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#061 佐々倉凛子の日常

「いつもありがとう、凛子」

「ううんっ、そんなそんな!」


 香田はいつもそう。

 私が一番欲しいタイミングで、一番欲しい言葉を伝えてくれる。

 いつも丁寧に、心を込めて。

 あれから10年が経過しても何も変わらない。


「凛子が淹れてくれるお茶……いつも美味しいよ」


 香田のお仕事の秘書になった私は、あれからずっと離れず香田の傍で日々を過ごしている。

 今日もこうして香田の職場でいっしょの時間を共有している。

 香田のお手伝いをして、香田に『ありがとう』と感謝されちゃう。

 その上でお金まで貰えるとか……詐欺でもしているような酷い罪悪感。むしろお金を払ってでも、この場所を独占したいぐらいなのに。

 この場所を、他人には絶対に譲りたくない。


「こ、こんなのっ、誰が淹れても――」

「――こら」


 優しくて……でもちょっと強引な私の王子様は、仕事中だけ掛けているメガネを外してため息をつくと。


「え、えっ」


 トレイを胸にしまっている私の手を掴むの。


「こんなの、じゃない」

「は……い」


 こんなモブの村娘みたいなどうでも良いはずの子に、また真剣に怒ってくれた。ずるい私は、そうやって香田の心を確認している節がある。

 自覚はあるの。でも止められない。


「大切な凛子が淹れてくれたお茶をバカにするな」

「……う、嬉しー……」


 大人になっても何も変わらない。

 きっとこれからも、ずっと変わらない。

 ずっとずっと。きっと死ぬまで。

 いつもの決め台詞を口にして、香田はそのままゆっくりとその唇を――



   ◇



「――だ、だめぇ香田ぁ、こ、ここ職場ぁ――……あ……?」


 チュン、チュン……と遠くで聞こえるスズメの鳴き声。

 窓から差し込む朝日。


「あ……あぁ……」


 私は、慌ててベッドの中に潜った。


「ああああああぁぁぁぁあああぁぁぁ……っっっ……!!!!」


 後悔。

 深い深い後悔。もうそれだけ。


「私の……ばかあああああぁぁ……っっ……!!!!」


 もう完全に手遅れだった。

 せめてあと10秒――ううん、3秒でいい。黙って寝てれば良かったのに。


「どうしてここでっ……起きちゃうかなああぁぁ……っっ……!?」


 ヤバイ。ヤバかった……!

 10年後の大人の香田、本気でヤバかった……!

 カッコ良すぎ!?

 ヤバイ。語彙ごいとかもうどうでもいい。あれはヤバイって!!


「ひゃあ……大人の香田、モテモテだろうなぁー……」


 ううん。それは今もか。

 あんな優しくてカッコ良くて、思いやりがあって頭良くて優しい高校生とかいるはずがない……優しいって二回言った!

 存在自体がミラクル。尊い。リアルカリスマホスト。

 まるで小説か漫画に出て来そうな王子様そのもの。


「……」


 ふと、そこに気が付く。

 冷静に考えたら、そんな完璧な理想の王子様が、リアルに居るはずない。

 ましてこんなモブキャラみたいな色気も何もない子のこと…………す、好きとか? いやいや、ない。ないって。


「――はっ……まさかまだ夢の続きっ……?」


 とうとう私は気が付いてしまった。

 そう。あれもこれも、全部が私の都合の良い夢。妄想。

 EOEなんて元々最初からなかったのだ……!


「にゃはは……なーんて、ね……?」


 私は『とっておき』を取り出す。

 いつも枕元に置いてある、宝物。お守り。あるいは精神安定剤。


「…………えへへっ……香田っ……」


 それは香田からの、ラブレター。

 お弁当箱といっしょに入れられていた、私にだけ書いてくれたお手紙。


「お、おっと……ぐぬぬっ……だめっ……もったい、ないっ……」


 ついついそのまま封筒から取り出して、また読もうとしている私がいた。

 危ない危ない。

 これは『いざ』って時まで広げちゃダメ。

 普段から目を通して見飽きたりしたら……ううん、そんなの許されない。

 香田からの、あんな言葉を贈ってもらって。それで心が動かないような人間になんてなりたくない。

 そんなの最低。死んだ方がマシだ。

 ――だから私は、決して安易にこれを開いたりしない。

 そんなことしなくても、今の私は大丈夫。香田から抱えきれないほどのいっぱいの『幸せ』を贈ってくれた。


「はー…………」


 香田のお家での思い出。

 それを思い出すだけで、胸が苦しくなる。

 『幸せ』の具現化だった。考えられるすべてがそこにはあった。

 いっぱい優しくしてくれた。

 大切な秘密、聞かせてくれた。

 香田のお部屋に入れてくれて……アルバム、見せてくれて。

 寝ている香田をいっぱい眺めて。

 朝ごはんつくらせてくれて。食べてくれて。

 そして……そして……こんな胸、触ってくれて……いっしょにソファでゴロゴロしてくれて――


「ひゃあああぁぁぁああぁぁ……っっ……!!!」


 たまらなくなっちゃって、ベッドの上で身悶えしてしまう私。

 何あれ……何あれ! 信じられない。本気の本気で夢じゃないの??


