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八十

 灯台をグルリ。と回り込み、岸壁に寄り掛かる大岩との隙間に腕を入れる。三十センチ程腕を入れて手首を曲げ、指先に当たった出っ張りを押し込んだ。途端、灯台の真下にある岸壁の一部が動き出し、それが終わると人一人が通るには十分な高さ幅の穴が出来上がる。


「こ、これは!」


 声を発し大きく驚くウォルハイマーさん。他の衛兵さん達も顔を見合わせて驚いていた。


「まさか、こんな場所に隠し通路があったなんて……」

「この奥に牢屋があります」

「そうか……。お嬢さん、辛いだろうが後を付いて来てくれるか?」

「……分かりました」


 本当ならあの場所はもう見たくはない。しかし、罪を犯した彼女を罰する為には今はこの人の言う事を聞いておいた方が得策に思えた。


 松明の炎を灯し、足元を確かめる様にゆっくりと階段を降りてゆく。先頭はウォルハイマーさん衛兵の二人と続き、四番目に私。水辺が近い所為もあって内部は湿気で溢れ、底へと近付くとその中に鉄分の臭いが鼻を突く様になる。その頃になると通路の幅は大人二人横に並んでも十分な広さになっていた。


「あの角を曲がった先です」

「分かった。貴女はここで待っていてくれ。兵を一人護衛に着かせる」

「分かりました」

「では、頼んだぞ」

「ハッ!」


 衛兵の一人がガチャリ。と音を立て、直立不動でそれに応えると、ウォルハイマーさんは部下を連れて角を左へと曲がっていった。


 暫くして、戻ってきたウォルハイマーさんの表情は、険しいモノに変わっていた。後からやって来た三人の衛兵さんのうち二人は、麻袋の様なモノを二人掛かりで運んでいる。ソレがマリー先輩の遺体であろう事は容易に察する事が出来た。


「待たせてすまない。それでは街に戻ろう」


 一人増えた隊列は再び街へと引き返した――




 街の衛兵詰所へと戻って来た私は、そのまま質素な部屋に入れられて軟禁状態にされていた。室内にはテーブルが二つ置かれ、椅子は三つ。多分ここは取調室みたいな役目を果たす部屋なのだろう。と、ギギギ。とドアを開けて、ウォルハイマーさんが部下を二人連れて入って来る。


 ウォルハイマーさんは私の対面に腰を下ろし、部下の一人はもう一つの椅子に座って机に羊皮紙を広げる。最後の一人はドアの前で佇んでいた。


「殺風景ですまないが、事情を話して貰えるかな?」

「分かりました」


 私はこれまでの事を包み隠さず話して聞かせる。ただ、私の能力の事だけは口に出さずにいた――

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