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百四十六

 現れた六人の飼い主を主張する人達に、衛兵詰所にあると思しき『ウソを見破る魔導具』を借りて使ってみよう。という運びになったのだが、リリーカさんによってアッサリと断られた。


「え、どうして……?」

「アレは軍が管理している魔導具です。私事(わたくしごと)に使って良いモノではありませんわ」

「そんな事言わないでぇ。もし、リリーカちゃんが頼んでくれたらぁ――」


 そう言ってルリさんは、服をズラして肩を露わにする。


「今晩、お姉さんがぁ、イイコトして、あ、げ、る」


 それはイイコト。じゃなくて、如何わしい事。だろう? 流石にそれはねぇ……


「いっ、色仕掛けをしてもダメなものはダメですわっ」


 動揺してる……興味津々かっ!?


「ねぇ、リリーカさん。私からもお願いするわ。フレッドさんに聞いてみてくれないかな? このままだとあのコ(リンクス)が売られちゃうかもしれない。そうなったら可哀想でしょ?」

「そうまで仰るなら、お姉様がお飼いになられては?」


 ごもっともでございます。


「それは最終手段で考えてる。もし、ダメって言われたら、本当の飼い主が現れるまで責任持って飼うし、ギルドにも毎日通って捜索依頼が無いか確認するよ」

「……分かりました。ですが、聞いてみるだけですよ? それ以上は何も致しませんわ」

「うん、それで良いよ」

「話が決まった様ですので、私は名乗りを上げた人達にお伝えする準備を整えておきますね」


 そう言って受付嬢は部屋を出ていった。しかし、それ程時を経ずして受付嬢が再びドアを開けた。


「たっ、大変ですっ」

「どうしたんですか? そんなに慌てて……」

「飼い主が九人に増えましたっ」


 アッオゥ(えらいこっちゃ)


「と、取り敢えず、依頼は下げておこうか」

「そだね……」


 受付嬢に出した依頼を引っ込める様に伝え、私達は衛兵詰所へと向かった――




 真上と西の丁度中間辺りから降り注ぐ、穏やかな午後の日差しの中を私は、リリーカさんと何故か着いてきたルリさんと一緒に衛兵詰所へと歩みを進めていた。


「ルリさん、出発の準備をしなくても良いんですか?」

「準備ならとっくの昔に終わってるわ。初心者じゃあるまいし、前日にバタバタなんかしないわよ」


 出来る女ってカンジだな。


「戻ったってむさ苦しい男しか居ないしそれに、『ウソを見破る魔導具』とやらを拝める良い機会だもの」


 興味本位で着いてきたのか。でもまあ確かに、普通に生活している一般市民やまともな活動をしている冒険者にはそうお目に掛かる事などないだろう。なにせ、犯罪者用だしね。


「宜しいですかお姉様。ダメでしたら諦めて下さいましね」

「うん、約束するよ」


 リリーカさんはため息を一つ吐いて、直立不動で街の警備をしている衛兵の元へと歩いていった――

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