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百四十五

 ネコに良く似た獣、『リンクス』の飼い主探しは複雑な展開をみせていた。朝七時に張り出された依頼書を見て、お昼を回った現在で六人が名乗りを上げている。誰が飼い主で誰がウソを吐いているのか? はたまた全員がウソを言っているのか……


「鑑定結果は三億なのよね?」

「はい。そうです」

「じゃあ、こうするのはどう?」


 ルリさんに何か妙案が……?


「私が飼い主になるっ!」

「仰っている意味が分かりませんわ。ルリお姉様」


 ボケるルリさんに、リリーカさんがスマートスピーカーばりのツッコミを入れた。


「だって、三億よ。さ、ん、お、く。それだけあれば、欲しい物みんな買えちゃうじゃない。そうね……まずは杖を最高級の物に変えて、魔力補助が掛かった服も買えちゃうわね。それから、強化アクセサリーなんかも良いわね……。ね、カナさんどう思う?」

「ど、どうって言われても……」

「超高級ホテル暮らしが出来るわよ」


 ちょ、超高級のホテル暮らし……。頭の中にテレビで見た事のあるペントハウスが思い浮かぶ。眼下に広がる景色、広々とした室内やお風呂。女の子なら誰しも一度は夢見る素敵空間だ。


「わ、悪くない……かも」

「でしょう?」

「お姉様方、話がズレておりますわよ」


 リリーカさんの言葉でトリップ状態から現実に引き戻された。ついでに出ていたヨダレもジュルリ。と引き戻す。


「それにしても、六人もの飼い主をどうやって見定めたら良いのか見当もつかないな……」

「では、こういうのは如何でしょう?」


 リリーカさんの提案は、一人一人面会して『リンクス』の事をどれだけ知っているか。その度合で決めてはどうだろうか? と、いうものだった。


「そうは言っても、私達も詳しい事は分からないのよ? 尤もらしい事並べ立てられちゃったら、真偽を判断するのは難しいわ」

「そうですわね……」


 ルリさんの言葉にリリーカさんはシュン。と項垂れる。ウソを見破れる様なモノがあれば簡単なんだろうけど……あ、そうだ。


「ねぇ。ウソを見破る魔法って無いの?」

「そんなモノあったら世の中乱れまくっているわよ」

「そっかぁ……」


 残念。良いアイデアだと思ったんだけどな。


「魔導具でそういうのあったから、魔法でもあるんじゃないかと思ったんだけど……」


 そう呟いた私に、熱い視線が注がれる。


「在るの!? そんな魔導具が?! 何処!? 何処に在るのっ?!」


 ルリさんは私の両肩を掴んで前後に揺らす。や、止めてっ脳ミソが揺れるっ。


「たっ多分、衛兵詰所にっ」

「衛兵詰所!?」


 以前、私が事件に巻き込まれた時に(かん)八位のフレッドさんが言っていた。取り調べの時、ウソを見破る魔導具を使う、と。


「もしそれが本当なら、使えるわね……」

「ねえ、リリーカさん。衛兵隊隊長のフレッドさんに頼んで貰えないかな……?」

「お姉様、それはダメですわ」


 私の提案はリリーカさんによってバッサリと切られたのだった――

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