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八十九

 リリーカさんが言い掛けた言葉を遮り声を発したのは、(くだん)のオッサンでは無く、韓流俳優の様な顔立ちの若い男の人だった。


「貴方はフレッド様」


 フレッド=アクラブ=ウォルハイマー。私を監禁し、拷問して殺したローザを捕縛してくれた人物だ。


「お久しゅう御座いますフレッド様」


 リリーカさんは椅子から立ち上がってカーテシーを行う。うん、あのオッサンと対応が違う。分かる気がするけど。


「これはご丁寧に有難う御座います」


 対するフレッドさんも、右手を肩に添えて深々とお辞儀をする。


「それで、こちらの御人は……おや?」

「こちらはカーン=アシュフォード様。豊穣祭の為に遠い所からいらしてくれた、(わたくし)婚約者(フィアンセ)ですの。カーン様。こちらは(かん)八位であらせるフレッド=アクラブ=ウォルハイマー様ですわ」


 ジーッと私の顔を見つめるフレッドさん。バレるのではないかと冷や汗が止まらない。ともかく、紹介されてしまったのだから挨拶しない訳にはいかない。


「お、お初にお目に掛かります。私はカーン=アシュフォードと申します。どうぞお見知りおきを」


 声でバレない様になるべく低く言葉を発する。


「ふむ。そうですか……貴方がカーン殿ですか。お噂はかねがね」

「噂……?」

「はい。爵位も持たぬ片田舎の貧乏貴族が、リリーカ様と婚約するなどとは生意気にも程がある。と、ある方が愚痴っておられました」


 まあ、誰と言われなくても分かるな。


「アイツめ。許すんじゃありませんでしたわ……」


 ボソリ。と呟いたリリーカさん。その顔は般若の様に怖い顔をしていた。


「ところでリリーカ様。この辺りで一人で歩いている子供をお見掛けしませんでしたでしょうか?」

「子供ですか……?」

「はい。歳は(むっ)つ程で、背丈は私の腰位。僅かに赤に染まった金色の髪を二つに束ねているのですが……」


 うーん。ツインテールの女の子かぁ。見た覚えは無いな……


「いいえ。お見掛けしませんでしたわ。カーン様は如何です?」

「いえ、わた……コホン。ボクも見掛けてはおりません」

「そうですか……困ったな」


 辺りを見渡しながら頭をボリボリ。と掻くフレッドさん。本当に困っている様子だ。


「その女の子はどなたのご息女ですの?」

「え? ああ。まあ、ある方としか言えません。その方の依頼で彼女の護衛として付いて来たのですが、見失ってしまって……」

「そうですの……もし、お見掛けしましたら衛兵詰所へお連れ致しますわ」

「それは非常に助かります。では、急ぎますのでこれで」

「はい。早々に見つかる事をお祈りしますわ」

「有難う御座います」


 手を肩に添えてお辞儀をするフレッドさん。リリーカさんもカーテシーを行い、私も肩に手を添えてお辞儀をする。


「どんな理由かは存じませんが、この事は内密に致します。アユザワさん」


 フレッドさんは頭を下げている私にソッと近付き、耳元でそう囁いた。正体バレてるぅ。

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