百九十
「お姉様、これからどうするのですか?」
早い所ルリさんを休ませてはあげたいが、彼女が何処に泊まっているのかは聞いていない。
さっき泊まっている宿を訪ねたが、酩酊状態で何を言っているのか分かりゃしない。前回の様に『大河の汽船』に泊まっているのなら良いけれど、別な所だったりしたら無駄足だ。
「ルリさんが泊まっている宿が分からないから、取り敢えず私の部屋に連れて行くわ」
私の肩を借り、ようやく歩いているルリさんを連れて私の部屋へと向かった。
ベッドに座らせてそのまま横に寝かせると、たわわな実りがブルリンッと波打つ。何をどうしたらこんなに大きくなるのか……そう思いながら、ルリさんの腰に着けられたベルトを外して……おもむろに私の腰に巻き付ける。
ククッ、入らない。私より胸がでっかいクセに、腰は私より細いなんて……
「お姉様何をなされておいでなのです?」
「わぁっ!」
背後からの突然の声に、手が滑ってボトリ。とベルトが床に落ちる。薬とお水を用意していたリリーカさんは、床に落ちたそのベルトを不思議そうに眺めていた。
「いや、だって……彼女私より腰が細いから……」
「だからって、ベルトを着けても細くなりませんわよ?」
ごもっともで御座います。
くかぁー。と寝息を立てるルリさんの服を脱がせ、ブラのフロントホックを外してやると、窮屈だったのだろう。たわわな実りの所為で盛大にブラが弾け飛ぶ。その先端が私の顔に直撃した。
「くおぉぉっ」
「何をされているのですか……」
顔を直撃して涙で見えないが、呆れているのだろうと声で判断できる。
そんなこんなで服を脱がし終え、引き締まった肢体の上に布団を掛けてやってようやく一息つく事が出来た。
「お茶、淹れるね」
「あ、手伝います」
鉄製のヤカンに水を汲み、焜炉に乗せて出っ張りに手を触れる。スッとほんの僅かに血の気が引く様な感覚の直後、ボッと火が着いた。
「リリーカさん出発は何時?」
彼女はお祭りの催事に出席する為この街に戻って来ていたのだが、私の所為で日程をキャンセルしてまで残ってくれていた。でもそろそろ『学生』という本分に戻らなければならない筈だ。
「当分無理ですわね」
カチャカチャ。とお茶の準備をしながら言うリリーカさんに驚く。
「え?! なんで!? あ……もしかしてフォワール卿の一件……?」
「それもありますが、新たな九位が任命されるとなると、私も出席しなくてはなりません。遅かれ早かれまた戻って来る事になりますので、でしたらこのまま居た方が良いかと」
なるほど。貴族さんも中々に大変だな。