咲の計画
一頻り騒いだ後にふと時計を見ると、22時を回った所だった。
「大変!ごめん遥君、こんな時間になっちゃってた!帰り大丈夫?」
自転車で来ているので、終電とかは気にする必要はないのだが、いかんせんこんな時間だ。危ないって言えば危ないかもしれない。
「大丈夫だよ空。僕は男だし、これくらいの時間なら
まだまだ全然平気さ!」
遥さんは笑顔で答える。
聞くところによると、遥さん家までは電車で一駅との事。30分もあれば帰れるとの事だったので、一安心。
「ダメよ遥君、こんな時間に帰るなんて危ないわ。私から遥君のご両親に連絡入れるから、今日は泊まっていきなさい。」
えー!お泊まりですか遥さん!?
「えー!お泊まりですか遥くん!?」
姉とハモった。
あー、やっぱり私は姉の妹だ。うん。間違いない。
姉はテーブルに両手をいきよい良く叩き立ち上がる。
「うん。そうよね!いくら男の子でも夜は危ないわ。ここは泊まっていった方が絶対いいと思う。…母さんグッジョブ!」
聞こえるか聞こえないかって位の声で拳を握りして独り言を言う姉。
「あ、でしたら僕が家に電話しますので、途中代わって頂ければ大丈夫かと。」
携帯で遥さんが自宅に電話をかけ、途中咲さんに電話を代わってもらい事情を説明して見事お泊まりする事に成功した。
「ふっふっふ。空、私に感謝しなさい。これで今日遥君は青山家に無事お泊まりする事となりました。しかもご両親の許可も取って合法的に、ね。私の計画大成功。」
合法的に、かつ計画的に !とか言っちゃってるお母さんがちょっと怖いけど、今夜は楽しいお泊まり会になりそうだ。
「さて遥君。今日は空のお守りありがとね。疲れたでしょ?取り敢えずお風呂にゆっくり入りましょうか!お礼がてら背中流してあげるね。つもる話もある事だし。」
なんか咲さんが凄い事言ってる気がする。
「ちょっと待ったー!それはアウトな発言でしょ母さん!っか、何!?何で母さんが遥君とお風呂に一緒に入る流れ作ろうとしてる訳!?背中流すとか、つもる話ってなんなのよ!?」
今回ばかりは姉マジギレ。
それはそうだ。どこの世界に娘の彼氏とお風呂に入る母がいるだろうか。
ちょっと過激な少女漫画にすらそんな描写ないから。
「えーだって空の将来のお婿さんとなれば、私の義理の息子になるわけじゃない。それなら別にお風呂くらい一緒に入ったっていいんじゃないかな?それに背中を流すのは母の役目よ。空も母になったらわかるわよ。…色々確認しておきたい事もあるしね。」
いや義理の息子とお風呂に入る義理の母とか絶対ダメでしょ!背中を流すのは母の役目?そう言われるとそうかもしれないと、うっかり頷きそうになる。
しかし、色々確認しておきたい事ってなに!?
「どこの世界に義理の息子とお風呂に入る義理の母がいるのよ!絶対遥君を母さんと一緒にお風呂なんて入れさせない!遥君は私と一緒にお風呂入るんだから!ね、遥君?背中なら私が流してあげるからね!」
まぁ、彼氏彼女ならありだな。
とか、納得しそうになる私がいる。
私もすっかり青山家に馴染んだな〜。
1人コッソリうんうんと頷いたりしてみる。
「って、ちょっと2人共アウトでしょ!?お母さんは大人の魅力で遥さんを誘わない!お姉ちゃんもお姉ちゃんでサラっと便乗して遥さんを誘わないの、もぅ!遥さん困ってるじゃない!」
って思わず一人ツッコミしてしまった。
そんなやり取りを、あっはは〜って顔で見ながら固まる遥さん。
「はいはい、揶揄うのはこれくらいにして、誰か先にお風呂入っちゃて。母さんはその間に片付けしちゃうから。あ、遥君、お風呂にゆっくり入って温まったら私のお部屋にお布団敷いておくからね。」
ウィンクしながら台所に引っ込む咲さん。
「母さん!ブッ殺よ!って、遥君今絶対ちょっとデレっとしたでしょ!?やっぱ熟女好きなの!?普通彼女の家にお泊まりって言ったら私と一緒に寝るのが自然な流れでしょ!?ちょっとそこに正座して!」
絶対お母さん遥さんとお姉ちゃん揶揄って楽しんでる。
そして理不尽にお説教される遥さんが可哀想すぎる。
「あ!天ちゃん、私遥君と今から大事なお話があるから先にお風呂入っちゃてくれる。遥君はその後入って下さい!私が見張ってますからね。」
大変だな〜遥さん。とか思いながら1番風呂を頂く私であった。