「香田ぁ……っ……」


 ――ぎゅっ……。

 布団を抱きしめて顔を埋める。

 いつも悪夢ばかり観ていた私なのに。起きるといつも泣いていたのに。

 こんな幸せな朝をくれて……ありがとう、香田。


「あの……佐々倉先輩。そろそろいいっすか?」

「うぎゃああああっ!?!?」


 それは想定外――というほど想定外ではないはずなのに。油断してたっ。


「さ……桜……居た、の」

「おはよーす、佐々倉先輩っ!」


 彼女、咲山さきやまさくらは一学年下の後輩で、この寮部屋の同居人。

 サキヤマ→ササクラ、と苗字の読みの順番で割り振られただけの理由で同じ部屋に住むことになったけど……今はそれ以上の関係。

 先輩と慕ってくれてるし、サバサバしてて性格も前向き。

 ちなみに陸上部のエースで、体つきがグラマラスじゃないからそれだけである種の安心感もあったりする……ここだけの話だけど。


「朝練はどうしたのよっ?」

「も~! 今は昼前っすよ?」

「うっそ……」


 枕元にあったメガネを慌てて掛けて時計を見ると、確かに午前11時過ぎ。

 オカザキを家まで送ったのが夜中の二時過ぎ。帰ってお風呂に入ったのが三時で……あれ。その後の記憶がない。

 とにかくたぶん軽く8時間は寝ちゃっただろうこの状況を私は理解した。


「い…………いつから見てたのよっ……」

「へ? いつからって」

「……」

「ひゃっひゃっひゃっ。別に『えへへ、香田っ』の辺りからしか見てないすよ?」

「うぎゃああああ――っっ!!!」


 こうして佐々倉凛子の日常が始まった。



   ◇



「――ほら。お待たせ」

「はにゃーんっ、佐々倉先輩愛してまーすっ!」


 昼……私にとっては朝食、をテーブルに出すと大喜びで桜が席に座る。


「別にアンタの愛なんかいらないわよ。ひとり分もふたり分も作る手間がかわらないだけ」

「ツンデレツンデレェ!」

「……やめた。没収」

「ああ嘘っ、ごめっ、佐々倉先輩ーっ!!」

「くすっ。ほら、食べましょう」

「はいっ! では――」

「――天にまします我らが父よ、願わくば……」


 食前の祈りをふたりで交わす。

 正直、私は宗教とか信じてないけど……この聖カント女子学院に入ってからはこれが普段の日課なので、すっかり抵抗感や違和感などどこかに行ってしまった。

 冬、家に帰ってきた時うがいをするよりずっと自然な習慣。


「――アーメン」「アーメン」


 その結びの一言で祈りは終わり、そして食事が始まる。


「いただきますっ! 圧倒的感謝っ!」

「めしあがれ。そういやアンタ、期末どうだったのよ?」

「ぶっ……ちょ、先輩っ、いきなりそれからですかっ!?」

「そりゃそうよ。前回赤点だったじゃないの。それで?」

「ギリ大丈夫でしたあっ! ご心配なくっ!!」

「ふーん……もぐもぐ……まあまたわかんないとこあれば相談に乗るから」

「はぁーい……その節はお世話になりましたぁ……! ほんっと佐々倉先輩がうらやましいっす」

「……うらやましい?」

「勉強の必要ないって、ちょ~うらやましいっすよ!」

「必要ないってわけじゃないわ。単に授業の内容を覚えてるだけ。テストは暗記だけで全問正解できるわけじゃないでしょ?」

「それでも、うーらーやーまーしーいー! ずーるーいー!」

「アンタもちゃんと授業のこと覚えてれば良いじゃない?」

「かぁー……簡単に言ってくれちゃってぇ……!!」

「ほら。しゃべってばかりじゃなくてご飯食べなさい。冷めるわよ」

「うへーい……」


 ……?

 あれ? 何だろ……この感じ?

