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天と空  作者: 東京澪音
11/13

the end of the sky 天 side-11

洗濯に片付け、掃除なんかも終わらせると、時計は10時半を回ったところだった。


さて、どうしたもんかとティーカップ片手に考えていると、その横でさしずめ参考書でも読むかの如く、姉は私が貸した漫画を真剣に読んでいた。


この辺を散歩がてら姉に案内してもらいたいところだが、折角恋愛漫画に興味を持ってくれたんだ邪魔したくない。


私は取り敢えず近くを散歩してくる旨を姉に伝えると、玄関から表に出る。


しかし1人で出かけるのは少し寂しい。

あと、地理がわからないから迷子の恐れもある。


私は携帯電話を取り出すと、少し考えたが遥さんに連絡する事にした。


五コールすると電話が繋がる。


「遥さんですか?天です。突然電話してすみません。忙しかったですか?」


遥さんは優しい声で私の話を聞いてくれる。やはりこの人はとてもいい人だ。


遥さんに1人で出かける旨を伝えると、何かあったら心配だからと、一緒に出掛けてくれる事になった。


待ち合わせは大磯駅を降ったとこにある国1沿いのファミリーマート。

ボーっと待つのも性に合わないので、店内で立ち読みしながら遥さんを待つ。


しばらくすると自転車にまたがった遥さんが到着。私はその姿を確認すると、手を振りながら遥さんに駆け寄る。


なんだかまるで恋人同士が待ち合わせをしていたかのようだ。


遥さんは私を自転車の後ろに乗せると、国1を東に向かって走り出した。


「どこ行くの?」

そう尋ねると、遥さんは答える。


「到着するまでは内緒!でもとても素敵な所で僕のお気に入りの場所なんだ。」


遥さんのお気に入りの場所か。それは是非行ってみたい!


平塚の看板が出てきて、川を越えて直ぐを左に曲がる。

そのまましばらく走ると、湘南平と言う看板が出てきた。


「ここからが難関なんだよ。凄い坂なんだ。時間はかかるかもしれないけど、頑張って登ろう!」


そう言いながら遥さんは必死に自転車を漕ぐ。


確かに凄い坂だ!

コレは私を乗せて登って行くのは無理だ。そう悟った私は、自ら自転車を降りると、遥さんの自転車を押しながら頂上を目指す。


長い長い坂を登って行くと、ようやく湘南平に到着した。


遥さんは売店でラムネソフトを2つ買うと、1つを私に差し出した。


「よく頑張ったね!コレはそのご褒美。さ、上の展望台まで登ってみようよ。


そう言うと、私の手を取り階段を登っていく。


春休みという事もあり、結構な数の人がいる。私達はその人達をうまく避けながら展望台に到着した。


目の前には邪魔するものなど何もない。


海は何処までも続いている。

空がとても近くに見えて、手を伸ばしたら届くのでは?と錯覚するくらい綺麗な空が何処までも続いている。


「ね?素敵な場所しょ?僕のお気に入りなんだ。」


眼下に広がる素敵な景色に、私の瞳からは一筋の涙が零れ落ちた。

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