春恋
高校1年生の春、私は別の人に恋をしていた。
じゅんちゃん聞いてー。
もう私ダメかもしれないよ。
今日も親友の"じゅんちゃん"に泣きながら相談をする。
じゅんちゃんは小、中、高、ずっと私の側にいてくれた。
嬉しい事も、悲しい事も全部じゅんちゃんにだけ話した。
受験勉強の時も要領の悪い私を誰よりも励ましてくれた。
はっきりした性格で私と正反対と思う。
いつも私を引っ張ってくれるじゅんちゃんが私は大好き。
私もういっくんとダメかもしれない…
小学生の時からの片思い相手"いっくん"。
顔がキリッとした秀才君
私の初恋の相手。
中学3年生の時に気持ちが溢れてしまい長年の想いをいっくんに告白した。
困っていたと思う…
考えてくれたなか沈黙がしばらく続いて
少し照れながら付き合おうかと言ってくれた。
"両想いなんだ"
嬉しくてすぐにじゅんちゃんに報告した。
じゅんちゃんは良かったねと泣きながら喜んでくれた。
嬉しくて浮かれていたかったけど中学3年生"高校受験"を控えていた。
恋人らしいことをしないまま私達は受験を迎えた。
頭の良いいっくんは県内のレベルの高い高校に進学し、学校が別々になった。
もともと連絡を取り合ったり会話をしたりすることが少なかった。
学校が別々になったことで私達は徐々にすれ違っていた。
みかはほんとまだ子供だもんねー。
この優しい優しい綺麗なお姉さんがお話を聞いてあ・げ・る。
いつも冗談混じりにする会話。
誕生日は私の方が6日早いのに…
神様は不公平です。
私の家母子家庭だから少しでも家計を楽にしてあげたくてアルバイトを始めたんだけどね…
少しずつ連絡回数とか減ってきて、
だんだん信用できないって、疑われて。
いっくんはどうして信じてくれないのかな…
え、いっくんってドライアイスなみのクールボーイかと思ってた。
顔はいいけどそこまで恋愛に興味なさそうだし…
進学校の勉強が大変でイライラしてるんじゃないの?
ていうか二人はさー形は付き合っててもまだ何もしてなかったよね?
じゅんちゃんの言う通り私達は恋人らしいことをしたことがない。
手は1回だけ繋いだことがある!!
私からお願いして…
ほんとの一瞬だけだったけど。
デートと言ったら一緒に参考書を選びに行くぐらい。
それでも私は満足していた。
それ以上は考えたことがなかった。
考えられなかった…
初恋が叶ってすごく嬉しかった。
好き。大好き 。大好き。
私は初恋が大事すぎていっくんとの恋から動けなくなっていた。
何もないけどそれでもいいの。
会う回数や連絡が減ってもわたしの気持ちが伝わってると思ってた。
でも疑われたり信じてもらえないのはすごく辛いな…
泣いて話す私をじゅんちゃんはぎゅっと抱きしめてくれた。
恋は二人にしかわからないからどうしたいかは二人で決めることだよ。
私はこの恋をどうしたいんだろう…
あ、今度中学一緒だった"けい"と会うんだ。みかも一緒にくるよね?
卒業してそんなに経ってないけど仲のいい友達と離れたからって寂しくてよく連絡くるんだよね。
けいくんは明るくてクラスでも人気のある男の子。
友達もすごく多くて、いつも周りに誰かがいた。
卒業式の時には寂しくて泣く私と一緒に
泣いてくれた。
私がふわふわしていると言って、心配性でいつも私を気にかけてくれた。
じゅんちゃんがいるなら私もけいくんに会いたいなー。
スポーツ推薦で男子校に進学したんだよね。
サッカー上手だったもんね。
サッカーだけは上手だった。
みかが来るって知ったらすごく喜ぶよ
父、娘みたいな関係だったもんね。
楽しみだねー。
みかのバイトがない日を伝えとくね。
中学生と高校生、周りの変化に私達も一歩ずつ歩き始めていた。