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百八十

 ――朝。目が覚めると目の前で、奇妙な紋様がこれでもかっ。と、主張をしている光景は、小型のペットを飼っている方に良くある話。尻向けて寝ないでくれるかな。目覚めが悪い。


「あ、お早う御座いますお姉様」


 私の顔に尻を向けて寝ていたにぃちゃんを横に移動をさせる物音で、リリーカさんが目を覚ましてしまった。


「お早う、よく寝れた?」

「はい。お姉様はふわふわで気持ち良くて熟睡出来ましたわ」


 寝ている私に何をした!?


 スルリとベッドから抜け出して、窓際で大きく伸びをする。深夜に一度目が覚めたが、昨日の疲れはほとんど残っていない。


「お姉様。外から丸見えですわ」

「え……? あっ!」


 リリーカさんの言葉で、セクシーランジェリーを身に付けている事を思い出して、慌てて奥へ引っ込んだ。




 着替えを済ませ階下に降りると、コーヒーの良い香りが揺蕩っていた。ダイニングには既にオジサマが席に着いて新聞を広げ、キッチンではおばさまが、大きなお尻をリズミカルに動かしながら調理をしていた。


「オジサマ、おばさま。お早う御座います」

「あら、お早うカナちゃん」

「お父様、何時お戻りになられたのですか?」

「昨夜遅くよ」


 テーブルの上に朝食をコトリ。と置きながらおばさまは言った。


 今日の朝食は筋肉質の猪(マッスルボア)の腸詰めと、その肉を塩漬けして燻したベーコン。疾走する鶏(ランニングガリナ)の卵を使った目玉焼きに山菜のサラダ。それ等に合わせるのは麦のパンである。


 まずサラダをパンに乗せ、次に腸詰めをそのサラダの上に乗せてパンを折れば、簡単サンドの出来上がり。瑞々しいサラダのシャキシャキ感と、香辛料の効いた腸詰めを同時に味わえる。


 目玉焼きはサニーサイド。黄金色に輝く半熟の黄身を割ると、周りがカリカリに焼けた白身のお皿の上に、濃厚な黄身がとろりと流れ出す。そのまま食べて良し、サンドに挟んでも良しの万能食材だ。


 至福の時も終わり、食後のコーヒータイム。食事中は横に置いておいた新聞を再び広げて読んでいるオジサマ。そんなに見る様な記事があるのだろうか?


「オジサマ、何か気になる記事でもあるのですか?」

「ん? まあ、な」


 相変わらず無愛想な返答。でも、渋い声だからおっけ。


「そういえばお父様。十二位会議はどの様なお話し合いが行われたのですか?」

「フォワールの嫡男、『ヨルヴ』の処遇についてと、(かん)九位の代替についてだ」


 九位の代替?! まさか、ヨルヴの言った通り毒殺されたとでも!?


「フォワールはな――」


 ゴクリ。と固唾を飲んでオジサマの言葉に耳を澄ませた。

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