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天と空  作者: 東京 澪音
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the end of the sky 天side-6

楽しくも騒がしい中、食事の準備が整うとテーブルの上に料理を並べていく。


献立はオムライスとサラダにオニオンスープ。


オムライスは私のリクエストだ。咲さんがチキンライスを作ると、姉がフワトロのオムレツをその上にのせる。デミグラスソースも咲さんお手製で、さっき少し味見させてもらったら凄く美味しかった。


ちなみに姉にはフワトロにするオムレツのコツ、咲さんにはデミグラスソースのレシピを教えてもらった。


実質私が手伝ったのはオニオンスープとサラダのみ。


オムライスは私にも作る事は出来るけど、ここまでお洒落なものはなかなか作れない。


うーん、さすが神奈川県お洒落な街だ。

一般的な家庭の夕飯なのにも関わらず、なんでもお洒落に見えてしまうから不思議だ。


テーブルに料理を運び終わると、それぞれ席に着く。だが、この席順を巡りまた一悶着ある。


「あ、母さんは遥君の隣がいい!早い者勝ちよね?さ、遥君ここ座って!あ、天ちゃんは遥君の向かいに座って。空はその隣。」


急かすように遥さんを座らせると、席順があっという間に決まっていく。


「ちょっと母さん!なんで遥君が母さんの横なの⁉︎しかも向かいに天ちゃん座らせるし!おかしいでしょ⁉︎私その人の彼女!遥君は私が隣か向かいの方がいいわよね?」


またこんなやり取りが始まる。


咲さんはどうやらこのやり取りがとても好きみたいだ。かく言う私も実は見てて結構楽しい。狼狽ているのは姉で。遥さんは指定された席に座って固まっている。


「空はいいじゃない、毎日遥君独占してるでしょ?私なんてたまによ?空が意地悪して遥君を時々しか家に連れてきてくれないから、こんな時位私だって遥君と仲良くしたいじゃない!なんてったって将来は空のお婿さんになる訳だし、今から婿姑仲良くしなくちゃね!あ、ほら天ちゃんも今のうちに遥君に甘える事を覚えておきなさい!将来はあなたの義理の兄になる人なんだから。」


なんだかもうめちゃくちゃだけど、これはこれでとても楽しい。ひょっとしたらだけれど、咲さんは私の為にいつも以上に騒がしくしてくれているのかもしれない。


多分、きっとそうなんだと思う。


「お婿さんとか恥ずかしいでしょ!それに私はお嫁に行くのよ!結婚してここで暮らしたら私は遥君を前に毎日母さんにいじられなきゃならないでしょ!」


こうやってみると、姉は意外と熱くなりやすい人みたいだ。才女で落ち着きのある優しい女性ってのが第一印象だったけど、私はこっちの姉の方が好きかもしれない。


そんなこんなで、楽しい夕食の時間を過ごした後、咲さんは姉大絶賛のハーバーと紅茶を出してくれた。


私は改めて咲さん、遥さん、姉に今日突然押しかけてしまった事を詫びると、その経緯を説明した。


その席で、明日姉が伊東の父が入院した病院に同行する事。女性二人じゃ心配だからと遥さんも急遽同行してくれる事になった。


咲さんは何かあればこれからは遠慮せず、私達を頼りなさいと言ってくれた。


昨日までどこか騒ついていた不安な気持ちも、今は嘘のようにとても穏やかだ。


それからしばらくして遥さんを見送り、お風呂とパジャマをお借りした。

知らない家で一人寝は寂しいかもとの事で、私は姉の部屋にお邪魔になる。


なんだか修学旅行の時みたいな気分でとても楽しい。流石に枕投げはしなかったけど、眠るまでの間色んな話をした。


灯りを消して姉と並んで眠る。誰かと一緒に眠るなんて私はあまり経験がない事なので、少し緊張する。でも不思議と安心もする。


「天ちゃんまだ起きてる?」

そんな心地良さの中、姉が不意な声を掛けてくれる。


「うん、起きてるよ。なんか修学旅行みたいな気分で、ドキドキしてちょっとまだ眠れないかも。」


そう答えた私に少し小さく笑うと、自分も同じ気持ちだと話してくれた。


「今日はさ、訪ねて来てくれてありがとうね。ここまで一人で来るのはとても大変だったと思うし勇気も必要だったと思う。私はさ、遥君がいてくれたから何とか父に会いに行けたけど、天ちゃんは凄いよね。父の事ね、正直会うまで少し恨んだりもした。だけど私の事を忘れた訳ではないと知った時、そう言う感情はどっかいっちゃった。だけどあの日から私は天ちゃんの事が気になってた。天ちゃんは少し前までの私にそっくりでさ。だから今日こうして会いに来てくれて、仲良くなれた事が純粋に嬉しい。これからも姉妹仲良くしていこうね。」


そう言うと、姉は私の右手に自分の左手を絡めた。


突然押しかけた私を冷たく突き返す訳ではなく、暖かく当たり前の様に受け入れてくれた姉。


姉と言っても正直今日会うまでは実感なんか全然なかったけど、今はその存在が凄く嬉しい。


互いを知らずに過ごした時間は、どうやったって埋める事は出来ないけど、これから過ごす時間は大切にしていきたいと思う。


そんな事を考えながら、私はいつのまにか眠りについた。



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