感じがする。
謎の飲み物は、中に妙な食感の粒が入っているが、沈んでいるので正直言って飲みにくい。一応、一緒に渡された細い棒でかき混ぜながら飲むと教えられたが、面倒くさいな。
まぁでも、毎日立派な食事が続いているけれど、門番には屋台が似合うよなぁ。ああ、早く帰りたい。
「弘一はここから飲んだよねー」
「や、やめろよ。汚いぞ」
「恋人同士なら口移しで飲ませてくれるんだって」
「それは絶対に嘘だ」
美由紀は俺が口を付けたところから飲もうとする。というか、さっき店の人は確か、相手がかき混ぜたのを飲むとか言ってたぞ。飲み物を口移しって、鳥の雛じゃあるまいし。
……………。
スーツよりずっと気楽な服装の男の隣に、王都ではありふれた上下を着た女がいて、どちらも何だかんだと楽しんで、笑っている。傍から見れば、若い男女がいちゃいちゃしている姿なんだよな。
それはたぶん間違っていないのだろう。
彼女と自分…、お前と俺は、最初がアレだったから、未だに立ち位置を分かりかねている。
もちろん、嫌なら逃げれば良かった。同部屋ではないが同居して、高級なベッドまで与えられ餌付けされているのは、紛れもなく自分の意志だ。そして―――――――。
こうして一緒に座ってのんびりするのも、自分がそれを望んでいる…のだが。
「なんか視線を集めてる気がするのは気のせいだろうか」
「そうね。今は気配を消してないから、みんな弘一に見とれてるのよ」
「それは絶対に嘘だ」
屋上には客と店員を合わせて三十人近くいる。当然、客はここから望む絶景を眺めに来たはずなのだが、ほぼ全員がこちらを向いている。というか、美由紀を凝視している。
どうやら美由紀は、日頃から気配を抑えているらしい。それなのに、なぜここでそうしないのか? 他より遙かに恥ずかしい状況だと思うのだが。逃げるに逃げられないし、人々の視線が「隣の似つかわしくないオスは何だ」と詰問しているし、どうにかならないのか…。
すがるような目線を向けると、美由紀は笑った。至近距離で笑った。
その瞬間、意識が飛ぶ。
気配を抑えない影響は、俺自身にだって及ぶのだ。ああ、輪廻の先では恐竜以外に…。
「起きた?」
「あ、ああ……………」
そして、もう一度意識が飛ぶ。何やってるんだよ、お前は――――。
「弘一は鍛え方が足りない?」
「断じてそういう問題ではない!」
階段を二段飛ばしで降りる。どうだ、この足腰の強さを見ろ!
…………。
先ほどの失態は仕方ないんだ。
よりにもよって、美由紀は―――――、気絶した俺を起こすのに、頬と頬をくっつけたのだ。イズミを起こした時のように手のひらで良かったはずなのに、あんなことをされればもう一度生死の境をさまようのも当然ではないか。
え? 女に免疫なさすぎだって?
悪いか! 俺は一度も女性とつき合ったことがなかったんだ! 手をつないだのも、物心ついてからは美由紀だけなんだ! これ以上恥ずかしいことを言わせないでくれよ………。
「では気を取りなおして、覗きと行きましょうか」
「……ここで何を覗くんだ? 堂々と見せてると思うが」
十二階の建物を出て、ぶらぶら街中を歩いた二人は、例の学校に着いた……わけではない。
並べられた椅子に、屋台で買ったパンを手にして座っている。
そこは繁華街の中央にある大きな広場。椅子席の前方には仮設の舞台があり、今はヒゲ面のオッサンが立っている。というか、歌っている。
「弘一は自分の置かれた立場が分かってないわね」
「はぁ!? 俺はお前の腰巾着だろ? これ以上の何があ…」
「伴侶です!」
「殴るなよ。ほら、歌が途切れたぞ」
「貴方のせいでしょ!」
いや、別にオッサンの歌には正直興味がない。楽しい歌でも聴かせてくれるならともかく、イデワ王家の武勇伝やらを延々垂れ流しているだけだ。そんなものは、知識としてはだいたい知っているし、今さらおさらいしたい内容でもない。
とはいえ、相変わらず気配を抑えていないから、美由紀が俺を殴った――正確に言えば、げんこつが頬に軽く触れた――瞬間、広場中の注目を一身に集めることになった。それも、被害者なのに俺が一方的に責められている。なんて理不尽なんだ。
「伴侶はさておき、ここで何を…」
「さておかないで。………泣いてもいい?」
「それはやめてくれ!」
「じゃあ……、腕組んで」
「えぇ…」
何なんだよ、美由紀。こんな公衆の面前で何してるんだよ…と言おうにも、既に目に涙を溜め始めている。まずい、これで本当に泣き出したら、俺は生きて広場を脱出できそうにない。
うぅ……。
「こ、これでいいか?」
「うん。弘一、大好きだよ」
えええ…。
その瞬間、歴史は動いたのか定かでないが、広場が殺気だった。舞台のオッサンも、俺を倒せとか歌い出しそうな表情だ。何てことをしてくれるんだよ…とは、言えない。
なぜかって?
