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天と空  作者: 東京澪音
2/13

the end of the sky 天side-2

さて、この地図を見る限りでは姉の家までそこそこな距離がある。


歩いても行けるけど、バスの方が早いから、もしもバスに乗るのなら二宮方面のバスに乗り、白岩神社東って所で降りるようにってさっきお巡りさんに教えてもらった。


一瞬バスに乗る事を考えたが、こんな機会はあまりないので、私は姉の暮らす街の風景を感じながらのんびり歩く事にした。


大磯駅を南西に下ると、右手に大磯小学校が見えてきた。自分が通う小学校より若干素敵に見えるのは、都会にあるからだろうか?そんな事を考えていると、結構な交通量のある道に突き当たった。どうやらこれが国道1号線らしい。


この道を西へ西へと歩くのだが、知らない街というのは実に新鮮だ。正直なところ迷ってしまうんじゃないのか?と言う多少の怖さはあるものの、好奇心の方がそれを上回っている為、不安な気持ちはほとんどない。


そして何より私の胸をトキメかすものは、なんと言ってもその街並み。

電車の窓から外を見ていて気がついたが、熱海辺りで随分と街並みが変わってくる。建物も洋風な素敵なものが多く、出来る事なら私もこんな素敵な街に住みたいと思うほどだ。


そんな事を考えながら歩いていると、今度は左側に大磯中学校が見えてきた。


大磯中学校前を通り過ぎると、チェリオと書かれた自動販売機を見つけたので、小休止する事にした。


緑色、オレンジ、紫色と並んでいるがどれも結構毒々しい。だけど渇いた喉を早く潤したい!


私は財布から100円を取り出すと、商品ボタンを押す。

一瞬、スィートキッスなる味を押したい衝動にかられたが、ギリギリの所で踏みとどまり、無理やり指の軌道を変えると無難に隣のメロン味を購入した。


うーん、スィートキッスか…。どんな味なんだろうか?正直興味があるので、帰りにまたここを通る際に購入しようと思う。


あ、誤解しないで欲しいけど、私だってレディーの端くれ。人並みにそう言った事に多少なりとも興味があるわ!

などと心の中で一人呟きつつ、松並木を眺めていた。


さ!行こう!私はペットボトルをゴミ箱に捨てると、額の汗をはらいまた歩きだす。


松並木を抜けた先に滄浪閣前と言う信号機に差し掛かった。地図によるとここを北に進み、突き当たりを左に曲がると白岩神社東と言うバス停があるはず。


姉の家はそこから直ぐみたいなので、もうひと頑張りだ。


しかし勢いだけで来てしまったが、会ったら何を話せばいい?妹です、よろしく!って言ったって、驚くだけで信じちゃ貰えないかもしれない。


そもそも私は遠くからひと目見れればいいって思ってたはず。なのに今はあって話をしてみたいと言う欲求にかられている。


気がつくと目的地を少し通り過ぎていた。あぶないあぶない。私はどうも考えごとをしすぎる癖があるので、将来立派なレディーになるためにも、今のうちから気をつけねば!


辺りを見回すとそこそこな住宅街。

私は地図にあたりをつけて、一軒一軒表札を確認していく。


あおやま、アオヤマ、青山〜。英語にするとブルーマウンテン!なんだかコーヒーみたいになるね。


うーん…お!あった!青山発見!表札には…咲、空って書いてあるから間違いない。


さて、あとは呼び鈴を鳴らすだけなんだけど、人の気配が全くしない。まぁ、普通に考えれば咲さんは仕事だろうな。


うーん…と腕を組んで唸っていると、後ろから声をかけられる。


「ウチに何かご用ですか?」

その声に振り返ると、そこには見知った顔があった。

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