the end of the sky 天side-9
姉がお風呂から上がると、私にお風呂の順番が回ってきた。
「一緒に入る?」
咲さんが笑顔で提案してくれたが、若干テンパり気味に丁寧にお断りをする。
親子として接してくれるのはとてもありがたいのだが、今の私にはまだレベルが高すぎる。
お風呂から上がると、私は伊東の実家から持ってきた漫画を片手に姉の部屋を訪れる。
ドアを3つノックすると、姉は笑顔で私を迎えてくれる。
「いらっしゃい天ちゃん。入って!」
部屋にお邪魔すると、ベッドに座る様に促される。
「お姉ちゃん、これ約束の少女漫画。この漫画を参考に、もう少し恋愛について勉強して下さい。あ、少しだけ過激な描写もあるけれど、最近の少女漫画じゃ当たり前だからあまり気にしない様にしてね!」
そう言って、私が持ってる漫画の中でも比較的ソフトなものを姉に渡す。
姉は意外と興味津々みたいで、手渡された漫画をペラペラとめくり出した。
…めくり出したものの、途中で赤面し始める姉。
「ちょちょちょちょっと天ちゃん!これって本当に少女漫画⁉︎」
驚きつつも目はしっかりその描写を追っている。
「ちゅーしちゃってるよ⁉︎ちゅーしちゃってるよこのカップル⁉︎」
ちゅー位でこの騒ぎだ。
うーん、この漫画でそんな事言う様じゃ、別の漫画を見せたら卒倒しちゃうかもしれない。
それでもそれに慣れて免疫を作って貰わないと、姉はずっとウブなままだ。
でも、なんだかんだで興味津々ポイから、私は何冊かまとめて姉に渡し、お休みの挨拶をして部屋を後にする。
私は自分の部屋に戻ると、昼間連絡先を交換していた遥さんにおやすみのメールをしようと思い立ち携帯を取り出す。すると既に遥さんからメールが来ていた。
内容は私が送ろうとしたおやすみメールと大差はなかったが、私を気遣う優しくも嬉しい内容となっていた。
私はそれを見ながらひとしきりニマニマする
。姉の彼氏だが、異性からの初めてのメールだ。そんな嬉しい気持ちをおさえつつ、今日のお礼と感謝をしたため遥さんの携帯に返信した。
しばらくすると姉の部屋から大声が聞こえてきた。
「なんで⁉︎なんで私よりも先に天ちゃんにおやすみメール送るの⁉︎えっ⁉︎先に母に送ったですって⁉︎天ちゃんは2番目⁉︎なら私は3番目の女か⁉︎」
何を言っているんだ姉は。
微妙に遥さんと話が噛み合ってないみたいだが、多分直ぐに誤解は解けるだろう。
色々あったから疲れていたのかな?しばらくすると姉のヒステリック気味な声を聞きながら、私の意識は少しづつ遠のいていった。
なんだか久しぶりに暖かく優しい夢を見たような気がしたが、目覚めと共に忘れてしまった。
春休みはまだ一週間くらいある。
目覚めた朝の暖かい光の中、楽しい思い出を沢山作って素敵な気持ちで中学生になろうと考えていた。