 既視感みたいなのを覚えて首を傾げる私だった。


「もぐもぐ……佐々倉先輩は今日、どうするんすかぁ……?」

「どう、って?」

「もぐ……また例の、イーオーイー、とかいうのにすぐ行くんすか?」

「ああ、今日はバイトよ。あとお母さんの見舞いもしようと思ってるわ」

「ふーん……もぐもぐ……んで?」

「で?」

「香田って……ポイントメッシュのあの人っすよねっ?」

「ぶふっ!?」


 危うくコーンスープを噴き出しそうになってしまった……。


「ひゃっひゃっひゃっ! 先輩可愛い~!」

「先輩と思うなら……からかわないでちょうだい……」

「ねえねえ……真面目な話、どこまで行ったんすか?」

「どこまで?」

「とぼけないでくださいよぅ! 男女としてっ!!」

「――……」

「あのー。その腐った生ゴミを見るような冷たい目、地味に傷つくんでやめてもらっていいっすか?」

「……別にどこも行ってないわよ」

「またまたーっ! あんな公然で抱きしめ合ってそれ言いますかーっ!!」

「嘘じゃないわ……軽く気持ちを確かめ合っただけよ」

「うっわ……大人っぽ! 愛を確かめ合う行為とか……!!」

「はあ。好きに言ってちょうだい。想像に任せるわ」


 私は髪をかき上げて面倒臭そうにやり過ごす。

 ……内心、冷や汗をかきながら。


「やっぱ佐々倉先輩って大人って感じっすねぇ」

「…………それ、皮肉のつもり?」

「いやいや! マジでいってますからっ」

「ありがと。言葉通りに受け取っておくわ……じゃ、ごちそうさま」

「佐々倉先輩……いつも思いますが、もーちょっと食べたらどーっすか?」

「アンタが食べ過ぎなのよ。まあ運動部との違いってヤツじゃないの?」

「えー……そーっすかぁ?」

「ゆっくり食べてなさい。食べ終わったら食器は水で軽くゆすいでおいてね」

「はーいっ」


 ふぅ、とため息を吐いて私は身支度を済ませるべく、洗面所へと向かう。


「桜。出かけたらそのまま帰らないから、今夜もよろしく頼むわね」

「はーい……もぐもぐ……いつもようにやっときまーすっす!」


 もちろんこれは夜の点呼のこと。

 どうせ見回りは部屋の中に入って来ないのだから、声色変えてのふたつの返事を桜に頼んでいる。

 皮肉なことに毎日桜がふたつの返事をしているから、むしろそれが見回りの先生的には自然な返事になってることだろう。この数ヵ月間これで問題が生じたことはなかった。


「いーなぁ……ワタシも彼氏、欲しいなぁ……」

「……彼氏」


 歯磨きと洗顔を終え、次にメイクの準備をしていた手が思わず止まる。

 そう……香田を彼氏だと言いふらしたのは誰でもなく私自身。

 だからそれを今さら否定は出来ないけど……やっぱり居心地が悪い。

 だって、本当は恋人じゃないんだから。

 私なんかが……こんな出来損ないのミイラみたいな私なんかが――


「佐々倉先輩?」

「ふきゃっ!?」

「どしました? 突然黙って」


 もぐもぐと租借したままの桜がひょっこりと洗面所まで来て覗きこんできた。

 鏡に映る自分の姿を恨めしそうに眺めていた私は、それで虚を突かれて驚いてしまっていた。


「ふん……別に。自分のロリっぷりにあきれてたところよ」

「ひゃっひゃっひゃっ。それ、本気で武器っすよねぇ」

「…………ありがと」


 止まっていた手を再び動かし、手の甲に出していた紫のベースメイクを指の腹でポンポンと顔の数カ所に置いて、それを薄く伸ばす。


「ほうほう」

「……何よ」


 今度はアイメイク。具体的にはアイホールにピンクをほんのり乗せていく。


「勉強になるなぁって!」

「アンタが手抜き過ぎなのよ」

「っていうかここ最近の先輩が気合入り過ぎな気が……」

「……別に」


 そんなの当然じゃないの。

 EOEではログインした時のスキャンデータがすべてなんだから。

 ゲーム内でメイクの修正が利かない以上、やれることをやるしかない。

 こんな子供みたいな顔でも、少しでも香田に魅力を感じてもらえるその努力ぐらいは最大限にしておきたい。

 そうでなきゃ、無理して綺麗って言ってくれている香田に失礼だ。


「ほら、邪魔。さっさと食べて来なさい」

「ほーい」

「まったく……」


 チークを塗る手を止めて、改めてメイク途中の自分の顔を見つめる。

 本当は、メイクは嫌い。

 こうして子供みたいな自分と長時間向き合わなきゃいけないし、それを塗り固めて誤魔化す行為も、逃げているみたいで苦手だ。

 ……でも。少しだけマシになるから……メイク完成の直後は、少し好き。


「――よし」


 最後に透明感のあるナチュラルなピンクのリップを塗って、完成。

