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八十六

 抜ける様な青空が、私達の目に映り込む。中層に在る例の公園から望む景色が、以前に来た時とは違って見えた。その違いとは、天空に向かって聳え立つチュロス……いや、塔の存在だった。


「アレが対岸の都市のシンボル……?」

「ええ、神代(かみよ)の頃から在るとされる塔。『ホルロージュ』と呼ばれておりますわ」

「へぇ、神様の時代からねぇ……」


 対岸の都市の名はサンタイムと言い、街の南半分が時計の役割を果たしているのだという。ま、名前通りに日時計なんだね。


 塔の内部は亜空間化しているそうで、外部の見た目とは違って、一層一層が広大なエリアになっているのだそうだ。現在も攻略が行われていて、最高到達層は二十四層らしい。上は何層まであるのか分かってはいない様だ。


「……お姉様。来ますわよ」

「ええ、どうやらそうみたいね」


 今回は油断していなかったので、中層の門から後を付けていた老夫婦にも気付いていた。そして、その雇い主であろう者がペシリ、ペシリ。とした音を連れ、近づいて来るのが分かっていた――




「これはこれは、リリーカ=リブラ=ユーリウス様。ご機嫌麗しく御座います」


 右手を肩に添えて、恭しくお辞儀をするフォワール卿。


「全然麗しくありませんわ」

「は?」

「ああ、いえ。お早う御座いますフォワール卿。この様な場所に何用なのですか?」

「いえね。あまりにも清々しい朝。故に散歩をしたくなりまして――」


 散歩好きだなぁ、このオッサン。その割にはでっぷりしてるけど……


「近くまで来たついでに、『ホルロージュ』を眺めて引き返そうと思い来てみれば、リリーカ様がおいでになっているではありませんか。これはご挨拶をせねば、とお声を掛けさせて頂いた次第です。と、おや? そちらに居るのはカーン殿ではないですか。あまりにも存在感が薄いのでオブジェかとばかり思ってましたぞ」


 人を石像扱いするな。にしても……アレは何だ……? 卿の後ろから何かがチラリホラリと顔を出している。……キノコ?


「この様な朝も早くからお目に掛かれて光栄です。フォワール卿。ところで、卿の背後でゆらゆらと揺れているキノコ……いえ、御方は何方ですか?」

「キノッ!?」


 私の言葉に反応してフォワール卿の背後で揺らめいていたキノコが飛び出し、ビシリっと私に向かって指を差した――

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