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百四十八

「お姉様、旅に出られるのですか……?」


 ルリさんの今が旅立つ時だ。発言に、リリーカさんがキョトン。として私を見ていた。


「ちょ、ルリさん。それお断りしましたよね」

「状況が変わったからね。(ほとぼ)りが冷めるまで、あなたは暫く街を出た方が良いと思う。私達と一緒に来れば、旅の最中で戦い方や魔法の扱い方を教えてあげられるわ」


 彼女の提案は魅力溢れるものだ。戦いや魔法を知らない私に、それ等を教えてくれるというのだから。だけど私には、他人に知られてはいけない秘密がある。旅の間、それが露呈しないとは限らない。


「有難い話ですが……」

「そっか。そうまでしてこの街に拘る理由は知らないけど、一つだけアドバイスしてあげる。人気のない場所へ行かない。夜間出歩かない。ちょっとでも怪しいと思ったら衛兵に相談する」


 三つあるんですがっ?!


「そして最後に、マジックショップで発光石を買っておく事をオススメするわ」

「発光石……?」

「衝撃を与えると強い光を放つ石よ。使えば相手の視力を一時的に奪えるわ」


 目眩(めくらま)しってヤツか。


「ただし、使う時はあなたも目を閉じてね。結構強めだから」

「はい。分かりました」

「……フレッド様。もしもの時は、お姉様をお護り下さいませ」

「無論です『リブラ』様。国を民を護るのが騎士としての務め。元よりアユザワさんには何かあれば相談に乗る。とお伝えしていた所です」


 なんつーイイオトコなんだ。これで既婚者じゃなければツバつけたんだけど。……一晩だけなら問題ない、か?


「ところで、お話はそれだけですか?」

「「「……あ」」」


 ホラ。女の子ってすぐに話が逸れるから……




 フレッドさんに会いに来た経緯を話して聞かせると、本人は口を掌で覆い隠して考え込んでしまった。


「それは困りましたね……」

「そこをなんとかお願い出来ませんか? 人助け……いえ、獣助けと思って」

「そうは言われましても、あの装置は軍の機密ですからね。門外不出なのですよ」


 うーん。やっぱり厳しいか……


「ですが」


 ん?


「こちらでお使いになられるのでしたら」

「宜しいのですか? フレッド様」

「ええ。お貸しする事は出来ませんが、ここで使う分には問題はありません。それに、マリエッタ王女のお守りのお礼もまだでしたしね」


 やっぱりイイオトコだね。


「有難う御座いますフレッド様。では早速ギルドの受付嬢に話を通して――」

「え、今からですか?」

「はい。フレッド様のお気が変わらないうちに……」


 善は急げ。と頭の中で計画を立てていると、肩にポン。と手が置かれた。


「残念ですがお姉様、時間切れですわ」

「……へ?」


 見れば太陽は、西の山並みに消える所だった――

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