 うん、ステータスにちょっぴり補正が入った気分。

 私は次に髪のブラッシングを始める。

 可愛くなれ……可愛くなれ……心で唱えながら何度も解かす私。

 まるで呪文でも唱えているかのような気分だった。



   ◇



「――ママ……元気っ?」


 私は微笑みながらママの部屋に入った。


「ごめんなさい。あまり顔を見せられなくて……あ、これお土産。ママの好きなヨーグルト。すぐに用意するねっ」


 返事を待つまでもない。

 さっさとフタを開けて、紙のスプーンも折って用意するとカップの中に刺して手渡した。


「ふふふっ、やっぱりそれ、大好き過ぎっ。さっそく食べてるしぃ!」


 うん、飽きてないみたいで良かった。


「あ、こぼしてるっ。あーもー。ほらこれで拭いて、拭いてっ」


 こうやって拭いているママの仕草を見ているとやっぱり安心する。

 ママは普通だって。


「――あ、娘さん来てたんだ? 良かったですね、佐々倉さん」

「あ。先生……いつもお世話になってますっ……」

「うん。佐々倉さん良い顔してる。よほど嬉しいんだろうね? あ、座って座って」

「はいっ」


 先生が来て思わず立っちゃったけど、すぐに促されて元の座席に戻る私。

 目の前にパイプ椅子を持ってきて、先生――加賀先生は、少しくたびれた白衣を軽く引っ張り上げながら目の前に座ってくれた。

 女性のわりには大らかというか……身なりを気にしていない様子でボサボサの髪を掻きながら話を始める。


「経過は、良くもなく悪くもなく……といった感じかな。分量含めて色々試してはいるんだけどね。症例が無く医学界としてもおそらく初めてだから暗中模索で申し訳ない。とにかく薬剤性パーキンソニズムというやつは繊細なんだ」

「はい……わかってます。いつもご尽力、ありがとうございます」

「いやいや、その言葉は彼女が回復してからに取って置いてもらおう。現状の私はまだヤブ医者だ」


 これが、この先生を選んだ理由。

 普通は安心させるためにお医者さんってもっと威厳ある感じで、ドンと構えている。プロに任せろ、という感じ。それは間違いじゃないと思うけど……私にはそれが怖く感じた。対岸に置いてけ堀にされたくない。お客魔じゃなくて、いっしょに難問に挑みたい。

 だから取り繕わないこの先生に決めた。

 ……まあそもそも薬剤性パーキンソニズム、というこの病気自体が非常に稀で、一見してズバリ言い当てられた先生はこの人だけだったのだけど。


「薬剤は日々進歩している。近々米国の注目されている薬も認可が予定されている。あと数年、我慢してくれ」


 それは逆にいうと数年は無理そうだ、と言ってくれている。

 変に期待を持たせないでくれる。助かる。

 ママはいくつかの内臓に深刻な機能不全を起こしている。その原因を抑制したり症状を緩和させるために色々なお薬を投与している。そしてその薬の副作用――いや、ある種のアレルギーのような予想もされてない特殊な反応により、まるで重度のパーキンソン病のような振る舞いを起こす。しかも身体の自由だけじゃなくて、心の自由まで奪われてしまっている。これが今、目下ママが闘っている病気の正体。

 薬の投与を止めれば目に見えて症状は治まる。苦しまなくて済む。でも同時に、死に向かってしまう。強烈なジレンマだった。


「ママ……もうちょっと頑張って」


 手を握り、私はママを見つめる。

 硬くなって細かく震えている。つらいだろうな。


「じゃあ、お大事に」

「はい、ありがとうございます」


 回診の紙にサインを入れた先生はパイプ椅子から立ち上がり、軽く手を振って病室から出て行った。


「――え? ヨーグルトおかわり? 珍しいねっ?」


 食欲があるのはすごく良いことだ。私は嬉しくなってもうひとつの容器のフタを開き、手渡すとそれを受け取って紙のスプーンを入れる。


「……」


 どんな時もママは絶対に自分で食べようとする。それがすごくカッコイイ。


「……ね。ママ……私、好きな人ができたんだ」


 黙々と食べているママを見ていると、幸せな気持ちになる。


「人を好きになるって……すごいね。無敵だね。すべてがそこに向かっちゃう。どんなことでも頑張ろうって気持ちになっちゃう。私の全部をその人に捧げたいって思っちゃうね」


 香田の、目を細めるあの優しい笑顔が思い浮かぶ。

 ぽっ……と心に小さな明かりが灯る。


「その好きな人って、香田っていう人でさ……それがもうっ、すっごく優しい人なのっ! 優しいだけじゃなくて、ちゃんと叱ってくれてっ……私のこと、すごくすごく考えてくれて……大切にしてくれて。こんな私なんかのこと、可愛い、綺麗って言ってくれるんだよっ?」


