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百七

「けけけけ、決闘ぅっ!?」


 ビシリと指を差したまま、ニコリ。と微笑みコクリ。と頷く王女様。


「そうです。決闘です」

「だだだ誰と?! いいい何時ですかっ!?」

「誰って、決まっているじゃな……」


 言葉途中で電池が切れた玩具(おもちゃ)の様にその動きが止まった。その原因が私が座る横を駆け抜ける。


「何このコ。可愛いっ!」


 側に走り寄って来たネコの様な獣をマリエッタ王女が抱き上げた。


「お姉様、あの()は……?」

「今朝気付いたら居たのよ。何処から入り込んだのかも分からなくて。外に出そうにも可哀想だから取り敢えずはおいてるの」


 実際は可哀想だからでは無くて、入れてよアピールに負けたからなんだけど。


「リリーカさん。アレなんていう動物なの? 私、見た事無いんだけど……」

「いえ、(わたくし)も見た事がありませんわ。この辺に棲んでいる魔物とも違う様ですわね……。他の土地から来たのかもしれません」

「他の土地から……? どうやって?」

「魔導船やキャラバンの荷物に紛れて、とか。もしかしたらサーカス一座の誰かが飼っているペットなのかもしれませんわね……」


 成る程。


「きゃはは擽ったい。ねぇ、お姉ちゃん。このコ、マリーに頂戴」


 ザリザリザリ。とネコの様な獣に頬を舐められながら、王女は目を潤ませて私をジッと見つめる。急に美幼女化しないでくれませんかね。


「いや、あの。頂戴って言われましても、私が飼い主じゃないですし……」

「なぁんだ。マリーつまんない」


 頬をぷくっと膨らませ、ネコの様な獣を床にとすん。と置いた。


「姫様。話の続きをお願いします」

「え? そんな事より見てみて。このコ、解れ糸に戯れ付くの」


 床にぽいっ。と糸を投げ、ズルズル。と引っ張ると、ネコの様な獣はお尻を振りつかせて糸に飛び掛かる。その糸はベッドからはみ出たシーツへと伸びていた。


「マリエッタ様っ!」


 話が何度も脱線した所為かリリーカさんは苛ついている様子で、両手を付いたテーブルがダンッ。と思いの外大きな音を立て、それに驚いたネコの様な獣は軽く飛び上がってベッドの下に逃げ込んだ。大きな音に驚くなんて、ほんとネコっぽい。


「んもう、少しくらい良いじゃない」

「『少しは』とうの昔に過ぎております」

「はいはい、分かったわよ。それで? えーっと、何だっけ……?」


 頭を傾げる事少し。マリエッタ王女は話を思い出してくれた様で、パシッと手を打ちビシッと私を指差した。


「お姉ちゃんには決闘をして貰いますっ!」


 うん。それ最初に聞いた。

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