the end of the sky 天side-10
少し早く目が覚めた私は、身支度を済ませる為一階の洗面所に移動する。
途中姉の部屋を覗いて見たが、まだ夢の中らしい。あまりにもスヤスヤと気持ち良さそうに眠っていたので、私は起こさない様に静かに戸を閉めた。
一階に降りると、咲さんが朝食の準備をしていたので、私もすかさず手伝いに入る。
「おはよう天ちゃん。朝から手伝ってくれてありがとうね。あ、悪いんだけど、お味噌汁作ってくれる?具も味も天ちゃんに任せるわ」
そう言って優しく微笑む。
私は冷蔵庫から豆腐と油揚げを出すと、味噌汁を作っていく。
咲さんはちょうど目玉焼きを焼いていた。私はタイミングを見計らい咲さんにお皿を渡していく。
親子というのは、こんな感じだろうか?
誰かと一緒に食事を作るのは、今まであまりなかった事なのでとても新鮮だ。
私は焼き上がった目玉焼きをテーブルに並べると、昨夜作っておいたであろうポテトサラダを咲さんが添えていく。
とても良い匂いが立ち込めてきて、私のお腹は小さな音を鳴らす。
「天ちゃん悪いけど、空を起こしてきてくれないかな?ごめんね。」
私は姉の部屋に向かい、姉を起こす。
姉はそんな私を少し恨めしく眺めた後、私の両手を掴み、ベッドに引きずり込まれる。
「うら〜!一緒に寝よ⁉︎ね?」
それはとても魅力的な提案だったが、ギリギリのとこで踏みとどまる。
「お姉ちゃん、咲さんが早く降りてきてって!も〜ぉ、手引っ張ってあげるから起きようよ?ね⁉︎」
私の言葉に渋々了承し、疲れた身体を無理に起こしてベッドから降りた。
「春休みなんだから、もう少しくらいゆっくり寝てたいな〜。でもお腹空いた。さてさて、んじゃ朝ごはんにしますか⁉︎行こう天ちゃん。」
姉と二人台所にあるテーブルに着くと、朝食の準備は整っていた。
「さ、ご飯にしましょう。食べながらでいいから少し話を聞いて。母さん今日ちょっと遅くなると思うから、夕飯は適当にお願いするわ。それと夜は物騒だから、遥君をウチに招いたらどう?」
私は遥さんが来てくれる事に対して、大賛成。
姉も満更じゃない様子。
取り敢えず後で電話して予定を聞いてみるって事だったが、咲さんはその必要はないと言った感じで笑った。
「あー、遥君今日来てくれるって。昨晩電話したらオッケーして貰っちゃった!だから、空と天ちゃんでご馳走作ってあげて。」
姉が突然声を荒げる。
「ちょっと母さん!なんで母さんが私の彼氏と仲良さげに電話でそんな事はなしてるのよ!っかね、そんな事言われなくても自分の彼氏の為ならがんばって美味しいもの作るわよ!」
そんな事を言いながら、携帯電話を取り出しどこかに電話を始める姉。
まぁ、どこかは想像つくんだけどね。
「もしもし?遥くん⁉︎うん、あ、おはよ。ねぇ、ところでなんで昨夜彼女のお母さんと仲良く電話で話してる訳?遥くんはやっぱり熟女好きなの?私はとっても悲しいわ。」
また遥さんは姉に怒られている。
それも大した事じゃないと思うんだけどね。
姉のヤキモチ焼きは凄すぎる。
まぁ、それにしっかりと付き合っちゃう遥さんも凄いって言えば凄いんだけどさ。
一通り電話越しに遥さんに文句を言い終わると、どこかスッキリした顔で携帯電話の通知をOFFにする。
ため息混じりに残りの朝食を食べ終えると、姉は身支度を済ませ、洗濯機を回し始める。
咲さんは仕事の準備をして、軽い挨拶をして出かけて行った。
私は食事の後片付けを済ませて、ついでに炊飯器のおかまを洗い、米を炊く。
夕飯はまた姉と買い物かな?
私は台所の全てをやり終えると、姉の洗濯を手伝いながら、暖かい日差しに空を仰いだ。
今日も大好きな姉と遥さんと一緒に入れるかと思うと、私の小さな胸は少しばかり踊った。