 あっ……と、いけない。ついつい香田のことになると熱っぽく語ってしまう。自分で呆れてしまいそう。


「ふふっ……今なら、ママの気持ち……少しだけわかる、カモ。愛のカタチや幸せのカタチって色々あるね。そりゃそうだよね。人それぞれ違うんだから、違う人同士が繋がる『ほどほど良い感じ』のバランスのとり方も……色々なカタチになっちゃうもんね?」


 ――だから、ママがあの人と恋に落ちたことを私は責めたりしない。

 きっと、どうしても譲れなかったんだ。社会のルールを背にしても、自分の気持ちを曲げられなかった。無かったことにはできなかった。

 今ならちょっとだけわかってしまう。

 もし香田が誰かと結婚してて……ダメだとわかってても、それでも好きという気持ちが抑えきれなくて。そうしたら私も、似たような答えを出してしまうのかもしれない――だって、無敵なのだから。


「ああ……そっか……」


 逆だ、これ。

 ママの子だから、私は『こう』なんだ。

 ママの選択を――人生を否定したくない。間違っていると思えない。

 そう信じている私の心は、ちょっとばかり社会のルールから外れてる。

 だとすると……非常識な私の考えに付き合ってもらっちゃっている香田と深山さんには、悪いことをしちゃっているのかな……?


「え? ヨーグルト? にゃはは……ごめんっ、そんないっぱい食べると思ってなくてもう完売っ。あとはお花ぐらいしか持ってきてないよぅ」


 そういやお花、交換しなきゃ。

 ママが大好きなダリアの花を、花瓶に――


「――……あれれ?」


 このダリア、古くない。昨日今日この花瓶に飾ったような感じだ。

 あれ? 私がこの前に来たのって四日前ぐらいじゃなかったっけ?

 というかいつも私の買ってるシングルじゃなくて、ピオニーだし。

 こんな派手なの――


「――あ……そっか」


 私は思わずニヤけてしまう。

 そっか……そっか……嬉しい、なぁ。


「お水だけ交換しておくね」


 私は自分の買ってきたシングルのダリアもいっしょに飾ることにした。

 ママの花瓶に、ふたつのダリア。

 地味な私に、派手なお姉ちゃん。

 ちょっと窮屈そうだけど――


「うん、家族団らんって感じ!」


 ――これもこれで、良い感じ。



   ◇



「暑っ……!」


 空調の利いている病院から出ると、特に強烈。

 アルファルトから照り返される光に思わず顔を逸らしてしまう。


「ひゃあ……夏、だにゃあ……」


 ここ数日で一気に真夏の到来を感じさせる勢いだった。

 少し気が滅入る中、バイト先に向かうため私は駅を目指す。


「うー……」


 汗がじんわり出て来る。ベタベタする。

 今、香田が隣にいなくて良かった。こんなの嫌われちゃう。


「……っ」


 なぜか『そんなことないよ』って笑ってる香田の笑顔を思い浮かべる私だった。

 いやいや……そんな訳ないしっ!

 香田、汗が好きとかそんな変態じゃないしっ!


「…………」


 妄想が止まらない。

 都合の良い仮想香田がまた『そんなことない』なんて言いながら汗だくな私の胸元に顔を埋めて舌で汗を――


「……はぁ……」


 ちょっと待ちなさい。佐々倉凛子。

 香田のこと、どうしてそんな勝手に汚してるわけ?

 頭おかしいんじゃない??

 汗が好きな人間とか居ないし……!


