表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/235

百三十五

「それで姫様、こんなに朝早くから何の御用ですの?」


 濃い紫色のドレスを身に纏った三十代と思しき、(かん)五位のマリアさんが豊満な胸部を弛ませて言う。アレ、重そうだな……


「ふぉっふぉ。姫様の事じゃ、どうせロクでもない事じゃろうて」

「うっさいわね」


 仙人の様に蓄えた髭をモゴモゴ。と動かして言う(かん)十位のマクシムさんに、王女が間髪入れずにツッコミを入れる。


「どうでも良いですけど、朝後食前には終わらせて下さいましね」


 ピンク色をしたドレスの留め金が弾け飛ぶんじゃないかとヒヤヒヤさせて、(かん)六位のミネルヴァさんが豊満な顎部と腰部を弛ませながら言った。朝後食ってなんだ?


「アンタは食べ過ぎなのよ。少しはダイエットしなさい。ドレスがみっともない事になっているでしょう?」


 マリアさんがミネルヴァさんの顎をタプタプしながら言う。


「私のチャームポイントに触らないで頂戴。それに最近、二百グリム痩せたのよっ」


 それは目の錯覚じゃぁないかなっ。


「十食食うのを止めろって言っているのよ私は」


 十食って、一日で?! フードファイターかアンタは。


「そんな事より始めさせて貰って良い?」

「ああ、こちらは気にせずに続けて下さいまし」


 顎やら腹やらを突いてミネルヴァさんの肉を波立たせながら、マリアさんはニッコリと微笑む。それを見た王女は深いため息を一つ吐いて、王座であろう椅子から立ち上がった。


「それじゃ、リリーカ=リブラ=ユーリウス争奪、両家お宝対決を始めるわよっ!」

「「「お宝対決……?」」」


 王女は右掌を前へと差し出しカッコつけて開始を宣言するが、事情も知らぬ貴族の人達の声が揃った。


 ポン。と掌を打つルレイルさんは、倉庫に行った時の事を思い出した様だ。仙人さん以外の人達は、『なんじゃそりゃ』と言わんばかりの表情をしている。


「だから言うたじゃろう。ロクでも無い事じゃ、とな」


 仙人さんの言葉に、差し出した王女の掌がフルフル。と震えていた。




「そんなのガツンと仰れば宜しいですのに、『リブラ』はホント優しいですわね」


 王女から事情を聞かされ、マリアさんのキツめの物言いにマクシムさんが頷く。


「そうじゃのう。じゃが、その優しさこそが、お嬢の良い所じゃろうな」

「リリーカ様。(わたくし)にご相談頂ければ、この様な者をのさばらせておく事はしませんでしたのに」


 フレッドさんがビシッと指差す。その差した指の先には、フォワール卿が顔を真っ赤にしながら握る拳を震わせていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