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百四十七

 『ウソを見破る魔導具』を借りる為、衛兵詰所へとやって来た私達。詰め所前で警備をしている衛兵さんにリリーカさんが話をすると、衛兵さんは奥へと引っ込んでいった。程なくして、韓流ドラマで見る様な匠な装飾が施された鎧をガチャ付かせながら、二十代後半であろう男の人が現れる。(かん)八位のフレッド=アクラブ=ウォルハイマーさんだ。


「あら、イイ男じゃない……」

「結婚しているそうですよ」

「一夜だけなら問題無いわよ」


 大アリですがな。


「ご機嫌麗しゅう御座います『リブラ』様。お見事な勝利でしたね」

「先程はご助力頂き感謝に絶えません。有難う御座いました」

「なんの、あれくらいお安い御用ですよ。私とて、彼に含む所が多々ありますし」


 まあ、あんな性格じゃ好かれる事も無いわな。


「あのフレッド様。あの後一体どうなりましたか?」


 私とリリーカさんは逃げる様に退出してしまったが、フレッドさんはその場に残っていた。ドアが閉まる間際に、王女に向かって声を荒げたフォワールが気になる。


「あの後ですか……正直、宜しくありません」


 声を荒げて言い寄るフォワールに、王女は権力で以って諌めたのだという。その後、尚も食い下がるフォワールに嫌気が差し、王女はそのまま退出してしまったそうだ。


「王女殿下や上位貴族の人達の手前納得はしていましたが、それも恐らくは表面上の事。その身の内では憎しみの炎が渦巻いているやもしれません」


 惜しい所まで競ったのだから、それで満足してくれれば良かったんだけど……粘着か。


「そういう訳でして、注意をするに越した事はありませんよカーン殿」


 私を見つめてフレッドさんは言った。そう言われてもなぁ……


「御免なさいお姉様。(わたくし)が矢面に立って、お姉様は立たさないつもりでしたが、姫様の余計な手出しでお姉様まで……」


 今にも泣き出しそうな表情で、リリーカさんはシュンとして俯く。その頭にポン。と手を置いた。


「心配しないでリリーカさん。私なら大丈夫よ」

「その自信は何処から来るのよ」


 腰に手を当てたルリさんが、険しい表情で言う。


「貴族でもなければ冒険者でもない。何の力も持たないただの一般市民が抗えるとでも?」


 ルリさんの言う通りに、剣術が達者な訳ではないし魔術も全く知らない。戦う力が皆無な私が持つ唯一の能力は、アレが鉱物になるのと不老不死なだけだ。


「だから、私と旅に出ましょ?」

「へ……?」


 アンタ、まだ諦めて無かったんかいっ!

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