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百八十七

「な、何の事か分かりませんわ」


 ルリさんのあんた関係してるでしょ発言に、素知らぬフリをする。そんな私を見て、ルリさんはクスリ。と笑った。


「カナちゃんって、ウソが下手ね」

「ええ、(わたくし)もそう思いますわ」


 あんたもコッチ側のニンゲンなんだからフォローくらいしてよっ。


「話す気が無いなら仕方ないわね」


 ホッ。良かった諦めて――


「身体に聞くとしますか」


 ――くれなかったぁぁっ!


「な、何をなさるおつもりですのルリ姉様」


 興味津々かリリーカさんっ。助けてくれないのっ?!


「何って、この火照ってピンク色に染まる綺麗な竪琴を奏でてあげるのよ。きっと、ウットリする様なイイ音色が聞けると思うわ」


 うっわこの人、目がマジだ。一度捕まれば、『もうらめぇ』って言っても許してくれないに違いない。


「分かった! 分かりましたからっ! 話しますからっ!」

「あら、遠慮しなくて良いのよ?」


 両手合わせて十本もの触手をそれぞれにウネウネとさせながら、ルリさんはジリジリ。と間合いを詰める。どーせいっちゅーんじゃっ!


 背中がドンッと壁にぶつかる。気付けばいつの間にか追い詰められていた。逃げ場は無く、濡れ場のみが私を待ち受ける。『嗚呼、お父さん、お母さん、そしてオジサマ……これから幾度となく天国に(いざな)われる淫らな私を見ないで下さい。あ、リリーカさんも見ないでね』そう思っていると、凶悪な触手がピタリ。と止まった。


「それじゃ、話してね」


 ニッコリと微笑むルリさんの顔を見て、ザブリ。と力なく湯船に座り込んだ。た、助かった……




「別に関与なんかしてませんよ。息子に襲われただけですから」

「フォワール卿のご子息に!? どういう経緯でそうなんのよ……」


 呆れた顔をするルリさん。そこまでの経緯を話すべきか迷っていると、リリーカさんの目は『良いですわよ』と語っていた。


「――なるほどねぇ、それで勘違いを……」


 一連の経緯を聞かされて納得がいった様で、ルリさんはウンウン。と頷いていた。


「でもホント、カナちゃんって面白い人ね。トラブルを吸い寄せる能力でもあるんじゃないかしら……」


 そんな能力なら要りません。私はただ、第二の人生を満喫したいだけなのに……どうしてこうなった!?


「でも、見直したわ。リリーカちゃんの為に身体を張るなんて。ちょっと出来ないわよ」

「困っているリリーカさんを放っておけなかっただけですよ。それに、息子に直接会いましたが、アレ、私でも拒絶します」


 今度はリリーカさんがウンウン。と頷く。


「どこへ行っても嫌われ者ねあの親子は。さて、そろそろ上がってお昼にでもしましょう」


 ルリさんはザバリと立ち上がり、脱衣所へと向かった。

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