俺の左腕は、俺の左腕はナァ、う…う……、埋もれてるんだよ!!
ひとしきり自己嫌悪に陥っているうちに、広場は落ち着きを取り戻した。どうやら美由紀は気配をぐっと抑えたらしい。最初からそうしてくれれば、俺の青春の叫びもなかっただろうに。
「どんな報告するのか楽しみだわ」
「何の話だよ?」
そして明かされた事実。
俺たちは、朝からずっと付けられていた。少なくとも五組、怪しい動きをしていたという。
「全く気づかなかった」
「貴方に気づかれるようでは仕事にならないでしょ?」
「そりゃそうだが」
身も蓋もない言い方だが、非番の門番に密偵が見つかるわけにはいかないだろう。
ともかく、密偵たちは俺たちを監視していた。もちろんそれは、美由紀が王都で誰かと接触するのを見張るためだ。
美由紀はそれを逆手にとって、気配をガンガンに見せて騒ぎを起こした。結局、五組とも見事に魅了されてしまい、広場で俺に激高していたという。なんて迷惑な話なんだ。
「じゃあなんだ。それぞれが俺の悪口を報告するのか?」
「そのうち目が覚めて、困り果てると思うわ。もしかしたら正直に報告して、弘一が女の敵認定されるかも知れないけど」
「女の敵って…。俺は殴られた側だってのに」
無茶苦茶な話だが、とりあえず三組までは消えたらしい。
ということは、まだ二組はいるのか。どこだよ?
「きょろきょろしないでよ。私たちは気づいてないんだから」
「あ、す、すまん」
それで、今から何をしようというのか。舞台ではオッサンが先代王の英雄譚を熱唱中だが、美由紀の企みは例によって人類の想像を超えるものだった。
俺たちは、今から一時間、ここで座って舞台を観賞する。
俺は本当に観賞して、その感想をまとめておくらしい。
問題は美由紀だ。
「その間にイズミを呼び出して、見学してくるから。誰かが怪しい動きをしたら教えて」
「教えるってどうするんだ?」
「貴方の好きな場所でも触ったら?」
「気絶したら教えられないからな」
彼女の肉体はここに留まったまま、分身を学校に送るという。その時点で既に理解できないが、とにかくその分身がイズミに婚約者を見学させて、一時間後には戻る。俺はその間、違和感を生じないよう熱心に舞台を観賞しろ、というわけだ。
そもそもが聞いたこともない能力。魂が肉体から抜けたら死ぬと聞いたが、この女にはそういう常識も通じないのか?
「じゃあ行ってくる」
「お、おう。気をつけて」
「ふふ。大好きよ、弘一」
再び頬をくっつけられて、しっかり俺の意識は飛んだ。なぁお前、こんな大役を任せる時にやるなよ…。
やがて復活した俺。しなかったら困る…けど、死んだらその記憶もなくなるから困らないか。輪廻というのは、滅多に記憶はもち越さないらしいからな…って、何を真面目に考えてるんだ。
バカバカしい妄想から離れるために、舞台に意識を戻す。さっきのオッサンの歌は終わり、また別のオッサンが現れている。
こういう吟遊詩人は、キノーワにもよくやって来る。だいたい持ちネタは被っていて、王族やら貴族の英雄譚が多い。まぁそういう人たちが雇っていたり、資金援助をしているからな。
そう言えば、美由紀の話はないもんだな。恐竜を解体して食糧を供給したとか歌われたら…、まぁ憧れるヤツはいないか。有名人にはなるだろうが、「美由紀が来るぞ」と言えば子どもが泣き止むような感じになりそうだ。「美由紀にさばかれるぞ」とか「食卓に並ぶぞ」とか脅すのは、いくら何でも子どもの教育に悪いだろう。
……………。
うむ。自覚はあるぞ。
聴けと言われて素直に聴いた。頼まれればその気になるのさ。
「抜け殻はしゃべれないよな?」
「え? 何?」
「しゃべった!?」
それでもだんだん退屈になってきたので、念のために確認してみる。すると、まさかの反応があった。
まさかというか、反応がない方が怖いのだが。
「声をかけられれば意識を戻すわ。で、余計なことしないで」
「す、すまん」
ここで怒られたって困るが、反論すると長引いてますます機嫌を損ねるので口にしないでおく。前提から非常識な状況では、無駄に何かを考えない方がマシだ。
