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九十六

 その後も次々と演目が進んでゆく。どう見てもカピバラにしか見えない『クルイーサ』。そして、象にしか見えない『スロンパオ』の巨体同士が織り成す珍獣ショー。


 筒に入った美女を、宙に浮く水の塊に打ち出してその中で舞い踊る人魚の舞。などなど。プログラムはあっという間に消化され、気付けば最後の演目になっていた。


 最後は三度(みたび)登場を果たした道化師三人による短剣を使ったジャグリング。一体何本飛ばしているんだろう。と数えたくなる程の短剣を飛ばして舞台を縦横無尽に動き回り、時には短剣をシャッフルさせて短剣の数を数えるのを妨害する。


 と、舞台中央に例の樽団長が姿を見せた。


「レディース・あんっ・ジィェントゥルミィェェンッ!」


 だから、何故そこだけ発音が違うっ!?


「『アルボルシア』大サーカス。これにて終了となりま――うっ!」


 樽団長の背後でジャグリングを続けていた道化師三人から放たれた幾本もの短剣が、樽団長の胴体に突き刺さる。と同時に、頭が胴体から発射されて宙を舞った。


「またのご来場をお待ち申し上げておりますぅー」


 生首が弧を描きながらそう言った。最後は黒ヒゲオチかよ……




 ショーが終わり観客が次々と席を立つ。私達は係員に案内されて、入場した時と同じ裏口へと案内された。


 流石は異世界というべきか。元の世界では考えられないショーの数々に、幼い頃に行った事のある私でも十二分に楽しめた。マリーちゃんも相当満足した様で、シッカリと握られた小さな手の平からそれが伝わって来る。


「ユーリウス様っ!」


 声が発せられた方を見ると、韓流ドラマの様な匠な彫り物がされた鎧を着た男の人が、顔だけを露出させた兜を被った人達と共に、ガシャリ、ガシャリ。と音を立てながら近付いて来る。と同時に、マリーちゃんが私のお尻の後ろに隠れた。


「ウォルハイマー卿」

「ご連絡頂き、誠に有難う御座います」

「いえ、こちらの方こそショーが終わるまでお任せ頂き有難う御座いますわ」

「さ、お屋敷にお戻りになりましょう。お父様もご心配されておいでです」

「いやっ! マリーもっとあそぶっ!」


 マリーちゃんは小さな手の平で私のズボンをギュッと掴んだ。ちょ、お尻のお肉は掴まないでっ。


「ダメですよマリーさん。キチンと約束したではありませんか」

「うー……」


 マリーちゃんは、リスの様にほっぺを膨らませて俯く。私の尻肉を挟んでいる手の力が増す。


「じゃあ、こうしようか。マリーちゃんが約束を守ってくれたら、また今度一緒に遊ぼう」

「ほんと?!」


 勢い良く顔を上げ、目をキラキラさせて私を見つめる。


「ホント。だけど、マリーちゃんが約束を守ってくれたら。だよ?」

「うんっ。マリー約束守るっ」


 ギュッと抱き締めたくなるなる様な笑顔で、マリーちゃんは大きく頷いてくれた。

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