「……っ……」


 謎だ。

 なぜか今度は香田が汗だくになってる。

 滴る、キラキラした香田の汗。


「……はぁ」


 きっと炎天下のせいだ。うん。


『――夏だ! 海だ! 恋と水着の準備は~?』


「お」


 細かく何度か頭を振って変な妄想から離れようと視線を逸らすと、ちょうど駅前の通りに面したお店にある、壁に埋め込まれた液晶画面が視界に入った。

 爽やかな夏の海が画面いっぱいに表示されている。

 沖縄かどこかだろうか? 綺麗な青い海は見てるだけで清涼感がある。

 あんな海で泳いだら気持ち良いだろうなぁー……。


「う」


 そして大はしゃぎで泳いでる女の子が画面に表れて、私はその不意を突く攻撃に悶絶する。

 たわわな肉体を惜しげもなくさらけ出した水着姿は、たぶん男子とはまた別の意味で私には刺激的だった。

 別に私は同性愛者じゃないからムラムラとかしないけど……でも、男子の気持ちになって眺めることはできる。

 ああいうのがきっと魅力的なんだろうなって、安易に想像がつく。

 そりゃそうだ。ああいうのが『女性』だ。

 私は『女の子』ですらない。『女子児童』だ。


『――彼と真夏の海の恋、咲かせませんか?』


「無い、無い……」


 そんなの、自分から死にに行くようなものだ。

 オンチがライブ会場で飛び込み参加するようなもの。

 あるいは腐った生ゴミを弁当に詰めて手渡すようなもの。

 なぜあえて、そんな嫌がらせみたいなことをしなきゃいけないの。

 いくら大抵のことは許してくれる優しい香田でも、そりゃ怒るよ。

 そんなみったくない身体、見せるなって呆れられてしまう。


「……うー……夏なんて嫌いだぁ……」


 ああいうのは、深山さんが香田と楽しんで来れば良い。

 そういうのは深山さんの役。

 うん、それが良い。

 むしろそれってすごく良い。

 想像も容易だった。

 ふたりが楽しんでるのを、私は遠巻きに眺めるの。

 嬉しそうに海辺ではしゃいでる水着姿の香田を、眺める私。

 ――……ああ。これって縮図だ。

 深山さんを利用して、逃げ隠れして安心する卑怯な私を端的に表している。

 その代価はきっと嫉妬。

 安心と嫉妬は私の中でトレードオフされている。


「深山さん今頃……ラブラブしてる、かなぁ……」


 私は眩しい太陽の先にEOEの世界を見る思いで、青い空を見上げた。



   ◇



「――おはよーございまーすっ!」

「ああ凛子ちゃんっ……待ってたよぉ……っ!!」


 バイト先である『ノリノリ弁当』の勝手口側から入ると、小さな厨房でひとり奮闘していた酒井のおばちゃんが泣きそうな顔でそう返事してきた。


「凛子ちゃんごめんなさいっ……まだ30分も早いけど出てもらって良い?」

「あいあいっ、わかってまーすっ!」


 言われるまでもないし。

 私は手早く三角巾とエプロンをつけると消毒薬入りの洗剤で手を洗い、アルコールで手首まで消毒してから厨房の中に入った。

 むあっ……と厨房に籠るその熱気に、毎度のことながら呆れる。

 そりゃそうだ。ここでずーっとガス炊いて炒め物してるんだからどんなに空調入れてもこんなモンだ。


「あ、いらっしゃいませーっ」


 さっそく小さなこの店舗に入ってきたお客さんを見つけると応対に出る。

 このアルバイトは『レジ接客応対』が募集されてた内容だったけど、そんなこと言ってらんない。

 ここからは私も食器洗いから調理、容器の補充に盛り付けに掃除まで手伝って閉店の8時まで走り抜けるだけであるっ。


「店長ぉ、タルタル南蛮とスタミナ生姜焼き入りました~っ」


 おっし、今日も頑張ろっ!



