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百三十八

「何を考えておる? タドガーよ」


 仙人姿のマクシムさんの言葉に、タドガーさんは不気味な笑みを浮かべる。その顔にゾクリ。と背筋が凍りついた様な錯覚を覚えた。


「いえね。カーン殿の領地では出なくとも、その周辺ではまだ埋まっているのではないかと思いましてね」

「そうまでして探し当てて、どうなさるおつもりなのかしら?」


 タドガーの笑みが余程気持ち悪かったのか、数メートル距離を置いていたマリアさんが聞いた。


「そういうお顔をなさいますな。ゾクゾクしてしまうではありませんか。なに、錬金術師としてのカンが囁いているだけですよ。これには大いなる秘密が隠されている。とね」


 そのカンも当たっているから怖い。


「何じゃ、ただのカンでそこまでする必要があるのかのぅ」

「私のカンもバカにしたものではないですからね。以前、カンで調合したら便秘解消薬が出来た訳ですし」


 カンで調合なんて危な過ぎるだろ! って、便秘解消薬……?


「あの薬のぅ、効き目が悪過ぎじゃわい」

「それはまぁ、五倍に薄めてあるのでね。だけど、低価格の便秘解消常備薬として、平民の人達には大人気ですよ?」


 あの薬お前が作ったんかい! もう買わない。高い方の在庫が無くても買わない。入荷するまで我慢する。


「ところで、そろそろ結論を出したいんだけど集まってもらえる? ああ、タドガーは要らない」

「くふぅ……」


 こっち来んなシッシッ。とジェスチャーをする王女に、タドガーは恍惚の表情で自分で自分を抱き締める。


「ああ……イイッ。その冷たい瞳に態度。ソソリますなぁ……」


 身悶えるタドガーをよそに、勝敗を決定する話し合いが始まった――




 話し合いは不毛な状態に陥っていた。私達を勝ちとする者とフォワールを勝ちとする者。丁度二つに意見が割れたのだ。今この場には、王女を含め九人の貴族が居るが、リリーカさんとフォワール。そして、タドガーが外されているので、六人で論議している為だ。


 意外だったのは、女性陣が軒並み揃って刀剣の美しさに惹かれてしまった事で、代わりにマクシム爺ちゃんが、家名を捨てる覚悟が天晴れだとこちら側に付いてくれている。私のアレに興味津々なタドガーを入れれば勝ちなんだけど、王女はそれを良しとしないだろうし、私もなんかヤダ。


 そのタドガーも、時折口を挟もうとして王女に冷たくあしらわれ、恍惚の笑みを浮かべる。という、ナゾの行動に出ている。お前もそれ、ワザとやってるだろう?


 こうして誰も彼もが譲る事無く話し合いが続けられ、勝敗の行方は相当な時間を要すると思われた――

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