表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/235

百九十一

 美人に注がれると美味しくなる。世辞か下心か、元の世界ではよくそう言われていた。だけどそれは美少女でも同じな様で、リリーカさんが淹れてくれた紅茶は普段の数倍の美味しさだった。……単に私の淹れ方が間違っているだけかもしれないが。


 寝かせ付けたルリさんは爆睡モードに突入している様で、時折んごうっ。と凄いイビキをかいていた。


「イビキ凄いね」

「あら、お姉様もですわ」


 へっ!?


「んわっ、わわ私イビキなんかかかないわよっ」


 ふるふるふる。と首を横に動かすリリーカさん。


「いいえ、かいておいででしたわ」


 マジかっ! 美少女(・・・)の私がイビキなんて……


「そういえば、前にルリ姉様と旅に出る様なお話がありましたが……?」

「ああ、あれはルリさんが男二人と旅していて、肩身が狭いから付いて来てくれって話なのよ」


 主にトイレ要員として。


「そうなのですね。でも、それならお姉様ではなくても良いでしょう? お姉様より腕の立つ女性の冒険者は他に幾らでも居らっしゃいますのに」


 ホント私もそう思う。って毒舌だなおいっ。


「なんか放っとけないオーラが出てるらしいよ。それで目立つんだってサ」

「放っとけないオーラ……? それが何かは分かりませんが、目立つという意見には納得ですわ」

「そんなに目立つの……?」

「熟練の魔導士なら感じ取れる筈ですわ。ですが、ハッキリ。とではなく、『何か気になる』程度かと」


 マジかっ! もしかして……街に出て時折注がれる視線は、私に見惚れている訳じゃなくてソレの所為!?


「恐らくは、『あの事』に関係あるのでしょう」


 不老不死か鉱物か。どちらかは知らないが迷惑な事だ。でもまてよ、私が絶世の美女で皆の視線を集めている。そう思えば……うん、悪くない。


「ともかく、アレの件があるから断ったのよ」


 でも、それが無ければもしかしたら……


「んんぅ……」


 大いびきをかいていたルリさんが寝返りを打つ。掛布団を蹴り飛ばし、パンツ一丁の姿が丸見えだ。


「風邪引くわよ。まったくもう」


 落ちた布団を拾い上げ、バサリ。と上から掛けてやる。爆睡中のルリさんは幸せそうに顔を緩ませていた。


「カナちゃん……」


 ルリさんの声に起こしてしまったのかと顔を見る。しかし、タダの寝言だったようだ。


「……ここが良いのね」


 ん……?


「もっと淫らになっちゃいなさい……」


 淫らなのはアンタの夢だろうがっ。なんつー夢を見てるんだっ。


「良い夢を見ておいでの様ですわね」


 リリーカさんがルリさんの寝顔を覗き込んでそう言う。本人にとっては良い夢なのだろうが、何故にカーリィさんとでは無く私となんだ?!


「ホラ見てカーリィ……」


 ……カーリィさんは既に共演中。ってか見せちゃらめぇぇっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