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天と空  作者: 東京澪音
12/13

the end of the sky 天side-12

「遮るもののないこの場所にいるとね、雲に手が届きそうな錯覚すら覚えるでしょ。ここにはね、大切で心ある人しか連れて来ないって決めてるんだ。だから天ちゃんで二人目だったりするんだ。」


そう言うと遥さんはハンカチで私の涙を拭いてくれる。


心ある人を連れてきたいって気持ち、私にもなんとなくわかる気がする。


それから遥さんは色々な話をしてくれた。バニラスカイと遥さんの大好きな光の画家クロード・モネについて。


芸術に疎い私には少しばかり難しかったけど、クロード・モネとバニラスカイについて興味が湧いた。


モネの話をする遥さんはとても嬉しそうで、私と同年代の男子にはない魅力的な笑顔が私の瞳に素敵に映った。


多分姉もそんな遥さんに惹かれたんだと思う。妹であり同じ女性としては、そう感じずにはいられなかった。


それからしばらく二人で湘南平からの景色を堪能して、遥さんの自転車の後ろに乗って街へと戻る。


途中、''Que Sera Sera"と言うお洒落な洋食屋さんでランチをご馳走になる。


ミネストローネとケーキがとても美味しくて、私は一発でこのお店のファンになった。


会計の時に店主さんにご馳走様でしたと告げると、お土産にと新作のラスクを持たせてくれた。


「遥君の妹さんかい?」

笑顔で店主が尋ねると、遥さんは少し恥ずかしそうに答える。


「えっと、将来妹になる子で天ちゃんていいます。妹もこのお店が大変気に入ったみたいなので、これからも時々一緒に来るかもしれませんが、よろしくお願します。」


少し複雑な気持ちになったが、遥さんの言葉がとても嬉しい。形はどうあれ、遥さんの未来に私が含まれているって事が素直に嬉しかった。


優しく見送ってくれる店主に手を振ると、私と遥さんは''Que Sera Sera"を後にする。


途中私の携帯に姉から電話があり、遥さんとデート中でこれから戻るとこだと話すと、すぐに行くからとの事。電話を切ってすぐに今度は遥さんの携帯が鳴る。


多分間違いなく姉からだろう。

ビンゴだったらしい。

遥さんは姉からの電話にひたすら平謝りをしていた。


スーパーで待ち合わせして姉と合流し、買い物を終えると荷物があるので私と姉はバスで家へ向かう。遥さんは自転車なのでのんびり来てもらう事にした。


バスの中で姉が尋ねてくる?


「遥君にどこ連れてって貰ったの?」


ちょっと気になる様子の姉。


「湘南平に連れてって貰った。あそこは遥さんの大好きな場所みたいで、大切で心ある人しか連れてかないんだって教えてくれた。そこでね、色々な話を聞いたの。バニラスカイやモネの事とかね。」


姉は嬉しそうに私の話を聞いてくれる。


「遥君らしいわね。私もね、湘南平に連れてって貰って、遥君には沢山色々な話を聞いたわ。あ、バニラスカイも一緒に見たのよ!そっかそっか、湘南平行ったんだね。他には?」


帰りに''Que Sera Sera"でランチした事を話すと、姉の笑顔が若干ひきつる。


「天ちゃん''Que Sera Sera"行ったの⁉︎何で⁉︎私だって行きたかったのに‼︎二人で行くなんてズルい‼︎」


姉は急に子供の様に怒り出す。

これは後で遥さんが危ないと考えた私は店主との話を姉にする。


「あ!そう言えば遥さんが私の事将来の妹ですって店主さんに紹介してくれてたな〜。私が遥さんの義理の妹になるって事は、お嫁さんは誰なんだろうね〜お姉ちゃん!」


そう言うと姉は急にご機嫌になる。

クネクネしながらヤダ遥君たら〜とか独り言を連発。


素敵な場所と素敵な洋食屋に連れて行って貰ったのだ、これくらいはしておかないと、ただ姉に怒られるなんて流石に遥さんが不憫だ。


喧嘩するほど仲がいいとは言うけれど、出来ればこの二人にはいつまでも仲良くあって欲しい。遥さんの将来のビジョンに私がいる様に、私の将来のビジョンにも二人がいて欲しいから。


そんな事を考えいると、バスは白岩神社東でちょうど止まるところだった。

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