もちろん、やり取りに意味はあった。触れれば倒れるような抜け殻ではない以上、周囲からもそれほど違和感はもたれないはず。どこにいるのか分からない密偵たちも、まさか美由紀が余所で暗躍中とは思うまい。
ただし、美由紀がそういう能力をもっていると知っていたら話は別だ。
彼女は、俺には気前よく非常識な真似を見せてくれるが、この世界の誰がどれほど知っているのかは分からない。彼女が大丈夫だと思うなら大丈夫なのだろう。それしか考えようはない。
結局、ちょうど一時間ほどで美由紀は戻ってきた。無事にイズミと合流して、ザイセンの様子をたっぷり堪能させたという。その首尾については、深夜にまた会議だそうだ。
会議といっても、今さら結論が変わるとは思えない。議論の大半は、どうやってあの親子を罠にはめるかという問題になるだろう。できれば参加せずに休ませてもらいたい。
夕方に、繁華街の外れに近い辺りのレストランに向かう。
キノーワで美由紀と最初に食べた店より、ややガラスが多い外観だったが、それよりも気になるのは、周囲の路上に怪しい顔ぶれが何人も立っていることだ。よく見ると、変装したつもりのコーセンさんと目が合った。その奥には、上半身がほとんど隠れていないムキムキの大男も立っている。
思わず目が釘付けになったが、向こうはあからさまに俺を避けた。おかしいな…ではない。もちろん何をしているかぐらい知っている。知っているけど、もう少しどうにかならないものだろうか。
「誠に残念な話だが、ヨコダイ殿は明日には新居に帰られるらしい。その前に今夜は親睦を深めたいと思う」
「ありがとうございます。皆様がどなたなのかは存じ上げないことになっておりますが、その好意は忘れません」
とてもアレな挨拶で始まった貸切の宴。国王によく似た人の挨拶に、俺たちの宿泊先で見たような顔の人が笑っている。
ここにいる面々は、少なくとも美由紀が五段になった経緯を知っているらしい。その面々が、身分を隠して集まるほどに、美由紀は難しい立場にあり、そしてその力は脅威でありながら頼りになるわけだ。
「いつでもケー…、あれは使えるようにしてくれたまえ」
「了解です。緊急に連絡するような事態が起きないことを願っています」
「ヨコダイ殿からなら歓迎するぞ」
「そこは歓迎されても困りますから」
世界にとっての脅威…という方面は、俺でも十分理解できる。というより、たぶん俺が一番よく分かっているはず。美由紀はたった一人で、どこの国家でも倒せるだろう。対抗できる存在、つまりイズミを操った例の神みたいな者が相手側につかない限りは。
そして、その神は、人間にべったりではなさそうに思える。やつが美由紀に苛立った理由も、その距離感の違いだったのではないかと感じている。
なお、頼りになるのは今さらだ。何もかも依存している俺が、それを口にするのもおかしい。
「公爵…みたいなお方。例の件、いずれご相談させてくださいね」
「ああ、あれですか。………なかなか難しいご提案ですが」
「悪い話ではないと思いますよ。皆さんもご参加くださるでしょう」
美由紀はあちこちのテーブルをまわっている。主賓なのだから当然なのだが、いろいろ密談もしているようだ。
俺は正直、何をしていいか分からないので、美由紀の後をついてまわるだけ。コーセンさんやチガラさんは外にいるから、話せそうな相手もいない。もちろん密談相手も。
ちなみに、ギケイ閣下のそっくりさんはいない模様。ここにいない人たちが、だいたい反主流派と考えていいのだろう。
「コマキコーイチ君、都を楽しんだかね。えらく熱心に吟遊詩人の歌を聴いていたと報告があったが」
「え……、は、はい。眺めの良い建物も、賑わう街も素晴らしいです」
「それは良かった。…不足があれば言ってくれたまえ」
「特になにも…」
そうして、謎の国王そっくりさんと会話してしまった。なんだろう、あまり緊張していない。それに、これ一度きりって感じもしないな。
美由紀に頼るような問題は、どう考えても起きないのが一番だ。余計な心配はしないでおきたいなぁ。
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