表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/235

七十六

「ん……」


 目を覚まし、生きている事に安堵する。そして、私を見下ろす微笑みに驚いて飛び起きた。そしてまた驚く。不思議な事に身体に受けたダメージは残っていなかったからだ。


「おはよぉカナちゃん。オナカ空いたでしょー? ゴハン持ってきたよぉ」


 あいも変わらずムカつく程に言葉を間延びさせて、マリー先輩がコトリ。とトレーを石畳に置いた。トレーに置かれているのはコッペパンが二個と湯気が立つシチューの様なスープ。


「要らないわ」


 彼女はおはよう。なんて言っていたが、お腹具合からして、そんなに時間は経過していない様に思えた。


「えー。そんな事言わないで食べてよぉ。マリーだけはぁカナちゃんのぉ、み・か・た。だからねぇ。さっきもぉ、マリーが止めなきゃカナちゃん死んでたんだよぉ」


 確かに意識を失う直前でそんなやり取りをしてた。だからといって味方である保証は何処にもない。


「だからぁマリーにだけわぁ、お・し・え・て?」


 ホラね。表面上いくら善人ぶっても、コイツも同類なんだ。


「だから言ったでしょ? 魔物のう――だって。欲しければ森に踏み入って探しなさい」

「チッ」


 私の顔を睨み付け、舌打ちするマリー先輩。と、その背後の物陰からローザ先輩が姿を見せた。


「マリー……アンタ演技が下手ねぇ」

「そんな事はないよぉ、カナちゃんが(かたく)ななだけぇ」


 ローザ先輩とやり取りをしているその隙を突き、マリー先輩を背後から羽交い締めにする。


「な、何するのよぉカナちゃん」

「動かないで! 電撃を使えば、仲間(パートナー)も巻き添えを食う事になるわ」

「ひっ!」


 このままマリー先輩を人質にして表に出る。人目に付く所に出てしまえば、手出しする事は出来ない。そしてそのまま衛兵詰所に駆け込む。そう思っていた。が――


「あぐぅぅっ!」

「きゃぁぁぁっ!」


 な……躊躇(ちゅうちょ)無く……


「バカね。そんな使えないコ、パートナーな訳が無いじゃない。私のパートナーは……タッくんだけよっ!」


 強い電撃が浴びせられる。


「うぐぁぁぁっ!」

「ぎゃぁぁぁ……あ……あ……」


 いけないっ、マリー先輩がっ! マリー先輩を前へと押しやると、彼女は膝から崩れ落ちる。そして、私の方を振り向いた。


「え……? 何で……?」


 そう言われても私にも分からない。ただ気付いたらそうしていた。


「う、うああぁぁっ!」


 益々強くなる電流。身体中が悲鳴を上げる。最早立つ事もままならず、石畳の床を転げ回る。辛い、苦しい、早く……早く私を殺して。この苦しみから解放して。その思いだけが頭の中を駆け巡っていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