   ◇



「――ふにゃあぁ……つ、疲れたっ……今日はマジで地獄だったぁ……」


 ある意味であっという間。

 嵐のようなバイトが終わり、店長である酒井のおばちゃんより一足先に店を出るとすでに外は夜になっていた。

 熱帯夜特有の湿った空気の中、駅前の繁華街はまるでお祭りのように活気に溢れている。街を彩る看板の明かりが眩しいぐらいだ。


「あっと、と……急がなきゃ」


 バイト先から近くて助かった。

 私は慌てて通りをはさんだ反対側にあるビックリカメラへと駆け出した。

 9時で閉まるはずだから、あと30分少々しかない。


「えーと……『Incests』だっけ?」


 広い店内に飛び込むと、未ちゃんから頼まれていた商品名を正確に思い出す。

 調べるのも面倒だし言われた通り店員にそのまま尋ねてしまおう。


「あのー、すみません」

「あ。はい、いらっしゃいませ」


 制服を着た40代ぐらいのオジさんに声を掛けた。


「私、『インセスツ』というのを探しているのですが……どこにありますか?」

「いんせすつ……? 英語表記の商品ですか?」

「あ。こう書きます」


 ハンドバックからペンと手帳を取り出してスペルを書き出した。


「申し訳ございませんが、こちら、どういった商品でしょうか?」

「さあ? 人から頼まれただけなので、詳しくは知らないですけど」

「そうですか。では少々お待ち下さい。取り扱いがあるか調べて参ります」

「はい、お願いします」


 未ちゃんが危惧した通り、やっぱりあまり有名な商品ではないみたい。

 待たされることになった私は携帯スマホの保護ケースのあたりを眺めて時間を潰す。


「――お、お客様……」

「あ」


 バタバタと駆け足でさっきの店員が戻ってきた。


「ありました?」

「その……申し上げにくいのですが……」

「?」


 店員さん、困惑している。


「……お客様のような未成年のかたにはお売り出来ない商品でして」

「はあ?」


 それは二重の意味での『はあ?』だ。

 とくに――


「あの、私……18歳なんですけどっ? 売ってくれないわけですかっ?」


 ――特にこっちがカチンと来た。

 すかさず免許証を取り出してその店員の目前に晒す。


「え。あれ、え? その」

「何かっ?」

「…………い、いえ……大変失礼しました……では、その。えー。商品をこちらまでただいま持って参りますので、少々お待ち頂けますか……?」

「えー……別に売り場まで案内してくれたらそれでイイんですけどー」

「いえ。もう閉店間際でございますので……ぜひそちらの席にてお掛けになってお待ちください」

「……はい」


 面白くない私は頬を膨らませて言葉少なくうなずくと、言われた通り携帯の契約コーナーにある椅子に腰掛けて待つことにした。

 ……まあバイトでへろへろだったのは事実だし。


 どうやら店員さんは良い人だったらしい。

 閉店時間が近いこともあって思ったよりずっと早く、息を切らせる勢いで急いで菓子折りほどの大きさのその商品を抱えて戻って来てくれた。


「お、お待たせ……しましたっ、こ、こちらとなります」

「ありがとうございます……んむ?」


 何、これ。


「こちらでお間違いは……ございませんか?」


 なるほど。未ちゃんらしいといえば、未ちゃんらしい。

 これってゲーム、なのかな?

 『Incests』というタイトル文字と共にパッケージでは可愛らしい女の子がふたり並んでいた。


「え、ええ。まあ」


 そう言いながら箱を裏返して――……。


「…………」

「……」


 思い遣ってくれている様子の店員さんとふたり、沈黙した。


「…………あ、あははっ……」


 嫌な汗が出てきた。

 ちょ……ちょーエロエロなんすけど……これ……。

 な、なにこれっ……禁断の愛の証ってなんすかっ!?

 そんなっ、こ、こんな可愛い子がっ!?

 ちょっ……こんなことをっ!?!?

 えーっ!? っていうか『妹』ってなんすか!?

 ここに『兄妹』って書いてあるんすけどっ!?!?

 えーっ、えーっ!?!?

 そ、そういうの、商品にして良いのっ!?!?!?


「で、ではお客様……こちらのレジで」

「は、はひゃっい!!!」


 す、す……未ちゃ――――んっ!!!!

 アナタなんつ~モノを人に買わせますか――――っっ!!!!!!



   ◇



「ふにゃ…………つ、疲れた…………なんか、すっごい疲れた……」


 一時間後。

 私は自分の車の中で、ハンドルに突っ伏して倒れ込んでいた。

 自分の部屋に戻ってシャワー浴びて着替えてメイクし直して……こうしてオカザキと待ち合わせの場所まで車を出したところで力尽きた。


「……」


 ちらりと助手席に置いてある紙袋を見やる。

 『汚らしい』とまではいわないけどさ……間違ってもあんなの、寮になんか置いておけない。


「……妹、モノ……ねぇ……」


 そういうのがジャンルのひとつとして成立していることが衝撃だった。

 社会で認められている……とまではいわないだろうけど、少なくともフィクションなら商品として売り出すことが許される範囲なのだろう。

 しかもいかがわしい路地裏のお店とかじゃなくて、駅前のビックリカメラ。


「世界は……広い……」


 しばらく脳裏から離れない気がする。

 あの可愛らしい女の子のデザインと――


「――お兄ちゃん、大好き過ぎて死んじゃう」


 強烈なキャッチコピーを思わず口にしてしまった。

 いやはや……勉強になりました。


「……」


 連想して、狂戦士となった未ちゃんの言葉を思い出す。


 ――兄さん、好きなの。どうしても好きなの。兄さんでなきゃダメなのっ。


 そう叫んでいた。

 そのまま香田の唇を奪っていた。

 ……なぜだろう。嫉妬みたいな感情が生まれてこない。

 兄妹だから? ううん……未ちゃんは異性として香田を見ているのだからそれはもはや関係ないと思う。じゃあ、なぜ?

