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百五十二

 リリーカさんと共にオジサマのお店を出た私は、先程よりは少しばかり人出が増えた大通りを、下層と中層を隔てる城壁近くの衛兵詰所へと向かっていた。そこで(かん)八位のフレッド=アクラブ=ウォルハイマーさんと落ち合う手筈になっている。目的は『嘘を見破る魔導具(マジックアイテム)』をお借りして、『リンクス』の飼い主を名乗る九人の人達の誰が本当の飼い主か確かめる為だ。


 国家機密である『嘘を見破る魔導具(マジックアイテム)』は裁判所と衛兵詰所にしかなく、詰所内で使用し持ち出さない。使用している所をフレッドさんも立ち会う。という条件で、許可が下りた。……というのも建前なんだろうな。実際は上位の(かん)七位であるリリーカさんが居た事による、ビバ権力によるものだろう。


「お早う御座います。『リブラ』様、そしてアユザワさん。お待ちしておりました」


 韓流ドラマでよく見る意匠が凝らされた甲冑を着込み、フレッドさんはにこやかに出迎えてくれた。


「お早う御座いますフレッドさん。今日はよろしくお願いします」

「お早う御座いますフレッド様。無理なお願いを聞いて頂き感謝致しますわ」

「なんのなんの。『リブラ』様のお願いとあっては、断る事の方が難しいですからね」


 ビバ! 権力! 予想をした通りか。


「それでは、ご案内致しましょう」


 フレッドさんはクルリ。と背を向けて、詰所の奥へと進んで行った。




 フレッドさんに案内され、私達がやって来たのは取調室の様な場所。大人が十人。入れるかどうかの小さな部屋に、鉄格子が嵌められた小さな窓と木製のテーブルが二つ置かれていた。以前、私が聴取を受けた部屋と似ている。


 そして中央のテーブルに、以前には見なかった置物が置かれていた。


「あれが噂の『嘘を見破る魔導具(マジックアイテム)』ですか……?」


 どう足掻いても、タダの呼び出しベルにしかみえん。こんなモノが国家機密とは……


「そうです。見た目はタダの呼び出しベルですが――」


 あ、やっぱり呼び出しベルなんだ。


「台座の中には機密が一杯詰まった代物なのです」


 台座が本体って訳か……


「試しに嘘を吐いてみて下さい」

「え、ウソですか……?」


 急に振られても、一体何を言ったら良いのか迷ってしまう。


「んーっと……私は男です?」


 何の反応も無いな……。えっ!? ちょっと待って! 私女だよ!? 正真正銘の女ですからっ!


「お姉様……もしや、お兄様だったのですか……?」

「いや、どう見ても女でしょっ!?」

「ですが、反応がありませんが……」


 いやいやいや。こんな美少女捕まえて、実は男でしたなんて事は有り得ないからっ!

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