 香田が違う女の子とキスしていたのに……全然モヤモヤしない。

 きっと許しているはずの深山さんとキスしているのをもし目撃したら、私、泣き出すぐらい心がぐちゃぐちゃになっちゃうと思うのに。


「変な感じ」


 正確なことはわからないけど……でも。

 たぶんそれは悲恋だからなのだと、そう直感した。

 きっと実らない恋。

 それに同情しているような気がした。

 つまりそれは…………そう。自分を重ねている。


「色々な愛のカタチ……あるんだね」


 私以上に、認められない愛。

 許されない気持ち。

 ……世間がそれを許さなければ許さないほど、せめて私ぐらい許したいと思ってしまう。

 人には色々な求めるカタチがある。

 それを痛烈に感じる私だった。


「あ、やっぱサークラセンパイだ!」

「……あら、オカザキ」


 物思いに更けている私を現実へ呼び寄せる一言に顔を上げる。

 オカザキがいつの間にか助手席側の窓から車内を覗き込んでいた。


「どしたのよ……待ち合わせにはまだ時間があるでしょ?」

「にししっ。そういうサークラセンパイこそ」

「ま、とりあえず入りなさい……あ、ダメ。悪いけど助手席じゃなくて、後部座席にお願い」

「ほいほいっ、そこはコーダ専用って感じぃ?」

「…………まあ、そゆこと」


 ここで香田と抱きしめ合ったこととか……色々な思い出がワッと一気に蘇って言葉に詰まってしまう。

 言われて自覚した。そこは確かに香田専用にしたいって。


「それでアタシは、部屋の窓からサークラセンパイの車っぽいの見えたから来てみた感じ」


 車のドアを閉めて後部座席に座りながらオカザキが言う。


「ああ……そうだったの。それは良かったわ。じゃあさっそく行きましょうか」

「へーい!」


 オカザキの同意を得ると車のキーを回してエンジンを掛けた。


「そういやサークラセンパイ。残りふたりは?」

「ええ、募集で見つけたわ。また野良で現地集合よ」


 運転専用のメガネを掛け、ライトを点灯して。


「しゅっぱーつ! ゴーゴー!」

「ふふっ」


 こうして私たちはトレーラー目指してゆっくりと車を走らせ始める。


「あっ、コンビニ!」

「今、出発したばかりでしょ。もうちょっと郊外に出るまで待ちなさい」

「うへーい……」

「!」


 そのオカザキの返事の仕方で、一発で理解した。

 桜と話していて覚えた違和感のその理由。


「ねえオカザキ。アンタってスポーツとかやってた?」

「へ? アタシって帰宅部だけどぉ?」

「じゃあ中学生の時」

「んー……まあちょっとの間だけ、走り高跳び」

「ふふふっ、やっぱり」


 ……そう。どこか似てるんだ。オカザキと桜って。

 そして私がコイツのこと、嫌いになれないその理由も理解した気がした。


「サークラセンパイ、何でわかったん!?」

「何となくの勘よ。別に気にしないでちょうだい」


 オカザキ――ううん、岡崎は、ちょっと不思議そうに首を傾げてた。


「……ね~、そーいやサークラセンパイ」

「ん?」

「デュエル……だっけ? あの大会ってどーなんすかね?」

「どうって、何が?」

「こんな寄せ集めだしぃ……アタシなんか始めたばっかだしぃ……ほんとにあの色気ムンムンのカナさんとかに勝てるのかなーって」

「さあ?」

「さあ、って……」


 心外。呆れられてしまった。


「私は香田についていくだけ」

「はいはいっ、ごちそーさまぁ!」

「……大丈夫。どうにでもなると思うわ」

「そなの?」

「だって……香田だもんっ」

「はいはい! もうお腹いっぱいでーす! サークラセンパイ、コーダのこと好き過ぎて引くわぁ!」

「くすっ……ほんと、そうね」


 私までも笑ってしまう。


「自分でも少し引いちゃう」



   ◇



「――アンスタック……!」


 私の宣言と共に、真っ白に輝く周囲。そして。


「……およ?」


 木造の部屋の中に現れる私たち。

 でもそこには、誰の姿も視界の中に見えなかった。

 失敗……到着前にチャットで一報入れるべきだったかも。

 思わず一秒でも早く再開したくて、慌て過ぎちゃった。


「こっちだよ」「ふきゃあ!?」


 背後からの声と――え、嘘っ、ちょ、待ってっ。


「おかえり、凛子」


 香田がっ……香田が後ろからぎゅっ、としてくれる。

 香田の匂いに包まれる。まるで、あったかい陽だまりの中みたいで。


「うー……こ、香田ぁ……っ……会いたかった……会いたかった、よぅ」

「はははっ。たった一日で大げさだなぁ」

「大げさじゃないよぅ……死んじゃうっ、香田と一日も会えないとかっ……えぐっ……死んじゃうよぅ……っ!!」

「そっか。ありがとう」


 だから、泣いちゃう。

 めんどくさいって、嫌われちゃうのにっ、どしても泣いちゃう。

 ヤだ。勝手に涙が出ちゃう。


「ほら……凛子からもぎゅっ、として」

「んっ……するぅ……!!」


 香田が私なんかのために頭を低くしてくれて、私なんかのためにじっとしてくれる。

 幸せ。本当に幸せで仕方なくて。


「嬉しぃ……嬉しー……よぅ……」

「俺も嬉しい」


 ――だから許して欲しい。

 こんな出来損ないのミイラみたいな私なんかに抱きしめられて、本当は嫌かもしれないけど、でも、今だけはぎゅっとさせて欲しい。

 今だけ……もうちょっとだけ。


「香田っ……香田ぁ……っ」


 飽きられちゃう、その時まで。



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